ちょうど一週間前、都市計画審議会で報告されたお話。
兵庫県は、塩瀬中学校の北側・約240.6ヘクタールの区画を
「名塩新住宅市街地開発事業」と銘打って、開発を進めてきています。
計画によると、この地区は、
「本地区は、西宮市の北部地域に位置し、複合機能を有する
良好で健全な新住宅市街地の形成を図るため、
阪神都市計画新住宅市街地開発事業として
昭和52年に都市計画決定し、昭和53年に事業着手して
整備が進められている地区です。」
とのこと。
つまり、都市計画決定後、30年が経つ今でも、
都市整備が進められているわけで。
で、今回の都市計画審議会では、
「近年、少子高齢化、住宅ニーズの多様化、産業構造の変化等による
社会情勢の変化は著しい状況です。こうした社会の変化に
適切に対応するため、土地利用計画を変更する必要があります。」
という理由で、兵庫県が都市計画の変更を決定。
その内容を報告するため行われた、というわけです。
この計画には、色々問題がありますが、個人的には最大の問題は
人口想定が甘すぎることだと考えています。
過去30年間に及ぶ開発の結果、平成20年12月末時点で、
この地区には2,277世帯、6,683人の方々が住んでいらっしゃいます。
市の説明によると、
「今後10年間位、平均年間100戸程度のペースで入居が進むと想定」
しているらしいのですが、それほんまかいなと。
市の説明では、過去のこの地区の分譲実績から見ると、
「今後10年間位、平均年間100戸程度」は妥当な数字だというのですが、
過去の実績だけで判断するのが妥当だとは思えません。
私がそう考える理由は二つ。
一つは、過去分譲されてきた区画と、今後分譲される区画では、
土地自体の利便性がまるで違うこと。
もう一つは、少子高齢化が進む中、長期的には
○「土地を購入し、家を建てよう」と考える方の減少
○中心市街地での土地供給の増大を踏まえた、
中心市街地への回帰傾向の強化
といった傾向が鮮明になるだろうと考えているからです。
過去の区画は駅から概ね1km内と比較的便利な場所にありました。
一方で、今後、対象となる区画は駅から離れた、利便性の低い地区であり、
購入希望者が少なくなることは確実です。
(しかも、この地区は土地のアップダウンが極めて厳しく、
南部地区で考える1kmとはわけが違います。)
また、中心市街地への回帰傾向が強まる中、名塩地区で新たな開発を
進めるという考えが現実的なものだとは思えません。
一度、過去の成果について徹底的に検証し、過去の経緯に左右されない
根本的な見直しを行うべきだと思うのですが。
とは言うものの、この計画自体は県が決定するものであり。
私たちから市に対してできることは、
○市としての意見をきちんと持った上で、
○市から、県への意見を十分述べるよう、求めること
しかありません。
はがゆいことです。
まちを開発するということは、道路・上下水道・公園をはじめとした
都市基盤の整備が必要になるということであり。
一度作られた、こうした施設は半永久的に維持・修繕のための
費用を必要とします。
こうした都市基盤を維持するための費用の多くは、
市が負担することになります。
社会全体としての人口の減少が確実視される中、
新たなまちの開発を進めることには、十分慎重であるべきだと思うのですが
市には、いまいち、こうした認識は薄いようで。
ほんま、難儀な話やなと。
言うべきことだけは言ってきたつもりでいますので、
今日は、そのご報告をば。
それでは失礼致します。