今回の個展は、タイトルで悩みました。
最初は、「鳥になる日」だったのです。
でも、テーマを「鳥」にしてしまうと、イメージが限定されそうだなあ…と思い。
夏に個展するのはわかっていたので、広く大きくとらえて最終的に「夏の庭から」に。
緑の葉が風に揺れてる感じとか、太陽の光が透けて見える感じとか。
春から夏にかけての、木々のきらめき感が好きなので、そこに自分も居たくなります。
でも、木々の間をとびまわる実際の鳥たちは、
いっときもじっとしてなくて、落ち着きがない。
(関西弁で言うところの“せわしない”)
ま、夜には寝てるんでしょうけどね?
私はあの木々の葉っぱの中で、の~んびりはばたいたり、羽をやすめる、
鳥になりたいなあ。。。
最初の予定では、ギャラリーの壁一面に「葉っぱ」を描きたくて。
四方から天井まで、みんな葉っぱで、森の緑に包まれてるみたいにしたかった!
実は家をリフォームした際、トイレと洗面所だけは壁紙を冒険してみました。
狭いスペースなので、失敗してもまあ後悔しないし?
カタログに中に、一面の「葉っぱ」の壁紙があったので、緑の色合いも優しいし「これ!」。
葉っぱの壁紙は、想像以上の癒し効果で、森林浴してるみたい。
「もうこれっきゃない!」と思い、個展でもそれがまず頭の中に。
でも、現実的には「壁一面」は難しく、ギャラリー奥の一番目立つ壁だけに、
大きなパネルで3枚、緑の葉と鳥の絵を描きました。
3枚つなぎあわせて1枚の絵、としてもいいし、1枚だけでも成立するように。
「BGMとしての絵」と、とらえていたので、
ざっくりシンプルな描き方にして、「大きなイメージ」を出したかった。
最初は、「まずさっくりと描く」→「細密に詰めて描いていく」という段階を経て
完成させようとしてたのですが、
細かいところにこだわればこだわるほど、水彩画の軽やかさが無くなってしまい、
どんどん「重たーい」絵になってしまいました。
修正しようとすればするほど、ますます重く濁ってくる。
こうなると、水彩はドツボなのです。。。
それでその試作は全て捨てて、
「水彩スケッチ」として、楽な気持ちで描いてみました。
筆も、一番大きなもの1本にしました。色数も増やさずシンプルに。
すると、自分でも気持ちが良くなり、テンションがいい感じで上がってくる。
絵の中に自分がスーッと入れる、そこに住んで心地いい、そんな時は成功。
居心地が良くない時は、出来上がりも良くないし、お客さんの反応も悪い。
今回は、自分で気持ち良く最後までいけたので、「実験作品」として出しました。
でも、「壁一面」の世界はまだあきらめていないので(笑)、
次の機会に再チャレンジしてみたいです。