ブクログより
井上ひさしさんの本はいろいろ読みましたが、この本の存在は知りませんでした。
出会いは全くひょんなことで、行きつけの酒屋さんの棚にほかの本と一緒にディスプレイされていたのです。
ブルゴーニュワインの何とか、玉村豊雄の何とか、などという本達に交じっておかれていたのです。
はて?この本にどんなお酒の話が出てくるというのだ?
興味津々で、奥様に聞いてみると、主人が置いていますので私はわかりません、もしよければご自分で読んで確かめてください。とおっしゃり、厚かましくも持ち帰り読ませてもらったという次第。
時代は江戸くらいでしょうか、今の徳島に藍染を生業としている家があり、その家を中心に、悪さをする狸と人間との攻防、そこにお役人が絡んでくる、はては狐の四国進出計画(当時は四国には狐はいなかったらしい)それを阻止するタヌキとキツネの攻防戦、化かし化かされ何がなんだかわけがわかりません。
それをパロディー満載、ユーモアたっぷり、くすくす笑い必死です。
本当のことかと真剣に読んでいたら、どっとはぐらかされ、ずっこけることしばしば。やっぱり井上ひさしせんせいはおもしろい。
気が付いたら読み終えて、結局お酒は出てきませんでした。
返しに行ったらご主人がおられ、読もうと思ってちょっと置いといただけ、だそうです。
行きつけといってもそう度々行くお店ではありませんが(飲んべえと思われると困るので少し弁解)ちょっとお酒が欲しいときに立ち寄るお店で、奥様が姫野カオルコと同級生で、ご主人は部類の読書家、ということで訪れると本の感想を話し合ったり、おススメをしてもらったり、と私にとっては貴重なお店です。
昨今はどんな商売も量販店が幅を利かせ、小さいお店は無くなりつつありますが、こういうお店ならではのお付き合いを大切にしていきたいものです。
腹鼓記 / 井上ひさし