12月16日(水)、毎月恒例、酔耀会(若手鍼灸マッサージ師の勉強会)が開催されましたので参加しました。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_en3.gif)
雪がちらつく中、皆、その雪をものともせず、鍼灸に対する情熱の炎
で雪を融かしての参加でした。
先日、青年部の親睦会を行ったのですが、その際、酔耀会の話をしたところ今月から新たに2名の先生方が参加されることになりました。
一人は、金沢市額谷町で今年開業された、たいへん積極的に動く行動力と優しい中にしなやかな感性を持つ石田先生、もう一人は、石川郡野々市町で企業が経営する鍼灸院に今年から務める藤田先生。彼は今年学校を卒業したばかりであり、実は私の元患者様なのです。私の治療を受けていて「この仕事だ
」と思ってくれたかどうかは分かりませんが、無事、鍼灸師になることができ仲間となりました。私としても本当に嬉しいですし、応援していきたいと思います。負けないように頑張らないといけませんがね![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_en.gif)
☆内 容
・湿潤治療について
【松邑先生】
前回の宮川先生の全鍼師会の報告で、賠償請求で一番件数の多いのが”若い女性のお灸の痕”によるものだという報告を聞いて、医道の日本に載っていた皮膚科の先生がすすめる湿潤治療を題材に、その対処法を話して頂きました。非常に安価で簡単にできる処置方法ですので、もしお灸をして痕が残りそうな時、あるいは、若い女性で痕が気になる人にはいいかもしれません。簡単に言うと潰瘍になった部分を消毒し乾燥させるのではなく、残っている組織や細胞成長因子や接着因子など潰瘍を治癒に導く滲出液を保ち傷を治そうとする方法です。この方が傷がキレイに治るということです。松邑先生は、両足の三里、上巨虚に多壮灸を行い灸痕をつくり自分の足で実験されていました。まだ、その途中段階で大きな違いが分かりませんでしたが、次回、どうなったか見るのが楽しみです。これはリスク管理の方法の一つだと思いました。
・内臓痛・消化器機能・消化器症状に対する鍼灸の効果〈抄読〉
【宮川先生】
全日本鍼灸学会で発表され、雑誌に載ったもの(別刷)をまとめたもの。内臓痛や消化器機能・症状に関する鍼灸の効果について、これらをMEDLINEや医学中央雑誌に関してインターネットを利用し検索した報告のまとめを話して頂ききました。結果、鍼灸医学に関して世界ではEBM(科学的根拠に基づいた医療)が模索されているが、日本に関する世界的に参考にされている鍼灸治療に関する文献はほとんど見当たらないとのことでした。NIH(米国国立衛生研究所)や世界で参考にされているものは、欧米や中国の文献によるものだということでした。これは2001年の報告ですので、8年経った現在、少しは改善されていると思うのですが、状況はそんなに変化してないのが現状だと思います。日本にも鍼灸大学がいくつか存在するわけですから、協力して、世界に、多くの優れた日本の鍼灸治療を発信して欲しいと思いますね。
・症例報告 ある慢性疼痛患者への治療経験
【豊島先生】
症例は、40歳 女性。左下肢痛を訴え様々な医療機関を受診したが改善されず、自身でインターネットを検索して調べたところ、筋筋膜性の疼痛では?と思い、その治療を専門に行っている石川県小松市の整形外科病院へ秋田県から治療に来ていました。下肢全体の痛みは軽減したが左足関節の痛みがとれないため鍼灸治療を併用したいということで、トリガーポイントや線維筋痛症をよく勉強されている豊島鍼灸院へ来院しました。また、治療期間も秋田へ帰郷のため3ヶ月と限られていました。治療結果としては、左足関節自体の痛みはほとんど変化がないものの、3ヶ月経過時点で最も気になる訴えが、右大腿部のつっぱりや肩こりになりました。歩行状態も改善され、初診時に「せもてもショッピングセンターで買い物ができるくらいになりた」という願いも達成できました。また、本人の自覚ありなしに関わらず生活の質(QOL)が改善されたとのことでした。初診時の治療計画において、慢性疼痛などの難しい痛みに関しては、治すという立場をとるよりもむしろ、患者様本人が「何ができるようになりたいか」「どのような人生を望むか」という観点から考慮して目標設定を定め、それに向かって一緒に取り組んでいく姿勢が大切だという考察でした。痛みは治すことができれば、それに越したことはありませんが、病気は慢性になればなるほど様々な要因が関わり合い複雑になってきます。「痛みの中に人生がある」状態ではなく、「人生の中の一部分として痛みがある」という状態に持っていき、精神的面からも社会復帰できるように支援していくことが大切であるということでした。また、良好な結果を得られた要因の一つは、患者様の質問に現代医学的知識をもって答えることができたこと、科学的な見地や脳を含めた身体全体を考慮して診て説明できたことなどが考えられたようです。これは大事なことですね。
