今夜も本をまくらに。

山歩きが好き、落語が好き、おいしい物が好き、中島みゆきが好き、
でもやっぱり活字がなければ生きていけない私。

サトリ

2011年08月26日 | 「本」のひきだし

たなぞうより

面白かった! 楽しかった!
久々のノワールというのか、暗黒の世界、といっても犯罪とかではなく、合法的な組織が繰り広げる壮大な戦い。

だましあい、不意打ち、拷問・・・
今一緒に食事をしている相手が味方なのか敵なのか、一瞬の隙も許されない息詰まる展開に目が離せない。

そんな物語の主人公は、ロシアの貴族の末裔でありながら、熱い緑茶を好み、日本庭園を愛で、湯をはった浴槽につかり、状況を囲碁になぞらえて分析する日本の心を持った暗殺者。

張り詰めた緊張感のなかで、そういった「和」の部分をほどよく織り込んである。
そういう部分も読みやすさの一因かもしれない。

あとがきを読むと、これは「シブミ」の前日譚とある。後日譚ではなくて。
やっぱり読もうかな、大きい字の「シブミ」

これを読んでいるとき、今公開中の映画「シャンハイ」がオーバーラップした。時代は違っても、混乱の世の中では、常に駆け引きで成り立っているような、やるせない気持ちにもなる。


サトリ上・下 / ドン・ウインズロウ 著
★★★★★


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