ナチュラルな暮らし

穏やかな日常の一コマ

母の戦後

2018-07-30 | 日記

いつもきちんとしていた母ですが、年と共に片付けることが難しくなってきています。何度も引っ越しをして今ここに居るので、何かと処分してきたものも多いはず…でも手元に残っている書類もあれこれあり、一緒に整理を始めました。

そして見つけたのが、このセピア色の紙片!この古い紙片だけが和紙に包まれてありました。

 

これは短歌が書かれているようです。

「みはたとへ いづこの野辺に 果てるとも とどめ残さん 大和なでしこ」

この歌を読んで、この方の決死の覚悟に胸がいっぱいになりましたが、その裏には母の字で、終戦間近い日付けと満州出発の文字!これには何ともやるせない思いも…とにかくこれを見ただけで万感胸に迫る想いでした。

 

母に話を聞きました…母は戦時中、代用教員として教壇に立っていました。この方は母の教え子で12歳の少女、開拓団の一員として家族で満州に渡って行ったそうです。その出発の前に母に託した手紙とのこと…この日付、昭和20年6月6日は終戦まであとわずか…不安も大きかったことでしょうがこの歌のような覚悟を決め、気持ちを奮い立たせて出発したのかもしれません。大和撫子の誇りを胸に…

母も当時は家族と一緒の新天地での暮らしに一縷の望みも覚えて送り出したようですが、その後の終戦、引き上げの大変な話を聞くにつれ、不安が募ったそうです。戦後、母は結婚しあわただしい生活の中でも気になっていて、落ち着いた頃になってこの時のクラスの方に消息を訪ねたりしたそうですが不明のまま…開拓団に家族で行かれた方は田畑屋敷もすべて処分して出かけたので、地元に帰られる方は少なかったそうです。母もずっと気になってこの手紙は処分できなかったようです。

私は満蒙開拓団に関するこの手紙について、多くの方に見ていただいて、ひとりの少女の声に耳を傾け、その背景にある戦争や平和を考えるきっかけになればと思い、「満蒙開拓平和記念館」にメールをしてみました。

そうしたところ、学芸員さんがこの少女の消息を確認してくださったのです!開拓団の名簿が作成されていて、コピーを送って下さったのですが、昭和21年10月25日に引き上げで帰還と記されていました。これを母に伝えたところ、「帰ってこれて良かった…」と心底ほっとした様子でした。(ただ、お母さまは現地の収容所で亡くなられていました)

母もこの手紙を「満蒙開拓平和記念館」で見てもらいたいとのことで、先日阿智村までこの手紙を持って行ってきました。阿智村は南信州の飯田市の向こう、こちらから100㎞近く南にあります。

 

内部は撮影禁止で写真はありませんが、「今、伝えなければならない満蒙開拓の歴史ー平和への願いー」のコンセプトで作られている記念館です。「前事を忘れず、後事の教訓とする」の言葉も印象に残りました。

学芸員さん(名簿で消息を探してくださった方)が丁寧に対応してくださいました。行った日に学習会があって、この手紙を取り上げて皆さんに紹介して考えていただきますとのこと…役立てていただけて良かったです。

庭にあった鎮魂の碑に向かい、平和を祈って帰途につきました…

 

近くの道路沿いにあった阿智村出身の写真家、童画家の「熊谷元一」の作品レリーフ…その昔のこうした姿に心癒されます。

 

阿智村の田園風景…暑い日でしたが、稲田を渡る風は心地よかったです。

 

この歌を託した少女の現在の消息までは分かりませんでしたが、無事に帰還されたことは確か…母の戦後から多くの方の戦後にも思いを馳せる一日となりました。

この日の空模様…不安の中にも希望が見いだせると解釈したい空模様でした…

 

 

 

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群馬県あちこち

2018-07-26 | 旅行

無事に谷川岳に登れたので、最終日は群馬県内の気になるところを巡りながら帰途につきました。

その前に水上温泉の宿…源泉湯の宿だけあって、いくつもの温泉を堪能することができました。そしてこのお庭も充実していました。ちょうどヤマユリの時期であちこちのその存在感を見せていました。

 

 

軒先の灯りも趣きがあります。灯籠や道祖神が佇む庭は風情があります。

 

 

 

 

みごとなヤマユリの姿が印象的でした。

 

宿を出て高崎市に向かいました。ここでビックリしたのは田植えが終わったばかりの田んぼ!二毛作で麦を作った後でしょうか…

 

「群馬県立近代美術館」に着きました。一度訪ねたかった美術館です。ここは広大な「群馬の森公園」の中にあります。

 

 

 

建物は磯崎新の設計、1974年にできています。ロビーの様子です。

 

 

企画展は「ウィリアム・モリスと英国の壁紙展」です。

 