・症例報告 尺骨神経亜脱臼に対する鍼治療の一症例
【田中良和】
症例は、52歳 男性。左薬指がうまく動かせないということで来院。3年前ほどからこの症状を持っており、当時は頸部からくるものということで整形外科で治療を受けていたということ。3ヶ月前に転院し尺骨神経亜脱臼と診断。手術をすすめられたが怖くなり断り、ビタミン剤による投薬治療を行っていたが改善しない。発症当時は手のシビレなど肘部管症候群のような症状もあったが、現在は、小指・薬指がうまく使えず(伸展障害)、母指の対立運動がうまくできない。母指と小指・薬指が接触できず、無理にすると母指球がつってくる状態。最近、来院した患者様であるので、まだ5回ほどしか治療していないが、箸を使うとき、字を書いている時、しづらかったのが改善してきた。朝、手の使いづらさを感じていたが、それも意識しないようになってきた。これからも経過を観察して、治療効果が向上するように模索していきたい。整形外科医師からは、初診から少し時間が経っているので、今、手術をしても良くなるか分からないと言われているようです。痛みがどこから来ているのか、何が原因なのか、鍼灸治療でどこまで改善可能なのか、患者様は何を改善、何をしたくて治療院を訪れているのか、その辺りを初診のあるゆる診察から理解し、ともに協力してこれからも治療を継続していく必要がある症例であると思います。必要であれば手術をすすめなければならない時もあります。
本日も、新たなメンバーを加え、午前1時くらいまで勉強。
毎度のことながら鍼灸医療に対する高い意識を持つ仲間、患者様のために自己を高めようとする強い意識を持つ仲間がいることに感謝です。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/onpu.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/onpu.gif)
”聖人の学問は、自己の徳を高めるためにするものだから、自ら道を体得することを貴ぶべきである。雑駁な知識で自分を飾ってはいけない。近頃の者は、ほとんどが他人に見せびらかすために花嫁衣裳を作るような学び方をしている。 『言志四録』”
患者様の立場からすれば、痛みがとれたり病気が治れば何でもいいのです。が、私たちは「だから何でもしていい」わけではありません。ここが鍼灸マッサージ師の多くが勘違いしているところでもあります。鍼灸治療は奥が深いのです。人間の身体機能の神秘も奥が深いのです。それを一生涯かけて勉強していくことが必要なのだと思います。
そんな意味でも、刺激し合いながら鍼灸道を追求できる仲間が近くにいることは感謝以外の何者でもありませんね![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kirakira.gif)
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二葉鍼灸療院 田中良和
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雪がちらつく中、皆、その雪をものともせず、鍼灸に対する情熱の炎
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一人は、金沢市額谷町で今年開業された、たいへん積極的に動く行動力と優しい中にしなやかな感性を持つ石田先生、もう一人は、石川郡野々市町で企業が経営する鍼灸院に今年から務める藤田先生。彼は今年学校を卒業したばかりであり、実は私の元患者様なのです。私の治療を受けていて「この仕事だ
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☆内 容
・湿潤治療について
【松邑先生】
前回の宮川先生の全鍼師会の報告で、賠償請求で一番件数の多いのが”若い女性のお灸の痕”によるものだという報告を聞いて、医道の日本に載っていた皮膚科の先生がすすめる湿潤治療を題材に、その対処法を話して頂きました。非常に安価で簡単にできる処置方法ですので、もしお灸をして痕が残りそうな時、あるいは、若い女性で痕が気になる人にはいいかもしれません。簡単に言うと潰瘍になった部分を消毒し乾燥させるのではなく、残っている組織や細胞成長因子や接着因子など潰瘍を治癒に導く滲出液を保ち傷を治そうとする方法です。この方が傷がキレイに治るということです。松邑先生は、両足の三里、上巨虚に多壮灸を行い灸痕をつくり自分の足で実験されていました。まだ、その途中段階で大きな違いが分かりませんでしたが、次回、どうなったか見るのが楽しみです。これはリスク管理の方法の一つだと思いました。
・内臓痛・消化器機能・消化器症状に対する鍼灸の効果〈抄読〉
【宮川先生】
