西宮市議会議員 しぶや祐介の活動日記

「子育てするなら西宮」「文教住宅都市・西宮」「住み続けたいまち西宮」の実現を目指す西宮市会議員のブログ。

手段と目的を混同してはいけません。

2009-02-22 00:10:17 | すべての人にやさしいまちを実現するために

いよいよ明日から3月議会が始まります。
現市長が三選された時から、ある程度、覚悟はしていましたが、
ひどい財政見通しがあがってきました。
その中身については、後日、ブログにてご報告します。
というわけで今日は、予告だけして、すっ飛ばしてしまっている、
中央病院の日記の続きをば。

市は、中央病院を平成23年4月に独立行政法人化することを目標に、
いろいろな取り組みを進めています。
この「独立行政法人」という制度は、「地方独立行政法人法」に基づいて、
 ○地方自治体が直接行う必要はないが、
 ○その目的から考えると民間にゆだねることも難しい
場合に、新たに「行政法人」という法人組織を作って、
仕事を続けていこうという制度です。
この制度の一番のメリットは、
地方自治体から独立した行政法人として、
経営者が権限と責任を持って経営を行うことができる

という点にあるといえるでしょう。
もちろん、このメリットは、本当に活用できるなら、
素晴らしいものだと思います。
でもね、メリットが云々以前の話がいろいろあると思うんですよ。

そもそも、「独立行政法人にするのだ!」という結論は、
「地方自治体が直接行う必要はないが」
「民間にゆだねることも難しい」
と考えたからこそ、でてきたものであるはずです。
ならば独立行政法人化にあたっては、
中央病院がどうこうというレベルの視点ではなく、
 ○地域全体の医療サービス向上という観点から見て
 ○公立病院である中央病院の使命はなんなのか?
 ○特徴はなんであり、それをどのように伸ばしていくのか?
といったところを明らかにすることが非常に重要であるはずです。
その上で、それに沿った経営を行わなければなりません。
それがあって初めて、「民間にゆだねることも難しい」という結論に
説得力が出てくるのではないでしょうか。
ところが、今回病院側から提出された案は、こういった点についての
説得力が非常に弱いものだと感じています。

あくまで一般論としてですが。
自治体の医療機関に求められるのは、
採算が取りにくく、民間の医療機関が手を出しにくい、
小児・産科医療・救急・高度専門医療等の分野に注力することであると
いわれています。
ところが、中央病院が示した方針からは、これらの分野に
注力しようとする姿が、どうにも見えてきません。
先日の委員会での説明の中に、
「中央病院において充実している分野を中心に専門化する」
という趣旨の発言があったのですが、本来、重要なのは、
「今現在充実しているか?」ではなく、
「公立病院として、どの分野を充実させていかなければならないか?」
という視点にあるはずです。
繰り返しになりますが、それがないのであれば、あるいは仮にあっても、
それが本来、公立病院に求められるものとずれているのであれば、
独立行政法人化という方向性自体に、疑問がわいてきます。

現在の中央病院の赤字は、非常に深刻であり、大きな問題です。
しかしながら、赤字が出ていること自体が問題なのではありません。
問題なのは、これだけの巨額な赤字をたたき出し続けているにも関わらず、
本来、公的病院が担うべき役割を担えていないことであり、
将来の病院の姿を描くことができていない点にあると思っています。
今回、中央病院が示した病院の理念は
「地域の医療機関と連携し、地域全体で必要な医療サービスを
 提供できる体制を目指す」
というものでした。
私は、この理念は非常に素晴らしいものだと思います。
だからこそ、この理念を実現するために、中央病院のあり方を
もっと抜本的に考えていくべきだと思うのです。

独立行政法人化は、あくまで手段でしかありません。
大切なのは、掲げた理念を現実のものにすることです。
3年間で20億円を投入して、ただ倒産を一時的に免れるだけというなら、
芸がなさ過ぎます。
引き続き、厳しい姿勢で、臨んでまいります。