西宮市議会議員 しぶや祐介の活動日記

「子育てするなら西宮」「文教住宅都市・西宮」「住み続けたいまち西宮」の実現を目指す西宮市会議員のブログ。

財政難の中、職員の賃上げを実施することに疑問あり。私と所属会派は反対しましたが、賛成多数で可決されてしまいました...

2024-03-25 17:45:09 | 市政全般に関連すること

本日で3月議会も終了。
最終日となる今日、会派としての意見を述べる討論を3件行いました。
今日は、その中から
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●市職員の賃上げとボーナス増
●議員のボーナス増
●市長・副市長・常勤監査委員のボーナス増
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を行おうとする議案3件への反対討論をご紹介しようと思います。
ちょいと長いですが、お付き合い下さい。
 ↓


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会派・ぜんしんは
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●議案第125号「西宮市一般職員の給与に関する条例及び西宮市一般職の任期付職員の採用等に関する条例の一部を改正する条例制定の件」
●議案第127号「西宮市議会議員の議員報酬、費用弁償および期末手当支給条例の一部を改正する条例制定の件」
●議案第128号「市長、副市長及び常勤監査委員の給与条例等の一部を改正する条例制定の件」
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以上3件について反対します。
以下、理由を申し述べます。

人事院勧告は、公務員の労働基本権が制約されていることの代償措置として、社会一般の情勢に適応した適正な給与を確保するために行われます。
したがって本来は勧告に則り、職員の俸給表を改定するとともに、期末勤勉手当を改定することは公務員にとって当然の権利であると言えますし、我が会派も過去、同種の議案に賛成してきました。
加えて昨今、物価の急激な上昇に伴い、生活環境の厳しさが増していること、国の方針や人手不足等の問題もあり、多くの大手民間企業を中心に賃上げが進む傾向にあることも認識しています。
議案125号で示されている、一般職員の俸給表の引き上げ、期末勤勉手当の支給月数増に賛成するべきか否かについて、我が会派でも激しい議論がありました。

しかしながら本市財政は現在、早ければ令和7年度にも予算編成が困難になるかもしれないという、きわめて厳しい状況にあります。
市は「財政構造改善基本方針を示したことで、危機的状況からの脱却に一定の筋道が見えた」との認識を示していますが、その内容の不明瞭さと実現可能性の危うさについては本会議・各委員会等において様々な指摘がなされています。
到底、計画策定をもって財政状況改善への道筋がついたとは言えません。

必要と見込まれる年間40億円の収支改善を確実に実現できる目処さえついていないにもかかわらず、年間5.1億円もの歳出増加に直結する人事院勧告に則った対応を進める。
これは将来の本市財政に、きわめて重大な禍根を残す怖れがあります。
厳しい財政状況の中、市民に対する行政サービスの低下を伴う見直しが続々と進められようとしています。
そのような状況の中、市職員の給料を引き上げるという本市の姿勢は、適切なものと言えるでしょうか?


また、それ以外にも複数の問題があります。
一つ目の問題は、均衡の原則に反するという点です。
閣議決定された「公務員の給与改定に関する取扱いについて」には「地域における国家公務員または民間の給与水準を上回っている地方公共団体にあっては、その適正化を図るため、必要な措置を講ずるよう要請する」と明記されています。
昨年12月議会における一般質問でも指摘したとおり、本市には、国家公務員には存在しない月額給料37万円以上の役職のない職員や、39万円以上の係長が数多く存在します。
こうした層については「適正化を図るため、必要な措置を講ずるよう要請する」という閣議決定に則って対応するべきです。
ところが市は当該諸議案によって、これら職員についても一括して基本給の底上げを実施しようとしています。
 ↓
【ご参照@昨年12月議会での配付資料】


国による勧告は、初任給の大幅な引き上げ等、若手職員の待遇改善を図る面が強いものでした。
この趣旨に則り、国家公務員の給料水準を大幅に上回る中高年齢層の職員の給料改定を見送るなら、我が会派としても賛成する姿勢は持っていました。
しかし市は、我が会派が主張した内容を反映することなく、賃上げを実施しようとしています。
こうした姿勢には到底、賛同できません。

2つ目の問題は、自分達に都合の良い勧告等は受け入れるが、都合の悪い指導等は無視する姿勢が目に余ることです。
先ほど述べたとおり、人事院勧告の「基本給を上積みするべき」という内容は即座に受け入れますが、中高齢層の給料適正化を図るよう求める内容には耳を傾けません。
また国は、平成21年に持ち家の世帯主である国家公務員への住居手当の支給を取りやめており、本市に対しても毎年のように同様の見直しを求めています。
ところが市は議案125号において、持ち家の世帯主に対する住居手当を従来の月額13000円から令和6年7月以降は7500円に、令和7年4月からは6000円に減額はするものの、支給自体は続ける方針を明らかにしました。
55才以上の昇給停止についても近年になって漸く、国からの指導を受け入れましたが、長年に渡って、無視し続けていました。
このような「自分たちに都合の悪い指導等には従わない。が、都合の良い勧告だけは受け入れる!」という姿勢は理解しかねます。

