できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

内閣府「青少年育成施策大綱」から(1)

2007-10-21 20:40:44 | 学問

いま、自分の勤務校での授業との関係で、内閣府「青少年育成施策大綱」(2003年12月)を読み直しています。ちなみに、この大綱の全文と、大綱作成の前段階ともいえる「青少年の青少年の育成に関する有識者懇談会」の報告は、内閣府政策統括官(総合企画調整担当)監修の『青少年の育成を考える』(ぎょうせい、2004年)で読むことができます。以下、ページ数だけ示しているときは、この本からの引用だとご理解ください。

さて、この「青少年育成施策大綱」の内容、もちろん何もかも両手を挙げて賛成というのではありません。内容的には「なんだこれ?」といいたい部分もあります。ですが、随所に今の青少年の抱えている諸課題について、地方自治体行政が何に、どのように取り組めばいいのかという方向性を、政府なりに一度、きちんと考えようとした形跡が伺えるところがあります。そういった部分をうまく読み込み、積極的に活かしていけば、大阪市のような地方自治体でも、青少年施策の充実に向けてできそうなことが多々あるような気がしています。

そこで今後、何度かにわけて、このブログでは内閣府「青少年育成施策大綱」の内容のなかから、私が興味を抱いた部分を紹介していこうと思います。ただし、途中、何度か途切れたり、あるいは、別の話を記事として書き込んだりすることもあるかと思いますが・・・・。

まず、この間、ずっと大阪市の青少年会館条例廃止の問題について、それに反対する立場から、このブログでは積極的に情報発信をしてきました。そのことに関連する「青少年育成施策大綱」の内容を1つだけ、今日は紹介しておきます(色を変えている部分です)。この④は、いずれも、学童期の子どもの育成に関して提案されている内容です。

<『青少年の育成を考える』p.385(一部略)>

④社会的自立につながる活動機会の保障

(集団遊びの機会の確保)

放課後児童クラブ、児童館・学校施設・公園等を活用し、集団遊びの場の確保を目指す。このほか、地域等における自発的・創造的な遊びの機会づくりを推進する。

(地域等での多様な活動)

子どもが自分の興味や関心に基づいて、楽しみながら、芸術文化・伝統文化体験、読書、科学技術体験、動物とのふれあい、農林漁業体験、環境活動等の自然体験活動、スポーツ等の多様な活動を自主的に行えるよう、学校・社会教育施設や地域の青少年団体、NPO等の様々な場における諸事業を支援する。

いかがでしょうか? 

こういう「青少年育成施策大綱」の内容からすると、例えば大阪市内の青少年会館だけでなく、児童館やトモノス(勤労青少年ホーム)を「廃止」したことの是非が、国の青少年施策との対応関係からも問われます。

また、一生懸命、大阪市内で子どもたちを相手に活動中のNPOにも、民間学童保育に対する積極的な支援策も、地方自治体としての大阪市として何ができるか問われるでしょうし、市内各小学校で実施中の「放課後いきいき事業」もより一層の充実が求められることになるでしょう。

さらに、大阪市内の他の社会教育・生涯学習施設や博物館・美術館、スポーツ施設、あるいは大阪市の所有する野外活動施設だって、その活動をより活性化させるための取り組みが求められる、ということになるでしょうか。

とすれば、私ならば今度、市長選挙に出る(現職を含む)4人の候補者には、当選後、こういった「社会的自立につながる活動機会の保障」について、どういった施策に取り組むつもりなのか、ぜひ聴いてみたいところです。

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市議会議事録を読んでみては?

2007-10-21 19:59:05 | 国際・政治

もうすぐ大阪市長選挙。現職の市長も含め、4人の立候補予定者の顔ぶれがでてきたようで、これからいよいよ選挙戦がはじまるところです。

さて、私としては、誰がどの政党市議団の推薦等を受けるのかがはっきりしたら、その政党市議団の青少年会館条例廃止問題への対応がどうであったのか、大阪市議会ホームページで検索して、この1年間くらいの議事録をよく読んでみることをおすすめします。また、今の市長についても、市議会で青少年会館条例廃止問題について、どういう答弁・説明をしてきたのか、検索してよく読んでおくことをおすすめしたいと思います。

たとえば、これは以前もこのブログで書いたかもしれませんが、以下は大阪市議会のホームページから、昨年11月28日の財政総務常任委員会での市長の青少年会館条例廃止問題に関する答弁の内容を引用したものです。

◎市長 10月10日に大阪市としての方針案を取りまとめて公表して以降、市会で御議論をいただき、そして各施設の利用者あるいは市民の方からさまざまな要望や御意見をいただいてることは、もちろん私もそれをいただいてるわけでありますので承知しております。
 利用者あるいは市民の方からの主な御意見は、利用者、市民の立場に立った施設運営のあり方を示されたい、また利用者や市民への説明の場や意見を聞く場を持ってほしいといったものであるというふうに思っております。
 今後、方針案から方針にこれを確定しまして、具体に取り組むに当たりましては、各施設については、利用者や市民の声をお聞きしながら、基本的には市民の自主的な活動にこのような施設を積極的に活用していただきたいと思っておりますし、全市的な展開を図る事業の実施場所としても使用していただくなど、幅広い活用を図っていきたいというふうに考えております。
 いずれにしましても、本市の考え方につきましては、市民の皆さんに十分御理解いただけるよう、市としての説明責任はきちっと果たしていきたいというふうに考えております。

さて、本当にこの答弁(説明)のとおり、今の市長が大阪市内の各青少年会館の利用者や市民に対して動いたかどうか? また、動いたとして、その動き方は利用者や市民の側から見て納得できるものであったのか? そのことは、各館利用者のみなさんが、一番よくご存知のことかと思います。

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