今日のブログは少し前のお話で、9月議会に提出された請願についてですよ。
ちなみに請願とは『市政に関する皆さんの要望や意見を市議会に提出することができます。この制度を「請願」「陳情」といいます。議員の紹介のあるものを「請願」、ないものを「陳情」として取り扱います。』というもの(『 』内は西宮市議会HPより引用)。
以下、請願の全文です。
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全国学力・学習状況調査の悉皆実施中止を求める請願
小学校6年生と中学3年生を対象に悉皆で実施されている全国学力・学習状況調査(以下、全国学力調査)は、「児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し」、学校における「教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる」ことが目的とされています。
しかしこの間、平均正答率(学力テストの得点)の公表により、学校や地方自治体が序列化され、子どもと学校が競争に追い立てられる事態が生じています。多くの都道府県や市区町村が、全国学力調査の対策を兼ねて独自の学力テストを実施しており、4割を超える学校で「過去問題を使って指導する」「学力テストを想定した宿題を出す」「実施教科の授業時間を増やす」などの特別な事前指導がおこなわれています。
文科省は、全国学力調査の「実施要領」の中で、「調査により測定できるのは学力の特定の一部分」であり、「序列化や過度な競争が生じないよう……十分配慮することが重要である」などとしていますが、学校も地方自治体も平均正答率に振り回され、全国学力調査と地方独自の学力テストが、本来の授業や学校のとりくみに支障を及ぼし、教育を歪めていることはあきらかです。
また、各学校での事前の準備や独自採点・集計・分析などをおこなうことに膨大な時間と労力が費やされ、教員に長時間労働を強いる要因ともなっています。
コロナ禍のもとで昨年度の全国学力調査は中止となりましたが、2021年度については例年より1か月遅れで実施すると発表されたことを受け、全国一律休校を経て再開された学校では「(休校中の)遅れをとり戻せ」とばかりに、7時間授業や長期休業の短縮などが行われ、子どもたちや教職員に大きな負担をもたらしました。
「あまりに競争的な教育環境」の改善という国連子どもの権利委員会勧告(2019年2月)にこたえるためにも、今、必要なことは、毎年約50億円もの予算を費やして子どもと学校をテストの点数で競わせることではなく、一人ひとりにゆきとどいた教育を保障するための条件整備をおこなうことです。
仮に、全国的な学習状況の調査が必要であるとしても、抽出方式の調査で目的は達せられるはずです。
請願事項
すべての子どもにゆきとどいた教育を求める立場から、下記の内容の意見書を文部科学大臣に提出することを請願します。
1 全国学力・学習状況調査の悉皆実施を中止すること。
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私なりに要約すると「全生徒・児童を対象に『全国学力・学習状況調査』」を実施することは、学校や子供たちの序列化を助長する。即刻辞めるべき!」というところになろうかと。
そもそもこの話、国政に関するところなので、私共、市議会でどうこうできるところではありません。
が実は私自身、全国学力・学習状況調査を今のまま、全員を対象に実施し続けることには問題が多いと考えています。
というわけで、以下の内容を請願に対する討論として述べてきました。
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文部科学省は、全国学力・学習状況調査の目的を
①義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図る。
②学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる。
③そのような取り組みを通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する。
としています。
しかしながら「全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図る」ことが目的であるなら、全員を対象とした試験を実施する必要はなく、抽出調査で十分であるという意見が多くの専門家から述べられています。
また採点・集計に時間がかかり、数か月後にならないと結果が公開されないことから「児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる」ことが難しいという指摘も多くなされています。
こうした指摘に加え、問題の漏洩を防ぐため、同一受験日に全国で一斉実施を行う必要があること等に伴う現場負担の大きさ、目的の①②に示されている通り、いわば「政策のためのテスト」と「指導のためのテスト」という相互に矛盾する要素を一つのテストに持たせたことによって、いずれの目的も果たすことができない中途半端な存在となってしまったといった厳しい指摘もなされています。
こうした点も踏まえ、会派・ぜんしんは全国学力・学習状況調査について、試験自体の在り方も含めた、より広範な範囲での見直しが必要という立場に立っております。
我々は請願の趣旨は一定程度、理解できると考えます。
しかしながら請願趣旨において、現状の日本の教育を「あまりに競争的な教育環境」と定義するなど、我が会派の考えとは異なる立場も含まれています。
また国民的な合意が得られていない現状において、請願が求める「悉皆調査の中止」を求めることは早急に過ぎるものであると考えます。
加えて、目的の③で述べられている「教育に関する継続的な検証改善サイクル」の確率の重要性は言うまでもありません。
こうした点も踏まえ、我々は当該調査について、専門家も含めた広範な議論を行ったうえで、抜本的な見直しを行うべきと考えます。
よって、請願第15号については不採択とすべきと考えます。
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なお以下のリンク先の49分くらいから、動画でもご覧いただけます。
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西宮市議会 議会中継
請願って、政党の主張に沿うような形で、地方自治体単独ではどうしようもない話が上がってくることも結構多いんですよね。
こういう時に、自分も政治家の端くれなんやな…ということを強く実感します。
ある意味、議会全体が議案よりも盛り上がることも多いですし。
と、ボヤきも入りつつつつ今日のブログはこの辺で。
それでは失礼いたします。