先ほど今日のプリキュアを見ました。さっそくコメントをしておきます。
いよいよ今年のプリキュアも、残り数回。1年間のプリキュアたちの成長をふりかえりつつ、今年の物語の謎解きをして、1月の敵との最終決戦までどう話をもっていくのか、という局面に至りました。
今回放送分はまどか(キュアセレーネ)を中心にしながら話を組み立てることで、「もうすぐ、今年の物語がおわりますよ~」ということをいろんな意味で暗示する、そういう回になったように思いました。
また、今回放送分はどちらかというと、プリキュアを見ている保護者層向けの物語かと。親の言うことを聴いて育ってきた子どもが、いつか自分の意志で物事を考え、動きたがるようになる。それって「成長」なんだということ。また、その「成長」のプロセスには、親以上に、同じ年頃の仲間との出会いが大事なんだということ。そういうメッセージを今回、ストーリーのなかにちりばめていたように思いました。
では、以下、いつもどおりにストーリー展開をふりかえっておきましょう。
○出だしは前回放送分からの話のつづきです。ララ(キュアミルキー)が異星人ではなく、自分の仲間であることを強く父に主張したまどか(キュアセレーネ)は、その後、父が話をしようとしないことに不安を抱きます。前にも書いたとおり、まどかの父は宇宙人対策(=宇宙人追放)を担当する政府高官です。
○生徒会長の新旧引継ぎ(=ここで新しい会長からの「プリキュアは引き継げません」的な小ネタ話を挟んでくるのですが。これも前回放送分からの続きです)を無事に終えた夜、その不安を、まどかは直接、父にぶつけます。「ララのことをなぜ聴かないのか?」と問うまどかに対して、父は「宇宙人対策を立派にやりとげて出世しようと思ったが、裏目に出た。政府の役人として、自分は言われたとおりに動く。まどかも、何もかも私に任せればいい。ロンドンへの留学の準備はどうするのか? 仲間との関係もこれでおしまいになる」と語ります。ここで、今年の物語ももうすぐおしまい(=プリキュアたちはいずれバラバラになる)だということ、父はまどかを思うように育てたかったこと、この2つのことが明らかになります。
○その後、まどかは他のプリキュアたちとドーナツを食べながら、河原で話をします。そのときに同級生のエレナ(キュアソレイユ)に対して、まどかは「私はどうすべきか。父の言うとおりにすべきなのか。私は月みたいな存在で、自分では輝けない」と語ります。エレナは「まどかの笑顔はまぶしい。プリキュアになるまで、そんなことに気付かなかった」と。まどかとエレナは、ひかる(キュアスター)たちと出会って、みんなのおかげで笑顔になったことを確認します。そしてエレナはまどかに、「誰のそばにいるときの自分が一番の笑顔なのか。それでこれからのことを考えたら?」という話をします。このことが、今回放送分のラストにもつながってきます。
○一方、今回はガルオウガが敵として出撃してきます。ガルオウガは敵のボス・ダークネストのパワーを借りて、速さが増しています。ドーナツを食べていたプリキュアたちも変身して、すぐに応戦しますが、やられる一方です。そんななか、妖精フワがガルオウガに体当たりしようとします。それを見て、変身後のキュアセレーネが「フワは私が守る」と言って、ここからガルオウガ対キュアセレーネの1対1の対決場面になります。
○ここでふと気付いたのですが、ガルオウガはどうも、キュアセレーネ=まどかにとって「対決すべき敵」であるとともに、「ホンネでぶつかりたい父親の代わり」でもあったようです。というのも、ガルオウガは「宇宙を支配するダークネストのために我が身をすべて捧げてきた。自分を捨てる覚悟のないものになにができるか。自分は自分を捨てて大きな力を得たのだ、自分など必要ない」とキュアセレーネに語るからです。このガルオウガの言うことは、出世のために自分の意志を脇においたまどかの父と、相似形です。そして、ガルオウガは強力なパワーでキュアセレーネを追いつめます。
○ただ、何度もガルオウガに倒されながらも、それでもキュアセレーネは立ちあがってくる。「なぜ立とうとする? ひとりで何ができる?」 そういうガルオウガに対して、キュアセレーネは「みんなと出会うまでは分からなかった。でも、今はわかる。みんなといっしょに居たい、笑顔でいたい。自分に嘘はつきたくない」ときっぱりと言います。ここで、キュアセレーネにトゥインクルイマジネーションの力が目覚めます。そして「お前たちには未来はない」というガルオウガに対して、「私は、自分で自分の未来を決めます!」と言い返すキュアセレーネ。ここから先は、目覚めたトゥインクルイマジネーションの力をつかって、5人のプリキュア+フワの合体技をつかって、ガルオウガを追い払うわけですね。
○ガルオウガが去って行ったときに、さりげなくキュアソレイユ(=エレナですが)がキュアセレーネに「かがやいてるって」と一言いいます。「誰のそばにいるときの自分が輝いているか、それを考えたら?」という話は、ここにつながるわけです。
○ラストのシーンですが、まどかは父に対して、「これからもひかるたちと交流していく。いままで自分は何もわかっていないから、父の言うことに従ってきた。でも、自分でこれからは見つけたい。留学をどうするかも自分で考える。みんなと出会って知ったことがたくさんある。それもお父様のおかげ」ときっぱり伝えます。ガルオウガとの対決で、何かまどか(=キュアセレーネ)はふっきれたようです。そういうまどかを見て、父は戸惑うわけですが…。でも、まどかの母は「すっかり大きくなって。これって、誤りではないわ。成長っていうのよ」と、まどかの父に語りかけます。ここで今回の放送分はおわりです。・・・とまぁ、こんな感じで、保護者層向けに「子どもの自立ってこんなこと」というメッセージを伝える内容になっていたわけですね。
○なお、次回はエレナの進路の問題ですね。まどかとドーナツ食べながら話すときに、「実は自分も進路のこと、決めていない」と言ってましたので。
○それから、あらためて今回気づきましたが…。もしかしたら、ガルオウガ対キュアセレーネ(親からの自立)、アイワーン対キュアコスモ(敵対していた人々との許しと和解)、カッパード対キュアミルキー(文化の異なる人々のなかで自分らしく生きること)、テンジョウ対キュアソレイユ(悲しみの向こうにある笑顔)という感じで、個々のプリキュアが乗り越えていくべき自分の課題と、それぞれの敵とが対応しているのではないかと。だとすると、敵のボス・ダークネスト対キュアスターはいったい、どういう課題が対応しているのでしょうか? そこにふと、疑問が出ました。