3つ目の問題は、財源に対する認識が、きわめて甘いという点です。
市は、賃上げの原資は交付税によって一定、保証されるとしています。
しかしながら、総務常任委員会での審査において5.1憶円のうち、どれだけが交付税措置されるか?いつまで措置されるかは分からないことが明らかになりました。
繰り返しになりますが、厳しい財政状況の中、年間5億円以上もの歳出増加に直結する人事院勧告を受け入れることは、将来の本市財政に、きわめて重大な禍根を残す怖れがあります。

以上、主に議案125号に対する理由となりましたが、整合性の面からも当然、127号・128号を合わせた3件に反対するものです。
以上、申し述べ、会派・ぜんしんの反対討論とします。

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と、こんな感じです。
なお当該議案群については、私が所属する会派・ぜんしんは反対しましたが、議員のボーナス増を諮る議案127号を除いては賛成多数で可決され、実現することになりました。
127号だけが反対多数になるというのも、イマイチ私にはよく分からないんですけどね。

討論中でも言っているとおり、本市財政が危機的状況におかれていなければ、私どもは当該諸議案に賛成していました。
また現下の状況であっても、勧告の趣旨を踏まえ、若手職員を中心とした昇給に留め、国の水準を大幅に上回る中高年齢層職員の昇給は見送る内容であったなら賛成する考えはあり、当局にもその趣旨は伝えてきました。

これらの議案は、人事院勧告の内容を反映するという本来なら大きな異論が出るはずがない、従来、私も、私が所属する会派も賛成してきた内容です。
これに対して、反対せざるを得ない事態を招いた、その最大の原因は、財政危機を招いた失政にあります。
そのことを、市長をはじめとする当局は強い責任を感じるとともに認識するべきと思っています。

と長くなりましたが、今日のブログは、このへんで。
それでは失礼いたします。


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
賛成会派の本心を知りたい (壺屋一丁目)
2024-03-25 21:37:07
賛成された議員の方々に、その判断理由を聞いてみたいです。とある会派のHPを見たのですが、駅前再開発(財政難を理由に反対)と賃上げ(賛成根拠不明瞭)について、根拠をしっかり踏まえた理論になっていないような気がしました。多様といえば多様なのでしょうが。。
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賛成会派の本心を知りたい(訂正) (壺屋一丁目)
2024-03-25 22:11:25
とある会派のHPを再度見たところ、「賃上げ賛成」までは記載されてはいませんでした。「歳入を増やせ、人は減らすな」との記載(12月議会分)を、最近の体験で混同しました。訂正いたします。
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Unknown (西宮市民)
2024-03-26 11:03:16
しぶや議員はいつも大事な情報をブログにあげてくれるので楽しみにしてます!
いい人材が市役所に入ってほしいので、若手の給与を上げるのは賛成ですね!役職付の方々は財政難の責任もあるのでそのままでいてほしいもんですね。議決って難しいですね。
住居手当についていつも思うんですが、国が持ち家に廃止したのは国には素敵な官舎があって、安くで住める家を提供してるからじゃないんですか?西宮市も安く住める社宅みたいなのあるんですか?
市民としては賃貸か持ち家かは関係なく、他市に住んで高い交通費+住居手当をもらいながら他市に納税してる職員の方が「???」と思いますね。持ち家なら更に他市に固定資産税も払ってるんでしょ?全然西宮市のためになってないですよねー。災害の時とかもすぐ来れなそう。
西宮市に住んでるなら市民税も西宮に払ってるし、西宮市で持ち家ならさらに固定資産税だって西宮に払ってるだろうし、交通費も遠くに住んでるほどはかかってないだろうし、全然住居手当もらってほしいですけどね。
西宮市は住居費も高いし、他市に住んでたらもらえないって制度だったらいいのになと思ってしまいますね。そういう市町村ってないんですか?
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Unknown (ヨネ)
2024-03-26 12:32:25
誰が賛成・反対したのか知っておきたいです。どこかで見ることはできますか?
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Unknown (市民)
2024-03-27 05:56:44
賃貸の場合の住居手当について、国家公務員は月額16,000円を超える職員に月額28,000円支給されますが、西宮市は現状13,000円、今回の支給額変更で14,000円が上限となっており、著しく低いです。

持ち家を国家公務員と同様に手当ゼロを目指すのであれば、同様に賃貸では28,000円支給を目指すことが適当であると思いますが、しぶや議員の考えはいかがでしょうか。

もし、財政難を理由に賃貸での増額を否定するのであれば、持ち家で国家公務員の例をあげるべきではないと思います。
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コメント頂き、ありがとうございます。 (しぶや祐介)
2024-03-27 11:17:05
>壺屋一丁目様