ほとんど写真撮影が禁止となっていて可能なのはこの2ヶ所でした。

 

 

 

ウィリアム・モリスがデザインした壁紙や版木を中心に、イギリスの壁紙が紹介されていました。その繊細なデザインと花を中心とした素敵な色合いにも魅了されました。もちろん、気になっていた金唐革紙の壁紙にも出会えました!ショップの壁に貼ってあったこの案内に注目した私…チラシの置いてある所を探すも見つからず、係りの方に尋ねたところ手に入りました!その方がわざわざコピーしてきてくださったのです。

 

金唐革紙が使用されている建物案内です!地元の林家住宅、去年見学した岩崎邸、機会があったら行きたい呉市入船山記念館などが載っています。コピーしてくださった方(学芸員さん?)と林家住宅の話もでき嬉しかったです。

この美術館は名前のとおり近代美術作品のコレクションがあります。特別展示ではムンクの作品がたくさん展示され、コレクション展では西洋近代絵画(ルノワール、モネ、ルオー、ローランサンなど)や、ロダンの彫刻やピカソのゲルニカのタピスリなど充実の内容でした。

 

 

美術館の後に同じ高崎市内の「ガトーフェスタ ハラダ」へ…娘のお気に入りのラスクのお店です。

 

ここは工場見学もできるというので、まずはこちらの工場の方へ…甘い香り漂う生産場所を見学し、試食に生ラスクをいただきました。(もちろん、普通のラスクも)

 

 

娘の好きなホワイトチョコのかかったものは、夏の季節には販売していないそうで残念…定番のガトーラスクを買ってきました。

 

 

次に向かったのは碓氷峠です。信越本線は高崎駅から新潟駅までをつなぐ鉄道でしたが、今は横川駅から軽井沢駅の間が寸断され、他も別の鉄道会社に移行しています。横川駅近くに碓氷峠鉄道文化むらがあってトロッコ列車が走っていました。

 

この先から国道18号線(旧道)を進みます。しばらく行くと中山道の坂本宿があります。

 

本陣の建物が学校として使われていたそうで、残っています。

 

 

お米屋さんの建物…

 

ここは何屋さんでしょうか?

 

 

 

趣きのある建物が残る道を過ぎ、山道に入ります。そしてカーブの多い道を行くとめがね橋が見えてきます!

 

これは日本最大のアーチ式鉄道橋、明治時代に作られ重要文化財に指定されています。

 

 

 

 

上に登って見ることができます。

 

両側はトンネルになっています。中はかなりの涼しさでした。

 

 

一段上に鉄橋が…このめがね橋が廃線になってからの新線です。それも平成9年に廃線となっています。

 

第5橋梁がその先にありました。

 

 

またその先に第6橋梁があります。

 

 

その先には熊ノ平駅があります。廃線になって久しい駅です。

 

 

 

ここから少し行くと碓氷峠、県境です。

 

ここを下るとすぐに軽井沢…浅間山を見ると信州に帰って来た気がしました。

 

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谷川岳へ

2018-07-24 | 山登り

日本百名山に入っている谷川岳はその急峻な山容と遭難者の多いことで恐れられています。でも今回、ロープウェイを使うことで私でも無理なく登れる山だと判断しました。ロープウェイの土合口駅の標高746m、一気に登って天神平駅は標高1319mです。

 

天神平付近にはお花畑が…ニッコウキスゲの群生がきれいでした。

 

そこから更にリフトを使って天神峠まで(標高1502m)まで登ります。

 

眼下のお花畑にはニッコウキスゲやトリアシショウマ、コオニユリなどが咲いていました。

 

 

ここからは徒歩で山頂を目指します。まず急坂をいったん下り、その後登りに入ります。

 

次々にこのような急登が現れ、鎖場も出てきます。一歩ずつ慎重に登りました。

 

 

途中の花々に癒されながら進みました。ニッコウキスゲとツルリンドウです。

 

 

天神尾根を登って行きます。標高が上がってきたところの岩場のお花畑に感激!イブキジャコウソウ、ヒナウスユキソウ、オオバギボウシ、トリアシショウマ、ハナニガナなどが咲いていました。

 

 

 

 

 

ミヤマシャジンが咲き始めていました。シモツケソウも咲き始めです。

 

 

山頂付近に来たら霧が出てきました。霧が斜面をすべり、花々を揺らせていきます。

 

 

 

谷川岳肩の小屋まで来ました。霧の中に鐘と道標が佇んでいました。

 

 

ここから頂上まであと一息…水分とエネルギー補給をして登り、頂上に着きました!谷川岳は双耳峰でトマの耳とオキの耳の二つの頂上があります。

 

周囲は霧の中で360度のパノラマは望めませんでしたがもう一方の頂上、オキの耳が見えました。

 

