私が子どもの頃は『ルンペン』って、大人たちは言ってました。
今で言う『ホームレス』のことを、です。
横浜は港町なもので、港湾労働者が多く集まります。地方から流れてきてそのままホームレスになる人も多かったようです。
公園の一角が青テント村になっているのが当たり前。その横を、子どもたちが走り抜け、カップルが散歩する。おばあちゃん,おじいちゃんたちは「ルンペンに近よっちゃ行けない、誘拐されるよ。』って、言ってました。それでも共存するための不文律のようなものがあって、お互いはけっして関わらないように気をつかっていたフシもあったのです。
やがて呼称が「ルンペン」から「浮浪者」にかわり、バブルの頃に「ホームレス」と変化していきます。
その辺りからでしょうか。『おやじ狩り』『粛正』『大掃除』と称する、一部の学生や社会人によるホームレス襲撃が繰り返されるようになったのは。ホームレス同志の関係も微妙に揺らぎ始め、自らの覚悟でそうなる人より、仕方なくそうなってしまう人の比率が増えたという説も出てきたりしました。
10年ほど前、自宅近くの公園でホームレス同士の殺人事件が起こりました。
間もなく公園の一角にあった青テント村が解体され、公園全体が造成し直されたのです。すっかり地形が変わり何となくよそよそしかった新公園でしたが、数年前、造成前からあった池にカルガモが渡って来ました。以来留年しているのか、震災の後、小さな群れができていました。どうやら渡ってきたつがいが、ひなを生んだようです。
夏の台風のあと、小ガモたちが心配で様子を見にいったら、同じような目的の人たちが三々五々。7羽の無事な姿を確認しては、安心したように帰っていきます。その中のふたりの男性の会話が聞こえてきました。
「あー、帰ってきてるなー」
「よかった、よかった!」
「自分の家が何処かちゃんと知ってるんだな、」
「たいしたもんだ、」
ふりかえってみたら、このおふたり。本物のホームレスでした。
このあと、「東京ゴッドファーザース』が無性に見たくなりました。
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