京都といえば、先月まだ暑さの残る時に、大山崎山荘美術館に行ってきました。
アンドリュー・ワイエスの展覧会を前期・後期に分かれ12月8日まで開催中です。わたしは前期の終了間際に駆け込み。
山崎駅から軽く山登り?急坂をグングン上がり、トンネルをくぐると、静かな佇まいの山荘があらわれます。
元々は個人別荘だったそうですが、今はビールの「アサヒグループ」の名が冠されていて、初代社長・山本為三郎氏の美術コレクションも展示されています。
ワイエスのテンペラ画ではなく、主に水彩画・素描。「丸沼芸術の森」の所蔵品だそう。水彩でもサイズはでっかい!です。
有名な「クリスティーナの世界」のモデルとなったクリスティーナ・オルソンさんと弟さんが長年住んでいた家にまつわるモチーフがメインで、「追憶のオルソン・ハウス」という展覧会サブタイトルがついています。
1940年代~80年代位までの作品群ですが、アメリカの北東部メイン州の大自然と、孤高の一軒家、質素な農家の暮らし、家畜、野生動物、ワイエスが懇意にしていた人々、などが実に繊細なタッチで描かれています。
画面の間合い、リズム、光と影、水彩のタッチ。これが水彩なんて~!と、信じられない重厚感がありながら、「メイン州は乾いた土地」というカラッとした空気感が漂っていて、「開拓時代のアメリカ」的な匂いがします。草原の草の匂いといいますか。
ブルーベリーを積んだバケツとか、折れた大木の枝とか、荒れた海のそばではためく漁の網とか。何気ないモチーフばかりなのに、もんのすごい存在感。どの一枚もドラマです。
そこで何かが起こっているような、釘付けになる吸引力があります。
きらびやかな色彩ではなく、日本的「わび・さび」に通づるものがあるので、日本人には好かれる画家ではないでしょうか。私がワイエスを知ったのは、小さい時に姉がくれた絵葉書で、多分日本で初めて大々的に開催された1974年の個展時のものだったかと思います。
えっ?何?こんな絵、見たことない!
と、かなりの衝撃で、ずっとずっと敬愛していました。
今ここで見られて幸せです。大山崎山荘美術館の、クラシカルなたたずまいにもピッタリ。
美術館二階のカフェからは生駒の方まではるばる見渡せて。冬は雪に覆われそうだけど、四季折々に楽しめそう。近くなのに今まで来たことがなかったなんて。
感動して画集まで買ってしまいました。高いけど、見応えたっぷり。解説も丁寧です。
表紙の少年は、ワイエスのお子さん、次男のジェイミー・ワイエス君で、彼も画家になりました。
ワイエスのお父さんも画家だったので、三代画家一族って凄いですね。画風も似ています★