二葉鍼灸療院 院長のドタバタ活動日記

私が日頃行っている活動や、日々の鍼灸臨床で感じたことなどを綴っていきたいと思います。

病気は誰が治すのか?!

2008年04月25日 | 鍼灸
世の中には様々な病気が存在します。そして私が行っている鍼灸医療も、病気に罹った患者さんの治療法の一つです。現代社会では多くの医療や介護、福祉に関する問題がメディアを賑わせています。

では、病気とは何なのでしょうか? 病気は誰が治すのでしょうか

東洋医学研究所所長 黒野保三先生 
               著書『長生き 健康「鍼」』より抜粋

”東洋で発展してきた鍼灸医学は、東洋哲学ならびに東洋の自然思想の基本的な考え方である「陰陽」「虚実」という考え方や、天地自然の運行を基にして組み立てられた「五行」という考え方がベースとなっています。

そして、それらの考え方を通して心身の働きをとらえ、複雑に入り組んでいる人体の制御系(体の各部位の働きを適切にコントロールする仕組み)や調整機能を再生し活性化することを目指します。そのようにして生命の働きを最大限に維持していくのです。

陰陽・虚実・五行のバランスのほか、「気血」というものの循環を重視するため、これを総合循環主義医学と呼んでもいいでしょう。個々の病気の原因を追求する西洋医学とは異なり、全身のバランスを回復させ、循環を促し、生命力を高めることで病気を治癒へと導いていきます。”


また先生は、長年の免疫、老化、内分泌などの鍼の基礎的、臨床的研究から

”人体には全身を制御(コントロール)する仕組みのほか、各臓器や各器官にもそれぞれ制御の仕組みがあり、遺伝子や細胞に至るまで2の10兆乗(2を10兆回かけた数)とも言われる多様な制御の仕組みが存在します。その仕組みがあるからこそ、私たちの体は混乱に陥ることなく、秩序だった生命の仕組みを維持できるのです。

さらに、それらの制御系は、体内環境を一定に保つ「恒常性維持機構」、免疫機能を一定の水準に保つ「免疫系維持機構」、さまざまな制御系をまとめてコントロールする「自然治癒機構」の三種類に大別することができます。その三つの機構が互いに関連しあい、統合的に働いて生命を維持しているのですが、それらをさらに制御している上位の制御系として、私は「統合的制御機構」の存在を想定しています。”
 

そして、この統合的制御機構を活性化することが病気を治癒に導き、その方法として鍼治療が最善の刺激であり、臨床的な研究からも鍼治療が病気の治癒、予防に関わるということは統合的制御機構を活性化しているのだろうと先生は述べられており、私たちもその考えで治療させて頂いております。

また、新潟大学大学院教授 安保 徹先生著書『ガン免疫力』のなかで、

”ガンは生き方や考え方に無理があり、交感神経緊張状態がつづいたときに発症する。このようなときは、ガン細胞を攻撃すべきリンパ球が減少している。つまり、ガン免疫力の低下が起こっているわけである。

生き方や考え方の間違いに気づき、生活を変えてゆくとガンの進行は止まり、いずれ退縮もはじまる。ガン免疫力の復活によって病気から逃れることができる。このような流れに入った患者から聞く言葉は、ガンに対する感謝の念である。生き方や考え方の間違いに気づかせてくれた恩人だということである。

抗ガン剤や放射線で体を痛めつける治療から脱却する時期にきていると思う。無理して起こった病気の人をさらに痛めつけるのであるから、人間の尊厳を無視している。人間の尊厳をとり戻す時期に来ているのである。

生き方、考え方を変えて病気を治す世界は自己責任であり、人間性を取り戻す世界である。これまでの人生に感謝し病気に御礼を述べて、再び健康をとり戻す生き方である。ガンの恐怖とガンの治療による消耗で人生の最後を台無しにすることとは対極にある。”


さて、この二人の先生の話から、病気を治すのは誰か?!ということを推察すると、病気は、心の在り方、生活習慣などの歪みにより、精神的、あるいは肉体的ストレスが過度となった場合に起きると言えます。

東洋の考え方、あるいは、最近の最先端の科学が証明しているように、人間の体というのは、人の頭では想像できないほど巧妙なシステムがそこに存在し、常に体を一定に保とうと働いていることも分ります。

そう!病気を治すのは、自分自身の心であり、体に備わっている複雑で巧妙な機能なのです。決して私たちが治療して治すのではないのです。私たちは、患者さんが治癒へと向かうお手伝いをさせて頂いているだけであり、患者さんが気づかなかった心身の歪みを意識させてあげるという役割なのです。

生活習慣や心の在り方を改善し、心身に優しい気持ちよい刺激を心がけ、さらに、全身を調整する鍼治療で心地よい刺激を与えてあげると、体の中に眠る大自然の治癒に導くシステムが働き、自然と体は健康に向かって進んでいくのでしょう。

医聖であるヒポクラテスは”体の中には100人の名医が存在する”と遠い昔に病気治癒への考え方を説いています。

病気は自分の”こころと体”が治すのです!!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする