できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

今日(5月27日)のプリキュアの話です。

2018-05-27 09:52:46 | プリキュア話

おはようございます。

いや~今朝のプリキュアも、なかなか奥が深いですね~。

今日も基本的なストーリー展開自体は、フレッシュプリキュアとかスイートプリキュア、プリンセスプリキュアといった過去のプリキュアと同じく、「かつて敵だった存在とプリキュアたちが和解して、その敵が仲間になる」という流れなのですが。

ただ、今回はその基本的なストーリー展開に、今年のプリキュアの敵・クライアス社のつくったアンドロイド、ルールーちゃんの物語が加わるので、より一層、物語に深みがでています。そこで、どんな展開だったのか、今日のプリキュアをふりかえっておきましょう。

まず冒頭ですが。先週、クライアス社の課長・パップルに引き取られて会社に連れ戻されたルールーが、プリキュアたちとの交流の記憶を消されて、戦闘用アンドロイドに改造される場面からはじまります。

どうやらルールーは、クライアス社が実現した理想の環境、つまり人間らしい感情の消えた喜びも悲しみもない世界、過去も未来もない世界で、人間をただ管理するためにつくられたアンドロイドのようです。また、ルールーに埋め込まれたプログラムでは、こういう喜びも悲しみもない世界が理想で、当然、そこには人間のこころが「バグ」のようなものとして設定されているってことになっています。

ただし、パップルはルールーを改造をするときに、プリキュアたちとたたかわせるために、ルールーが持っていたプリキュアとの戦闘用のデータだけは消しませんでした。また、ルールーも記憶を消されるプロセスで、なぜかはな(キュアエール)の一家との写真だけは消さないようにしました。ここが後々、いろんな展開につながってきます。

一方、プリキュアたちの側はどうか。「ルールーは敵だ。自分たちはだまされていたんだ。連れ戻された以上、今までのようなルールーじゃなくなる。クライアス社のすることだから」と、イクメン風のハリーはプリキュアたちに語ります。でも、はなたちは「だまされていたわけじゃない。ルールーは敵じゃない。どこかに私たちと同じ心がある」と言って、ルールーを迎えにいこうとします。

ここでふと、「なぜ、ハリーはクライアス社のことをそんなにも知っているのか?」という疑問がわくのですが…。これもきっと、後々、何かのストーリー展開につながるのでしょう。

そして、ルールーを探しに行ったプリキュアたちは、戦闘用アンドロイドに改造されたルールーと、その様子を見に来たパップルに出会います。当然ながら、ルールーはプリキュアたちを攻撃します。戦うこと以外の方法ではルールーとまともに話し合えないとわかったプリキュアたちは、すぐに変身。ルールーと真正面からぶつかります。このあたりは過去のプリキュアたちと同じような展開ですね。また、ルールーは戦闘用のデータにもとづいて、キュアエール・キュアエトワール・キュアアンジュの弱点を正確に攻撃してきます。

ただ、それでも3人のプリキュアは、あきらめない。3人の力をあわせてルールーの攻撃を跳ね返したあと、巨大な竜巻のなかに居るルールーのところへ、アンジュ・エトワールのアシストによって、キュアエールが飛び込みます。その竜巻のなかでキュアエールとルールーが素手でぶつかりあうなかで、まずはルールーの戦闘用スーツが壊されます。次に、ルールーが急に苦しみだし、「胸が痛い…」と言い始めます。

どうやらルールーとキュアエールがこうして一対一で、素手でぶつかりあうなかで、ルールーのなかで消去されずに残っていた戦闘用データやはな(キュアエール)の一家の記憶がよみがえってきて、新たに書き足された戦闘用アンドロイドとしてのデータと激しくぶつかりあったようです。戦闘用データといってもやはりプリキュアの記憶。プリキュアたちとルールーとの出会いからこれまで間の出来事の記憶、特によかった記憶までは、完全に消し去ることができなかったようです。それだけに、ルールーは苦しみます。

この消したくても消せない記憶がよみがえって苦しむ…というルールーの様子は、どことなくPTSDのことを思い出させます。ただ、ルールーの場合はむしろ、新たに追加された戦闘用プログラムにとって、プリキュアたちとのよかった記憶がよみがえることが「バグ」になるわけですが。

一方、ルールーは竜巻のなかで、自分はプリキュアたちをだましたこと、本当はクライアス社のアンドロイドだということ、自分に近寄ったらだめなんだということを、ルールーはキュアエールに伝えます。でも、キュアエールは「だまされてなんかいない。そんな風に思っていない」と言って、さらにルールーに近寄ります。そして「自分もルールーと同じように、胸が奥の方から痛い。ルールーのことがだいすきだから、嫌いになんかならない」と、キュアエールがルールーの手を握って伝えたとき、竜巻がどこかへ消えます。

その竜巻が消えたあと、なんと不思議な赤ちゃん・はぐたんがルールーのそばにハイハイしていき、「よしよし」とルールーをなでます。そうするとルールーは大声で泣き出すとともに、「私のプログラムは上書きされました」といって、パップルを攻撃して追い返します。

ラストのシーンでは、ルールーが「なんだか胸が今はあたたかい」といい、「このプログラムのバグを修正したい」というのですが、さあや(キュアアンジュ)やほまれ(キュアエトワール)に「それはバグじゃない。私たちと同じこころだよ」と言われます。そして、「おかえり、ルールー」というはなと抱き合います。その様子をなぜか木の陰から、プリキュアたちにあこがれる小学生のえみるちゃんが見ていました。このえみるちゃんのことは次週の予告編につながるところで、次週はえみるちゃんとルールーの関係が軸になるようですね。

こんな感じで、クライアス社がつくりだしたアンドロイドとしてのルールーにも、プリキュアたちはとうとう「人間としての感情」特に「良心」を創り出してしまいました。こうなってしまいますと、アンドロイドと人間との境界は、ますますわからなくなってしまいますね。これってけっこう、奥深い話ですよね。

しかも、その「人間としての感情」「良心」というものは、毎日の何気ない楽しかった出来事の記憶、人と人との間で起きたよかったこと・うれしかった出来事の記憶の積み重ねから生まれてくるし、それはそう簡単に消したりはできないということ。そういうことも、今回のプリキュアの物語にはメッセージとして込められているように思いました。

それにしても、クライアス社はなぜ人間の感情の世界を消そうとしているんですかねえ? かつてフレッシュプリキュアのときも、メビウスというホストコンピューターに支配されたパラレルワールドでは、人々が感情を失って、ただぷろぐらむに沿って生きている環境が描かれていたんですが。そして、そこからメビウスのしもべとしてやってきた敵・イースが、プリキュアたちと出会って徐々に感情をとりもどし、やがてキュアパッションになっていったんですが…。


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