取り越し苦労

ついに次女の出産予定日の日がやってきた。
予定日はあくまでも予定日であって、実際には１週間ぐらい遅
れるのが相場だろう。ところが次女からの電話で「陣痛がはじ
まったので、今、病院にいる」。思いもよらない予想外の展開
に一瞬おどろいたが、近くにいる長女に連絡を入れブッチャー
かあさんは、長女と病院に向かった。
・
私は事務所で、そわそわしながら定刻がくるのを待った。
「どうだ、もう出たか」「なかなか出そうにないよ」
昼の１１時ごろに「陣痛」の電話がかかってきて、すでに６
時間がたつというのに「まだ？」。こりぁ～、長期戦になる。
一旦家に帰り、産まれたら病院に直行しようと思った。しか
し、待てど暮らせどいつまでたっても電話もメールもない。
時計を見ると、夜中の１１時半。最初の陣痛がはじまって、
半日の１２時間もたつというのに大丈夫だろうか。
長女の最初の子は、難産で危なかったので一抹の不安が。
とりあえず、ここは一眠りしておくことにしておこう・・・。
・
早朝５時前に目が覚め、スマホにメールが入っていないか確認
したが特になし。しばらく時がたつのをまったが、いてもたっ
てもいられなくなって暗がりの中、車で病院に向かった。
５時半についたが正面玄関はカギ、｛お急ぎの方は西駐車場
入り口へどうぞ｝。受付をすませ、急ぎ病室に向かった。
病室５０６号室に行き、インターホンを押すと「ちょっと待
って」のブッチャーかあさんの声。待つこと１分ほどすると
、病室からびっくりするぐらい大きな声で「おぎゃ～」。
この泣き声で、取り越し苦労が一瞬で吹っ飛んだ。
何と、夕べの９時すぎに生まれていたのだった。

 

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