全日本鍼灸学会で発表され、雑誌に載ったもの(別刷)をまとめたもの。内臓痛や消化器機能・症状に関する鍼灸の効果について、これらをMEDLINEや医学中央雑誌に関してインターネットを利用し検索した報告のまとめを話して頂ききました。結果、鍼灸医学に関して世界ではEBM(科学的根拠に基づいた医療)が模索されているが、日本に関する世界的に参考にされている鍼灸治療に関する文献はほとんど見当たらないとのことでした。NIH(米国国立衛生研究所)や世界で参考にされているものは、欧米や中国の文献によるものだということでした。これは2001年の報告ですので、8年経った現在、少しは改善されていると思うのですが、状況はそんなに変化してないのが現状だと思います。日本にも鍼灸大学がいくつか存在するわけですから、協力して、世界に、多くの優れた日本の鍼灸治療を発信して欲しいと思いますね。
・症例報告 ある慢性疼痛患者への治療経験
【豊島先生】
症例は、40歳 女性。左下肢痛を訴え様々な医療機関を受診したが改善されず、自身でインターネットを検索して調べたところ、筋筋膜性の疼痛では?と思い、その治療を専門に行っている石川県小松市の整形外科病院へ秋田県から治療に来ていました。下肢全体の痛みは軽減したが左足関節の痛みがとれないため鍼灸治療を併用したいということで、トリガーポイントや線維筋痛症をよく勉強されている豊島鍼灸院へ来院しました。また、治療期間も秋田へ帰郷のため3ヶ月と限られていました。治療結果としては、左足関節自体の痛みはほとんど変化がないものの、3ヶ月経過時点で最も気になる訴えが、右大腿部のつっぱりや肩こりになりました。歩行状態も改善され、初診時に「せもてもショッピングセンターで買い物ができるくらいになりた」という願いも達成できました。また、本人の自覚ありなしに関わらず生活の質(QOL)が改善されたとのことでした。初診時の治療計画において、慢性疼痛などの難しい痛みに関しては、治すという立場をとるよりもむしろ、患者様本人が「何ができるようになりたいか」「どのような人生を望むか」という観点から考慮して目標設定を定め、それに向かって一緒に取り組んでいく姿勢が大切だという考察でした。痛みは治すことができれば、それに越したことはありませんが、病気は慢性になればなるほど様々な要因が関わり合い複雑になってきます。「痛みの中に人生がある」状態ではなく、「人生の中の一部分として痛みがある」という状態に持っていき、精神的面からも社会復帰できるように支援していくことが大切であるということでした。また、良好な結果を得られた要因の一つは、患者様の質問に現代医学的知識をもって答えることができたこと、科学的な見地や脳を含めた身体全体を考慮して診て説明できたことなどが考えられたようです。これは大事なことですね。
・症例報告 尺骨神経亜脱臼に対する鍼治療の一症例
【田中良和】
症例は、52歳 男性。左薬指がうまく動かせないということで来院。3年前ほどからこの症状を持っており、当時は頸部からくるものということで整形外科で治療を受けていたということ。3ヶ月前に転院し尺骨神経亜脱臼と診断。手術をすすめられたが怖くなり断り、ビタミン剤による投薬治療を行っていたが改善しない。発症当時は手のシビレなど肘部管症候群のような症状もあったが、現在は、小指・薬指がうまく使えず(伸展障害)、母指の対立運動がうまくできない。母指と小指・薬指が接触できず、無理にすると母指球がつってくる状態。最近、来院した患者様であるので、まだ5回ほどしか治療していないが、箸を使うとき、字を書いている時、しづらかったのが改善してきた。朝、手の使いづらさを感じていたが、それも意識しないようになってきた。これからも経過を観察して、治療効果が向上するように模索していきたい。整形外科医師からは、初診から少し時間が経っているので、今、手術をしても良くなるか分からないと言われているようです。痛みがどこから来ているのか、何が原因なのか、鍼灸治療でどこまで改善可能なのか、患者様は何を改善、何をしたくて治療院を訪れているのか、その辺りを初診のあるゆる診察から理解し、ともに協力してこれからも治療を継続していく必要がある症例であると思います。必要であれば手術をすすめなければならない時もあります。
本日も、新たなメンバーを加え、午前1時くらいまで勉強。
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”聖人の学問は、自己の徳を高めるためにするものだから、自ら道を体得することを貴ぶべきである。雑駁な知識で自分を飾ってはいけない。近頃の者は、ほとんどが他人に見せびらかすために花嫁衣裳を作るような学び方をしている。 『言志四録』”
患者様の立場からすれば、痛みがとれたり病気が治れば何でもいいのです。が、私たちは「だから何でもしていい」わけではありません。ここが鍼灸マッサージ師の多くが勘違いしているところでもあります。鍼灸治療は奥が深いのです。人間の身体機能の神秘も奥が深いのです。それを一生涯かけて勉強していくことが必要なのだと思います。
そんな意味でも、刺激し合いながら鍼灸道を追求できる仲間が近くにいることは感謝以外の何者でもありませんね
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二葉鍼灸療院 田中良和