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ブクログより
題名の草すべりとは、山の登山ルートの名前だ。
浅間山にあるそうだが、遠い山なので浅間山自体あまり馴染みがない。
昔、子供の頃に起きた立てこもり事件を連想してしまう。
主人公は末期患者を毎日何人か見送る激務に耐えかねてうつ病を発症してしまい、療養を兼ねて山登りをしている、ほぼ作者とかさねてしまうような中年男性だ。
昔のできごとや、幼い頃の記憶や、現実のできごとなどを交錯させながら、淡々と綴られている、そのあきらめではないがすべては受け入れるしか無いのだという一種悟りのような境地はこの年になると、すんなりと入ってくるものがある。
文中に出てきた言葉で「山歩きは人生の復路に入ってから始めた方が、より多くの五感の刺激を体に受け入れられる気がする。
若い身体は余剰の熱を外に向けて、発散するばかりだが、老い始めると代謝の低下した身体は外部からのエネルギーを積極的に取り込むようになる」という件は大いに共感するところだ。
草すべり / 南木佳士・著
★★★☆☆