実家を大掃除した際、こんな古いレコードが出てきました。
外の袋は「テイチクレコード」。中のレコードは「コロンビア」!
どうも元々は「春野百合子さん」という歌手の傑作集4曲入りレコードが入っていたようです。
なのに今、中に入っているコロンビアレコードは「フェアウェル・ワルツ」って。なんでやねーん(赤レーベルだっ)。
外袋のオモテの面に、当時のスターとおぼしき歌手や作曲家・作詞家?たちの顔写真がズラリと並んでいます。
宣伝のためなのでしょうね。一番右に「古賀政男」とメガネのおじさんが。
次々とヒット曲を連発してたので、ポジション的に「社の看板」だったのでしょうか。
古賀さんは古関裕而さんとほぼ同い歳だったはずだから、20代のはず。なのにおじさん顔。貫禄です。
「エール」のドラマの中では、裕一さんの友達となった「木枯正人」さんは、「俺、コロンブスからテイコクレコードに移籍するんだ」と語っています。
ネットで調べたら木枯さんのモデルである古賀政男さんも、コロンビア→テイチク→コロンビア、と移籍。
なのでこのレコードは、テイチク在籍時代の昭和9年~12年のあいだに発売されたと思われます。
ウチの父は当時はまだ子供なので買うわけはない。。。
音楽好きだった叔父が東京の大学に行ってたので、その頃購入したのかなあ。謎です。
外袋は粗末な紙製で、レコード盤はビニールに入っているでもなく裸で入ってる。私の世代が買っていたLPレコードよりはるかに分厚く、LPよりは直径が小さい。お値段も発売年も記述なし。歌詞カードなども無し。
試聴可能かレコード屋さんに持っていってみたら、「表面の傷が多すぎて無理」と言われました。残念~。
古賀さんの隣に藤山一郎さんがいます。
裕一が「東京音楽学校卒なのに、なんで赤レーベルで歌ってるんですか?」とコロンブスの録音室で聞いたあの人。後に裕一の代表曲を唄う国民的歌手です。
ここにいる?ということは藤山一郎もテイチクに移籍したのか?
で調べたら、藤山さんはコロンビア(音大在学中)では古賀さんと組み「酒は泪かため息か」「丘を越えて」の大ヒット。
その後ビクターに移籍。
しかしふるわず、古賀さんの誘いでテイチクに移籍したようです。
この「テイチクレコードの顔」の写真で、私が知ってるのは古賀さんと藤山さん、ディック・ミネだけ。藤丸さんみたいに「芸者が歌を歌う」流行にのっとって、芸者姿の女性もいます。外人さんもいます(!)
ちょっと笑えるのが宣伝コピーです。デカデカと外袋に印刷された文字、
「!!この超威力の専属手当年額七拾萬円也の巨額は他社の追従を絶封に許さず!!」
とあるのです。意訳すれば
「ウチの専属アーティスト達の年棒は総額23億円!他社にはない破格の高額!」
ということなのでしょうか。
昭和12年の「七拾萬円」が現在のおいくらに相当するのか、ちょっとわからないのですが。
外袋には「テイチク蓄音機」の写真も載っていて、「三拾圓也」とあります。
「エール」で音ちゃんが買ってきた蓄音機が確か30円で、今の100万円相当だったと思うので、「70万円」は23億円ではないのか?いや、わたし単位を間違ってる?
「海外五圓上がり」とも書いてあります。どういう意味だ?「外国製だと5円高いよ」なのかな?
レコード針は200本入りで35銭。「クロミウム針」というのは12本入りで50銭。クロミウムの方が丈夫なのかも。
200本も入ってるということは、すぐに劣化して交換しないといけなかったのかも。
いずれにしても、「こんなに素敵な音楽!」ではなく、「ウチの契約金どうよ!」をキャッチコピーにしてるあたり、レコード会社のウハウハ守銭奴的イメージが想起されます。。。廿日市さんだけが悪者じゃないのね。
さてもう一枚。これはコロンビアの外袋でコロンビアのレコード!
これは「ベサメ・ムーチョ」。外国人のオーケストラ名が書いてあります。ウラ面も同じオケで「インスピレーション」とあります。
こちらも傷が深く聞けないのが残念です。コロンビアは「KAWASAKI JAPAN」と銘記があるので、あの戦災でも焼けずに残った川崎のレコードプレス工場なのでしょうか。
偶然見つかったこの古レコード。昭和12年発売とすると、今から83年前、のものになりますね。
これを出すのに、裕一さん苦労してたのか~。
なんか感慨深い。でも、貴重ではあるけど、どうせなら古賀さんか古関さんのレコードが良かったよ~笑★