できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

11月3日付けの朝日新聞の記事に関して(神戸の教員間いじめ問題関連)

2019-11-03 21:51:14 | 受験・学校

今日11月3日付けの朝日新聞で、例の神戸の教員間いじめの問題について、下記のような記事が出ていました。そのことに関連して、コメントをさせていただきます。なお、有料記事なんで、全文読める人・読めない人がいるかと思いますが…。

教員間暴力、異例のスピード処分 押し切った神戸市教委 (2019年11月3日付け朝日新聞配信)

https://digital.asahi.com/articles/ASMC155GMMC1PIHB01Q.html?_requesturl=articles%2FASMC155GMMC1PIHB01Q.html&pn=5

この記事に対して思うことはいろいろあるのですが、思いつくままに書いていきますね。

(1)前にも書きましたが(市長の方針が出た段階で…)、そもそも、市教委に新たにおかれた改革特命担当課長、首長部局の教育行政支援課長って、何をする人なんでしょうかね? 「市長のお使い」でしょうか? それとも「市長のメッセンジャー」なのでしょうか? だいたい、このたびの教員間いじめの問題に関して、今の市教委や学校現場の抱えている諸課題がわかっていない段階で、何を「特命」で改革させるのか? あるいは「教育行政を支援する」という美しい言葉で語っていながら、実態は「市長による市教委への監視」を強めているだけなのではないか? そういう疑念のぬぐえない人事ですね。それに…。急に異動でこのポストにすえられた神戸市の行政職の方も、戸惑いばかりでたいへんかと思います。まずは神戸市議会+マスコミのみなさん、そして神戸市民のみなさん、ここ、ぜひとも突っ込んでください。あまりにも拙速な対応だと思いますので。「評判リスク管理」のひとつとして、「改革やってるふり」もしくは「改革やってるふり(カゲでもっとたちの悪いことをする=惨事便乗型改革)」として、この人事をやっているような印象です。

(2)朝日新聞のこの記事にも、先日書いた「評判リスク管理」の対応と、それの失敗・問題点を指摘するコメントがでていますね。以下、引用しておきます。「まったくおっしゃるとおり」ですので、今後も神戸の市議さんたち、マスコミの人たち、そして神戸市民のみなさん、どんどん市長や市教委上層部の対応に突っ込みを入れてください。

<引用部分開始>

今回のスピード処分は、世論を背景に市教委改革への関わりを強めたい市長と、市民の怒りを早く収めたい市教委の思惑が合致した結果ともいえる。だが、条例改正に賛成した市議にも「第三者としての見識を期待されている審査会への批判はやりすぎだ」と市長の姿勢を危ぶむ声がある。

改正条例と憲法との整合性に疑問を示す意見もある。鹿児島大の渡辺弘・准教授(憲法学・法教育論)は朝日新聞の取材に「改正条例は、事後に作ったルールでそれ以前の行為を理由に不利益を課すことを禁じた憲法の趣旨に触れる可能性がある」と指摘。恣意(しい)的な運用を防ぐ措置も不十分だとして、条例を再検討すべきだとの考えを示した。

<以上、引用おわり>

(3)あわせて、この記事には、分限懲戒審査会の議論の「要旨」が掲載されています。この「要旨」についても、きわめて重要な指摘がなされていますので、以下のとおり引用します。これを読むとわかるとおり、実は審査会にいる弁護士らの判断では、今まで判明している事実経過などからすると、刑事事件として起訴される恐れが「低い」教員も、この加害教員側にはいるとのことですね。また、正確な事実認定や厳格な判断・解釈をふまえて、分限休職の要件にあたるかどうかが今回改正された条例で判断できるのであれば、「もういっそ、懲戒処分をするべきだ」という考え方も「一理あり」ですね。

<引用部分開始>

(加害側4教諭の行為が)今回の市条例改正で追加された分限休職の要件にあたるかどうかの判断は、職員に重大な不利益を及ぼすものなので、正確な事実認定と厳格な判断・解釈が必要とされるであろう。

 本来、そのような判断は懲戒処分においてなされるべきで、そうした判断ができるのなら、それはもはや休職を命じるよりは、懲戒処分として停職や免職を命じるべきものであろう。

 本件は厳格な解釈・判断が求められる一方、確定的判断をする懲戒処分の前にしなければならないというジレンマを内包している。

 現段階での調査資料による限り、(加害側4教諭の行為は)重大な非違行為とはいえ、4人の間にも行為に軽重があって一律には論じられない。刑事処罰の動きにしても、被害届が出されて警察の捜査が始まった段階であり、事案の性質上、起訴される蓋然性(がいぜんせい)が高いとはいえない。また、一部の教諭はその蓋然性が非常に低いと思われる。

 従って、当審査会としては、本件について改正条例を適用することは不相当と考える。第三者委員会の報告が出た後、速やかに懲戒処分をされるべきだ。

<引用部分終了>

この(1)~(3)のコメントでもお分かりいただけるとおり、私がこれまでこのブログで「神戸市長や市教委上層部の対応はおかしい」と言い続けてきたことは、あながち、誤りではなかった…(というか、むしろ法的な議論としても『正論』だ)ということになりますね。

なので「加害教員のやったことにはそれ相応の処分は今後、行われるとしても…。そのことに便乗して市長や市教委上層部がこの約1か月近くのあいだやってきたことにも、やはり、それ相応の問題がある。したがって、これから各方面から批判されて、対応の誤りを認めて是正すべきなのは、神戸市長と市教委上層部の側である」ということ。そのことを再度、ここで述べておきたいと思います。




 


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今年の学園祭、模擬店を学生たちと出してみました。みなさんお世話になりました。

2019-11-03 21:32:20 | 私の「仲間」たちへ

私の勤務する京都精華大学では、10月31日が準備日、そして11月1日・2日と学園祭(木野祭)で、私はその学園祭での模擬店への対応に追われていました。今日の片づけ日は他のスタッフ+学生たちに任せて休ませてもらいましたが…。楽しかったけど、けっこう疲れましたね。やっぱり学生は元気だわ…。

実は私、去年から「学修支援センター」という部署の長を務めています。その「学修支援センター」には、臨床心理士や社会福祉士が学生たちの相談対応にあたる「学生相談室」とともに、留学生の日本語学修や生活面でのサポートにあたる「日本語学修支援室」という部屋があります(ちなみに、どちらの部屋においても、「大学生活でさまざまな困難に直面している・しやすい学生たちへの支援」という意味で、ひとつのセンターで対応していこう…という趣旨ですね)。

その「日本語学修支援室」に集まってきた留学生たちと、その留学生たちと日頃、遊んだり、学修をしたり…という日本人学生とをより仲良くしよう、もっと積極的に交流させてみようという趣旨で、「今年は模擬店を出してみよう」と働きかけてみました。そこで、学生たちが考えた結果、チーズドックとポテト餃子(じゃがいもを餃子の皮でつつんだもの)を売る模擬店を出した次第です。

ほんとこの準備日、祭り2日間、そして片づけ日と、留学生も日本人学生も、そして日本語学修支援室のスタッフのみなさんも、よく動かれたなあって思います。学生たちにとっては、自分たちで企画・運営し、実際に完売するところまでチーズドックとポテト餃子を売ってみる…という、貴重な体験ができたと思います。みなさんのがんばりに、心から敬意を表したいと思います。

そして、最後になりましたが、このたびの学園祭に来ていただいたみなさん、そして模擬店でチーズドックとポテト餃子をお買い上げいただいたみなさん、ほんとうにお世話になりました。ありがとうございました。

 


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