FSの4回転を3回転にして降りた瞬間、「あ、ジョニーの今シーズンは終わったんや。」と、瞬時にして思いました。
「終わらせた」というか。
あとは、振り付けしてくれたアニシナさんへの感謝やら、応援してくれる日本のファンの為に「とりあえず最後まできちんと滑りきろう」その気力だけでラストまで持っていったような。
もはや、「心は来シーズンにあり」。そんな感じを受けました。
「ナザレの子」は、「こういうプログラムだったのか~」という事は、やっと最後の最後で理解出来たけど、「プログラムに感銘を受ける」という段階まではいけなかった。ジョニーのコンディションとアニシナさんの意図が、最後までピタッと噛みあわないままだったというか。
でも、新しい振付師と組んだ1年目はこんなもんではないかなあ。
少なくとも2年はやってみないと成果は出ないよ…だから、今いろいろと「のたうちまわる」期間で、それでいいじゃないか。
終わったあと、
「ジョニー。今季は最後まで頑張ったよ。この経験はきっと次に生かせるよ。」
と、拍手しながら想ったのは私だけなんでしょうか。
「“次”があるかどうかなんて、わからない」「ジョニーはこの東京が最大のチャンスだったのに」「なんでもっと頑張れないのよ」「なさけない」
…と、私はこっち(家)に帰ってきてから、何人かのジョニーファンの方に、個人的にメールを貰ったんですが、お返事していません。すみません。
なんで、そんなに早く結論づけるのかわからん。
引退するわけでなし!
ジョニーは今、停滞期にいるのかもしれない。
いるならいるで、それも「経験値」じゃないか、と思う。
飛躍するためには「大きな凹み」も原動力になる、ってのは大ちゃんが証明している。
2年ほど前、私は「東京ワールドで勝つのはジョニーだ!」と思っていました。
年齢的にキャリア的に、丁度いい頃合に熟す?のはジョニーだと思っていたから。そして日本はジョニーのホームみたいなもん。大ちゃんはまだ、トップシーンに上がるには時間がかかる、と踏んでいました。
しかし2年の間に、予想外にライバル達は伸びてきたのでした。
ライサ、織田君、大ちゃんがジョニーを抜く、というのは「想定外」だった。
抜かれたら抜き返さないといけないんだけど、ジョニーはまだその準備が出来ていない。心の準備と体の準備、どちらもまだ「スタンバイOK」になってないんだと思う。
今がそういう時期なら、静かにノンビリ見守っていよう。ちょっと離れたところでバナーを振って応援しよう。そう思わずにおれない。
ジョニーはスケートを始めた年齢が遅い分だけ、まだ消耗しきってなくて、ピークは来ていないように思います。だからもう、練習方法だけではないんだろうか。問題は。選手選手によってピークは微妙に違うから、もう下り坂に入ったようにはとても思えないんですわ。
インタビューでは割とサバサバしてるみたいなんですが、あれはジョニー流の「ガード」なんじゃないだろか。心情吐露とは思えない。
東京であれだけ日本のファンにも応援してもらったのに、期待に応えられなかった…悔しくてならなかった…というのがホンネだと思います。
エッセイストで写真家(で、精神科のお医者さん)の海原純子さんが、
「悪いことが起こる。その事には、必ず意味がある。」
…とその著書で書いてはるんだけど、私はこの言葉に共鳴してるんです。
ジョニーは今、そうなんだと思う。今、というか「ここ1~2年」か。
「悪いこと」が起こると、人間そっから何か「気付く」から。学ぶから。
そっから、強くなっていったり人間として器が大きくなったりする。
だから「あの“悪い体験”があって良かった。」と言える時が来る。最もそれには多少なりとも時間がかかるけれど。
ジョニーも、アスリートであると同時に「いち若者」な訳で、
「いろんな体験積んで、大きくなってや~。強くなってや~。」
と、そう思わずにはおれなかった。
「次は成績出してや~」というよりは、「人間として成長してや~」と。
そういう気持ちで拍手してました。
私は「ご教訓」とか「スピリチュアル」とかは基本的に嫌いなんですが、物事を考える「回路」としては興味を持っている。
苦しいところをどう乗り越えるか…乗り越えろ!乗り越えて欲しい!選手に賭ける思いは、実は自分自身へのエールでもあるんです。
画家をやってると、ほとんど一人で戦ってるワケで、スケーターの人生が他人事とは思えないんですわ。でも、そういうファンも多くいると思う。
この東京ワールドはジョニーにとって「無駄」ではなかった。
願わくば世界チャンピオンになって欲しいので(資質として勿論、可能だと思う)、あの美しい滑りが損なわれれることなく、「この経験から学んで、もう一段階上がる」状態になってくれ、そう思ってます。