ブクログより
宮部さんの時代物というとあやかし、不思議な話が思い浮かぶが、人情物である。
ある地方の小藩の小納戸役を務める家の次男坊古橋笙之助は、偽の文書で身に覚えのない嫌疑をかけられ、自害に及んだ父の汚名を晴らすため、江戸に出てきて暮らし始める。
貸本屋で写本の仕事をしながらの長屋住まいである。
長屋の人たち、貸本屋の人たちなどの何気ない日常のなかで、つつましく暮らしながらも武士の矜持を保ちながら、謎に迫っていく。
装丁の感じから、のほほんとほほえましいお話かと思いきや、テーマは重くてミステリー仕立てで、終盤にはちょっとひやりとさせられる部分もあり、なかなか気の置けない作りになっている。
そして宮部さんには珍しい?恋愛要素も盛り込まれていて、血なまぐさい場面があるかと思えば、ほっとなごめる場面も用意されている。
ハッピーエンドではないのだけど、この二人の行く末に少し明るい光が見られるところが心憎い終わり方である。
読み始めて、すぐに話に引き込まれてしまい長編ながらすぐに読めてしまったのは、宮部さんの人物の描き方によるものだと思われます。
登場人物が実にわかりやすく、読んでいるうちに、勝手に脳裏で動き出すのです。いつも思うことだけど、宮部さんの登場人物に対する愛情のなせる業だな、と感じます。
ただ、この話はお正月にテレビでドラマ化されて放映されると、新聞に出ていて、笙之助のキャストをそこで知り、ちょっと私のイメージと違ったので、打つ消すのに苦労しました。
でもドラマはドラマで、楽しみに見たいと思います。 (12月28日)
テレビドラマ見ました。
やはり私のイメージではありませんでした。
なんだかコメディ仕立てになってしまってる・・・あんまりです。
桜ほうさら / 宮部みゆき
★★★★☆