山頂はすてきなお花畑が広がっています。

 

 

 

  

 

 

ヨツバシオガマも可憐な花を咲かせていました。

 

下山途中の風景です。コバイケイソウの群生がきれいでした。

 

大分下山したところに咲いていたクガイソウ…瑠璃色がきれいでした。

 

 

帰りもロープウェイを使って無事に下山できました。途中で滝を見下ろしながらの空中散歩でした。

 

 

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一の倉沢トレッキング

2018-07-22 | トレッキング

去年は夫の腰痛で山へ行かれなかったのですが、今年は痛みも治まってきたので山行きを計画しました。

目的地は群馬県の谷川岳…山は天候次第なので麓の水上温泉2泊の計画で…近間の天気予報で雨は大丈夫のようなので1日目は一の倉沢トレッキングで足慣らしをして、2日目に谷川岳へ登ることにしました。

地元からは和田峠、笠取峠を越えて佐久へ…中部縦貫自動車道と上信越道、関越道で目的地に向かいました。途中の横河SAからの妙義山です。

 

関越道からの赤城山です。赤城山は一昨年登って、ツツジの大群生に感動した山です…

 

水上ICで降りて谷川岳ロープウェイ乗り場から「一の倉沢」まで歩きます。「一の倉沢」は日本三大岩壁の一つで、それを眼前で見られる所まではここから約3.5㎞、標高差100m余、片道1時間ほどのコースです。ブナの森の中を歩きます。

 

道沿いにはヤマアジサイやトリアシショウマやヤマハハコなどがたくさん咲いていました。

 

 

ブナの大木があちこちに…

 

「マチガ沢」につきました。ここからは雪渓も見えます。

 

 

ヤマアジサイの群生がきれいでした。色も微妙に違って素敵です。

 

 

素敵なブナの森を歩きました。途中の土止めのコンクリートの隙間から芽吹いたブナ!

 

 

 

この道は新潟まで続いていて石垣は明治時代のものだそうです。途中、岩の隙間から冷気が!気持ち良く涼んで先に進みました。

 

 

 

いよいよ一の倉沢に着きました。ここからの眺めは素晴らしいです。雪渓と衝立岩はじめ名立たる岩壁が望めます。小説やドラマ、映画に描かれた場所に立って、その感慨も一入でした。

 

 

 

雪どけ水の流れる沢まで行ってみました。まだ雪が残っています。

 

 

雪の中から芽吹いたばかりの若芽!雪どけ水は集まって流れ下り利根川となります。

 

谷川岳山岳資料館からは車両通行止めで、一の倉沢まで電気自動車が走っています。一ちゃん号と倉ちゃん号…かわいいバスです。私は歩きましたが。

 

 

谷川岳山岳資料館も見学しました。古き登山用品や道具類、資料や写真が展示されていました。

 

 

昭和の登山ブームの頃、首都圏からこの山に来るのに多くの方が降り立った「土合駅」…

 

 

日本一のもぐら駅とは…改札口からホームまでの行程がすごいのです!ホームから連絡通路が延々と続き、その下の道も渡り川も越えて歩いた先にトンネルの中へ続く階段があるのです!

 

 

トンネルの中の下り線ホームです。ここまで下りてくると地上の暑さがウソのように涼しいです。

 

東京方面から谷川岳に来られた方は、山に登る前にこの階段を上ることになります。

 

 

登り疲れた方の為に、途中に休憩用のベンチ設置してありました。

 

階段を登り切っても改札口まではまだまだです。

 

ちなみに上り線のホームは地上にあります。

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実家の山仕事

2018-07-20 | 山仕事

今年は実家の山の手入れをしようと6月、7月と夫は5回、私は3回ほど通いました。7月になってあまりの暑さになかなか仕事がはかどらずにいますが…

手入れ前はこんな藪だらけでした。

 

 

 

細い木は私でも倒せます。ノコギリを使って切りました。

 

 

太い木は夫が…チェーンソーを使うほどではなくノコギリで。倒す側に楔形に切れ込みを入れ。反対側から切っていきます。上手に倒すことができました。

 

 

 

下草は草刈り機を使って払っていきます。

 

切った木や枝をまとめて退かし、その後に落ち葉かきをします。くま手と箕を使ったりしていましたが、山の急斜面ではこんな方法も有効です!細長いブルーシートを幹に固定して下に広げ、その上をすべらせて落とします。

 

 

 

ようやくですが、少しづつきれいになってきました。 

 

 

森の中でもやはりこの暑さは大変です。水分補給と休憩を取りながら行いました。

 

実生の松の若木、ホオノキの若木に癒されながらの山仕事でした。

 

 

今のところ人工栽培のできない松茸…この手入れでたくさん採れるようになると嬉しいのですが…

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