ナチュラルな暮らし

穏やかな日常の一コマ

憑(たのめ)の里探訪

2018-08-08 | ウォーキング

この憑(たのめ)の里は平安時代に清少納言の「枕草子」に登場する里です。今から400年ほど前に豊臣秀吉の知行割りにより二つの村に分けられましたが、それでもなお一つの里として受け継がれてきています。

今回、その二つの行政にまたがる地区の振興会で「たのめの里探訪会」が計画されましたので参加しました。

 

この地区の「霧訪山」は素敵な里山です。何度も登った山でもあります。

 

今回のツアーは、まずJR小野駅からバスで善知鳥峠に向かいました。善知鳥峠は旧伊那街道(国道153号線)の分水嶺です。湧水が2方向に向かって流れています。

 

 

 

太平洋へ…の方向に、道祖神の佇む林の中の道を進みます。暑い日でしたが、緑の中は心地よい風が吹いていました。

 

 

「蔵造川水路橋」に着きました。ここは明治時代、鉄道が敷かれることにより遮断されてしまう川の流れを維持し、農業用水を確保するために作られた、鉄道の上にかかる水路の為の橋です。

 

 

明治39年建設当時の写真です。先日見てきた碓氷峠の煉瓦作りのアーチ橋と同様、素晴らしい造りです。日本で唯一の現存する煉瓦作りの渡線橋だそうです。

 

次に訪れたのは「注連掛け原」です。ここは小野神社の御柱を各地から運んできてここから里引きをする場所だそうです。ちなみに小野神社の御柱は赤松の樹だそうです。(諏訪大社は樅の樹)

 

「小野神社」に着きました。ここには池泉回遊式庭園があって緑の中の気持ちの良い空間でした。

 

お社も立派で、大きな御柱が建っていました。私もここの御柱祭を見たことがありますが、とっても豪勢です。「人を見たけりゃ諏訪御柱、綺羅を見たけりゃ小野御柱」と言われています。

 

すぐお隣(森も敷地も繋がっています)には「矢彦神社」があります。「小野神社」と「矢彦神社」、この二つの神社は村が二分された際に分けられたそうです。どちらも諏訪大社に次ぐ信濃国二之宮として古くから信仰されていた鎮守の森です。矢彦神社の神楽殿と拝殿と勅使殿です。いずれも江戸時代のものです。それぞれの軒の彫り物にも注目でした!

 

 

 

 

次に向かったのは「古田晃記念館」です。古田晃は筑摩書房の創立者です。出身地に残る古田邸には多くの作家や学者らが集ったそうです。当時の面影を残す建物は国登録有形文化財になっています。

 

 

土蔵2階の和室は文化人らとの交流の場だったそうです。1階の展示室には中野重治、宮本百合子、臼井吉見(我が家にも筑摩書房の「安曇野」があります)、唐木順三、太宰治等々の交流の証しが展示されています。母屋をつなぐ渡り廊下も注目です。

 

 

 

旧伊那街道を進むと唐沢川があります。ここが秀吉の知行割りによって二つの村に分断されたところです。行政は今でも二つになっていますが、小学校と中学校は一緒です!(両小野小学校と両小野中学校に塩尻市と辰野町の子が通っています)

 

「辻の地蔵尊」は丁寧に祀られていました。切り株から芽生えた柳が元気に伸びていてびっくりでした。

 

 

ここから、上の山古道を通って行きます。小川に沿った小さな道…タマアジサイが咲き、小さな祠のある素敵な道でした。

 

 

「小野酒造」に着きました。ここは清酒「夜明け前」が有名です。(勿論、島崎藤村の「夜明け前」にちなむ命名…藤村の父と交流があったとのことです。) 試飲を勧められましたが、アルコールはお断りして冷たい甘酒をいただきました。とっても美味しい甘酒で感激し、ここの麹を買って帰って自宅でも甘酒を仕込みました…

 

お隣には「小野光賢・光景記念館」があります。父、小野光賢は横浜の発展に寄与(江戸時代名主、明治時代横浜市副市長) 子、小野光景は貿易商(生糸貿易商の中心的存在)として財を成し横浜港の開港に貢献したそうです。故郷のここに製糸工場も開業したとのことです。

 

最後の訪問場所は「小野宿問屋」です。江戸時代末期の本棟造りの民家で、この屋根の勾配や雀おどし、格子窓など豪壮な構えの家です。

 

建物内部は南側に広い土間と勝手、北側に式台玄関から続く部屋を三列に並べ、奥には上段の間もあります。

 

 

立派な梁が存在感を発揮しています。

 

長持ちの中には押絵雛がしまわれていました。4月の雛祭りには展示されるそうです。

 

 

 

こんな品々も残されていました。

 

 

北側には立派な表門があります。

 

小野宿の他の建物も注目でした。

 

 

 

お隣の市や町でありながら、なかなか通り過ぎるだけでゆっくり見学することのなかった場所をじっくり歩きながら(少しバスで)見ることができて良かったです。新たな発見と感動の見学会でした!

 

コメント (4)
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