延岡商業高校還暦同窓会

会場に着いたのが４時１５分前だったが、会場入口前にはたくさんの人
だかり。受付に行って名札をもらうと、私の高校時代の顔写真付きには
おどろいた。受付を済ませて入口あたりで回りの様子を見るが、なんせ
４２年ぶりに合う同級生たちだからさっぱり顔がわからない。
するとひとりの女性が近づいてきた。
「児玉君」。「よお～小宮山さんか」。子供の時から近所にいた子で、
この度は幹事と司会役をしていたが当時とあまり変わっていなかった。
初めて顔見知り第１号と会って、なぜだかホッとした。
会場に入り、私のテーブルを見つけておどろいた。そのテーブルの前の
席には当時の担任の先生の名前があったのだ。私は先生の横に座ること
にした。すると同じクラスで仲がよかった友達がやってきた。
「よう児玉」「久しぶり小島」。当時はスラッと細身の男だったが、貫禄
が付いてやや太めになっていた。なつかしかった。
そしていよいよ、担任の先生がやってきた。
「上野園先生お久しぶり」「よお児玉君か、なつかしいな」
先生は、私たちより７歳年上の兄貴みたいな存在だった。
顔と体型は、当時と大きく変わらないが、一ヶ所だけ進行が早いとこ
ろがあった。それは髪の毛が後方に進行していたことだった。
延岡商業高校１１回卒業生は３５０人程で、出席者は約１００名。
まず起立をして、他界した２３名の仲間の冥福を祈った。これから急速
に増えていくことだろうが、これが人生なのだろう。
お酒も進みテーブルにすわっていると、友達が写真撮影にやってきた。
先生の頭上から写真を撮ると、照明の光が頭に反射する。
「ちよっと待った」。せめてもの高校生時代の罪滅ぼしと思い、テーブ
ルにあった名簿をとり、おでこから上を隠してあげた。
すると先生は「ありがとう」とうれしそうだった。

                                                          　

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