癌春(がんばる)日記 by 花sakag

2008年と2011年の2回の大腸癌手術
   ・・・克服の先に広がる新たな春を生きがいに・・・

講演会「函館の縄文文化」

2010年02月12日 | イベント鑑賞・参加
 本日、副理事長を仰せつかっている退職者組織の講演会に参加した。
 演題は、「函館の縄文文化~南茅部縄文遺跡群と国宝「中空土偶」~」。講師は、函館市教育委員会生涯学習部参事阿部千春氏。
 
 まだ発見される前だったが、国指定史跡大船遺跡のすぐ下に2度に渡り延べ7年住んだことがあるだけに興味深い講演会だった。その当時南茅部町学芸員だった阿部氏の講演は、その後何度も拝聴しているが、中空土偶が北海道唯一の「国宝」に指定されてからは初めてである。

 現在、世界遺産への登録を目指しているだけに、南茅部遺跡群の持つ歴史的・学術的な重要性が系統的に整理されて、とても解りやすい内容だった。

 ここに内容について細かに記述することは不可能だが、90ヶ所以上の縄文時代の遺跡を擁する南茅部で発掘された貴重な学術的資料の中には、「中空土偶」以外に、縄文文化の根拠となったヒエ・ソバの炭化種子、専門技術集団の存在を示唆するアスファルト加工工房趾、世界最古の漆製品などがある。

 また、南茅部縄文遺跡群の特徴は、集落や竪穴式住居が非常に規模が大きいこと、新潟産のヒスイや秋田産のアスファルトなどの交易品が多く出土することである。このことは、当時の南茅部は本州との文化・物流の拠点であったことが推測されている。

 最後に、今後は、歴史的な興味だけではなく、厳しい自然環境と一体となって暮らしていた縄文人の知恵や、命を大切にした彼等の心、すなわち、「日本の心」の原点に共感できるよな普及活動を続けていきたい・・・そのためにも、それらの事業を展開するためのボランティアにご協力いただきたいということで締め括られた・・・。


 なお、この講演会の会場となったのが、昨年に全面的に建て替えられ、最新の設備に生まれ変わった日乃出町にある救護施設・明和園で、講演会とこの施設見学がセットになった研修会であった。

 羨ましいくらい快適な環境で生活している身体的・精神的・知的障害者の生き生きとした姿が印象的だった・・・。

<追記>
 この記事を書いている最中に「打ち上げをやりたいので、ぜひ参加を!」の電話・・・即OKと言うことで参加した。参加者は前教育長を初めとする10人だったが、珍しいことにその飲み会の話題が、ずっとこの講演内容に関わることや発展した話題に終始した・・・こんな真面目な飲み会は久しぶりだった。最近あまり勉強をしていないので、久しぶりに知的な1日だった。

 私の昔からの疑問は、北海道の縄文文化とアイヌ文化の関わりである。今日の講師の阿部さんにも以前に問い合わせたことがあるが、まだほとんど解明されていないことが不思議でならない・・・。私は、北海道の縄文遺跡を継承してきたのは絶対アイヌの人たちだと思っているのだが、そのことに触れるのは、考古学の世界ではタブー視されているのではないかと勘ぐりたくなるほど忸怩たる思いである。