院長のひとりごと

私、竹村院長が食べ物から健康まで基本的にノンジャンルでかきつづります。

「県民性と医療費。」

2007年03月12日 07時04分24秒 | ノンジャンル
昨日神保町まで行って聴いてきた講演会の中で

厚労省のエライ方の面白い話がありました。

その方は日本でかかった国民医療費の内訳や傾向を

徹底的に分析して医療費の適正化をすすめるという

大事なお仕事をされてる方です。


その際に各都道府県の医療費内訳をみると県民性や

土地文化が見えてくるのだそうです。


まず、とても医療費のかかるのが最近話題の生活習慣病、

とりわけ糖尿病なんかはとても大きなキーを握っている疾病です。

どういうわけか徳島県がこの糖尿病に関しては他県を全くよせつけないほどの

ブッチギリ独走状態なんだそうです。

強いて言えば香川がそれに迫るくらいです。


徳島や香川が他県と比べて糖尿病患者数においてそんなにも開きがあるのは

どういうことだろう?と誰もが思うはずです。


それこそが食文化、土地風土です。


徳島・香川にはほとんど田んぼが無く、昔っから米がとれません。

米はとれないけどキビはとれたので、それで砂糖を作り、ずっと昔から

幕府に砂糖を年貢として収めてきたという歴史があります。

今でも徳島の和三盆といえば日本で一番高級な砂糖です。


そんな歴史背景もあって徳島香川は砂糖にとっても縁があり、

砂糖が食文化に強力に食い込んでるため、この地方は食べるものが

なんでもかんでも甘いのだそうです。


それに加えて、米が取れない代わりにこの地方の人はとにかくうどんをよく食べます。

我々関東の人間が想像しづらいほどのうどんを彼らは食うようです。

徳島は「たらいうどん」というたっぷりのうどんをこれまた甘いたまり醤油で

食うのですから血糖値はガツーンと上がりますわな。


ただ、これは彼らの文化ですから、それを根本から健康志向の食文化に

変えていくのは難しいでしょう。


日本は細長い島ですが、和歌山から西に行くと醤油が甘くなるのだそうです。

ちょうど列島の半分ですね。

で、醤油が甘い地域が軒並み医療費が高いというデータがしっかり出ているのは

院長も興味深く聞いてしまいました。


こんなお話もしていました。


日本各地で国民を健康にしよう!という運動がここ25年くらい進められていますが

それなりに目標を達成した地域や、全然ダメだった地域での医療費を比較すると

とんでもないことに、施策が全然上手くいかなかった地域の医療費が安かったのだそうです。

国民を健康にして医療費を下げるのを目標にしてきた施策なのに、

この結果は大変ショッキングです。



長野なんかがその典型らしいですが、あそこはあの周辺地域の中ではとりわけ

しょっぱいものばかり好んで食べている地域です。

高血圧量産地域と言うことです。


だから不健康なんですが、その分、すぐ死ぬんです。


一番金のかからない死に方というのは、昨日まで元気だった人が

ポックリと逝くことです。

「ピンピンコロリで逝きましょう」なんてスローガンもあるくらいなので

そういった意味では長野はすごく医療費のかからない県なのです。

施策は失敗してるのに、結果、医療費の面では上手くいってるのが長野です。



こうやって、その土地の歴史や風土、食文化と県民性なんかの相関を

みていくのって院長、すごくおもしろいと思うのですが・・・伝わった?