できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

今度は「多様な教育機会確保法案」に思うこと。(8)―今度は別の切り口から読んでみる―

2016-03-16 22:55:04 | 受験・学校

今日、花粉症に悩まされながらも、ある人とのメールのやりとりでふと、気付いたこと。先日の公教育計画学会研究集会in京都以来、考えてきたこともありますが・・・。「たとえ話」で書くとわかりやすいと思うので、それで書きます。

①ある過疎地域の町村で、子どもの数が激減。小1~中3までの子どもがその町村全体で100人ほどになってしまった・・・。

②子どもの数と学校の適正規模を考えると、小中一貫の公立学校をその町村で1校つくって、維持するのがやっと。なので、その町村の中心部に1校、公立の義務教育学校を設置して、バスで巡回して登下校をサポートすることにした。これで一応、学校教育法上の市町村の学校設置義務はクリアした形をつくる。

③ところが、その町村でいちばん学校から遠い集落Aの子どもたちが、「バス通学に1時間かかるのはしんどい」「もう遠いから、あそこまで行きたくない・・・」と訴え、学校を休みはじめた。その集落には、人数的には小中学生あわせて10人ほどいる。

④その一方、その集落Aには、廃校になった小学校のあと施設が、高齢者施設やスポーツ施設などの複合施設として利用されている。

⑤そこで、その10人ほどが「不登校」の状態であると考え、この子たちを対象に、「遠隔地の子どもを対象にしての通信教育」を導入し、集落Aのおとなの誰かを世話係にして、その複合施設でICT技術を活用した学習活動を行う。これをもって「義務教育に代替」したものと見なす。あるいは、「いっそその世話係の方を中心にフリースクールを立ち上げてもらって、それで義務教育を代替したことと見なす」なんてことも・・・。(で、この通信教育の部分をどこかの教育産業に「外注」に出す、なんてこともありうる)

⑥そして集落Aでそういう対応が可能なら、集落Bも、Cも同じ対応を・・・と続いていき、気付けばその町村の中心街の学校そのものも『いっそ、公設民営でフリースクールに任せてもいいんじゃないか?』なんて話に・・・。(そうしたらバスの維持費要らないし、学校の維持費等々も安くつくんじゃないか・・・)

⑦あと、ほんとうに「義務教育に代替」したものを受けたとみなしていいかどうかは、「中学校卒業程度認定テスト」を集落Aの子どもに受験させて、一定のレベルをクリアできたかどうかをチェックすればいい、と考える。

ということで、「多様な教育機会確保法案」が成立後、「学校統廃合」が進む過疎地域で「こういうこと、ありうるんじゃない?」と私が考えたことでした。公教育計画学会の先日の研究集会でも、ちらっとそんな話が出ていたように思うので。

ちなみに教育再生実行会議の第6次提言の前半は、「一億総活躍社会」実現を目指してのフリーター・ニート防止の観点から、不登校対応(そのなかにフリースクールを位置づける)の話がでていますが、後半は「地方創生」の文脈で、過疎地域で小規模校存続の観点から「ICTを活用した教育」等々の話がでています。



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