当該議案に対する本会議での討論は、近日中にインターネット中継される予定です。
なので、討論された会派については賛成・反対いずれであっても、そちらで意見・考えをご確認頂くことが可能です。
別途、ブログでもその旨、ご案内させていただきます。

なお今回の議案は極めて悩ましい問題を含んでおり、賛成・反対のいずれかだけが絶対的に正しいとは言えないとも思っています。
率直に申し上げて、私どもにとっても、この議案に反対することは、ある意味、苦渋の決断でした。


>西宮市民様

過分かつ嬉しいお言葉ありがとうございます。
住居手当を国が廃止した理由について正確なところは存じませんが、素敵な官舎があるかについては、個人的にビミョーな感覚を持っています。
知人・友人にも国家公務員はおりますが、近さはともかく、質の面で、到底よい条件とは言い難いような印象を持っていますので。

後半部分については、ご意見の内容に賛同する部分もあります。
類似の内容も含めて、以前、人事と意見交換した際には、きわめて否定的な回答しか返ってこなかったという印象を持っていますが、一考の余地はあるようにも思います。
なお恐縮ですが、他自治体の状況については存じません。


>ヨネ様

手元資料によると、以下の通りです。

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【議案125号】
(賛成)
公明党議員団・市民クラブ・啓誠会・日本共産党西宮市会議員団・あなたの声を市政に!・無所属議員3名

(反対)
日本維新の会 西宮市議団、会派・ぜんしん

【議案127号】
(賛成)
公明党議員団・市民クラブ・啓誠会・無所属議員2名

(反対)
日本維新の会 西宮市議団、会派・ぜんしん・日本共産党西宮市会議員団・あなたの声を市政に!・無所属議員1名

【議案128号】
(賛成)
公明党議員団・市民クラブ・啓誠会・あなたの声を市政に!・無所属議員2名

(反対)
日本維新の会 西宮市議団、会派・ぜんしん・日本共産党西宮市会議員団・無所属議員1名
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なお後日、西宮市議会HPの議案等審議結果 https://www.nishi.or.jp/nishinomiyashigikai/session1/gian-list.html もしくは西宮市議会だよりでご確認いただけます。
こちらについては暫くの間、お待ちいただければと思います。


>市民様

居住地によって家賃水準は大きく異なりますし、必ずしも国と同額を志向するべきとは思いません。
また財政難であるか否かに関わらず、手当等において問題とされている内容について指摘するのは、私の職責として当然のことと考えており、ご指摘には賛同いたしかねます。
なお今回の指摘は、都合の良いことばかりを受け入れ、都合の悪いことは無視する姿勢を問題視したものであり、上の「西宮市民」様のご意見や、それに対する私の回答にもある通り、住居手当のあり方自体については様々な考え方があるものと思ってもいます。


貴重なご意見を頂戴したことに感謝申し上げます。
コメント頂き、ありがとうございました。
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Unknown (西宮市民)
2024-03-28 19:30:16
お返事ありがとうございます!!!
ちょっと議事録調べてみました。確かに交通費に関しても市役所側が「本市に住んでるから必ずしも他市より交通費が少ないわけではない」的な答弁してますね。
必ずしもって…そりゃそうでしょ。ほんと呆れますね。
一考の余地がもしありそうなら、ぜひ検討してほしいですね!
市役所の規定で市内業者を優先して契約するとか色々あったと思いますが、それなら市職員が一番市に税金納めてくれよと思っちゃいますね。
その職員が市に住めば、職員の家族とかも将来市に住んで納める税金や子供とかも増えそうだし。
市に納めた方に手当か、他市に収めた方に手当なしとかあったらいいのになと思いますねー。
返信する
重ねてのコメント、ありがとうございます! (しぶや祐介)
2024-03-29 14:53:45
>西宮市民様

私は元々、阪神沿線に住んでいましたが、前職時代に結婚した際、勤めていた会社の沿線に引っ越しました。
理由は、当時の上司の「この会社に勤めている以上、沿線に住み、この電車で通い、沿線にお金を落とすのが当然と、俺は思っている」という言葉をその通りだと思ったからでした。
そんな私からすれば「それなら市職員が一番市に税金納めてくれよと思っちゃいますね」というお言葉は、とても受け入れやすく感じます。
もちろん、人それぞれ考えも事情もあってのことというのはよく分かっての上ですが、そうした方向に誘導できるような制度があっていいのかも…とも思います。
そして、願わくば市内に住む職員さんには可能な範囲で地域活動に参加することで、地域の活性化にも協力して頂ければ、これに越したことはないとも思っています。

貴重なご意見を頂戴したこと、重ねて御礼申し上げます。
コメント頂き、ありがとうございました。
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