Aさんは能「葵上」から想を得た作品の2作目を描かれました。
「不安」 日本画 F4
六条御息所が生霊となり、さらに恐ろしい鬼の姿に変化したときの
般若の面。今生えたような角、裂けた口に見開いて金色に光る目は
生々しく夢を見そうです。背景はまるで地下で熱くたぎるマグマのように
うごめき、嫉妬、怨念、苦しみそして悲しみまでもが表されています。
近づいてみました。
下地の色を大胆に入れ深く美しい色が出るまで岩絵の具を重ねました。
白い面に使われた赤みがかった影色が不気味さを増しています。
物語を超えたご自身のさまざまな思いをも描きこんでいるからこそ
作品が息づき、見る者にも考えさせ入り込ませる魅力があるのです。
Aさんの作品は幅広く表情豊か。少しずつ変化され続けています。
過去の作品はHP「上郷の森 日本画教室」内の“作品集”の中の
Aさんのページに制作順に掲載されています。ぜひこちらもご覧下さい。