二葉鍼灸療院 院長のドタバタ活動日記

私が日頃行っている活動や、日々の鍼灸臨床で感じたことなどを綴っていきたいと思います。

花粉症に思う 1 ~森林からの考察~

2008年04月10日 | 花粉症
現在、日本で花粉症に罹っている人が約2000万人と推定されています。今はスギ花粉の時期ですが、それぞれアレルギー反応を示す花粉があり、その時期になると、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、結膜炎、のどのかゆみを発症し、ひどい人は体のだるさ、頭痛、下痢などの症状を発症する現代病です。

花粉が体内に蓄積する量が多くなり、この異物である花粉を排除するために働く、免疫システムの一翼であるIgE抗体の量も多くなります。この免疫システムが花粉に対して過剰に攻撃をしかけることが鼻や目、喉の粘膜を刺激し、つらい症状を発症させます。

花粉症の原因となる樹木・草花として、
樹木:スギ・ヒノキ・ハンノキ・ブナ・マツ・イチョウ
草花:カモガヤ・オオアワガエリ・ブタクサ・カナムグラ・ヨモギ

などがあります。

近年はディーゼル排ガスから出る微粒子(DEP)が大きな花粉とひっついて存在しており、これが花粉症発症に大きく関わっているという報告もあります。また、食生活の変化による腸内環境の悪化、遺伝的要因、コンクリート建設や道路など住環境の変化など、花粉症発症のメカニズムははっきりしていません。

しかし、花粉症発症の多くを占めるスギ、ヒノキなどに関して言えば、これは花粉の元となる木が多く植林されているからであることは紛れもない事実でしょう。そのような観点から、森林について少し考えてみたいと思います。

日本の森林面積は2512万ヘクタールで国土面積の7割を占めます。うち人工林が1036万ヘクタール(スギ林;452万、ヒノキ林;257万)であり、森林面積はここ数年横ばい状態であるのに対して、人工林は増加傾向にあります。

そして、多くの人がスギやヒノキの花粉症で苦しんでいるにも拘らず、スギやヒノキの植林が今もなお続けられているという事実もあります。

なぜ、スギやヒノキの植林が盛んに行われたのでしょうか。これらの植林が盛んに行われ始めたのは1950年代から1980年代で、特にスギは70~80年代に急増しております。戦後復興のための建設ラッシュにより大面積の森林が伐採されました。日本の高度経済成長期でもあり国内の木材需要が増加していきました。そこでスギやヒノキは加工しやすく、利用価値も高いので伐採した後に、経済利益だけを考え無計画に植林していきました。

と、この辺りまでは木材が利益なっていましたが、バブル経済に突入し、更に国内需要が増加したことで国内では木材の供給が追いつかなくなりました。そして、円高により安価な外国木材が輸入されるようになり、ここは市場原理が働き木材の値段がどんどん低価格になっていきました。間伐、枝うち+運送料が販売価格を上回るようになり、手間をかければかけるほど赤字となる事態になり、やっていけない林業の方々が増加してきました。日本の林業の現状です。

となったら、今まで管理していたスギやヒノキが管理されなくなり植林した木の3分の2は間伐されるはずが放置され、スギやヒノキの花粉の量も増量するのは誰がみても分ることでしょう。そして、1970~80年代に植林が急増したとなれば、スギが成長する30~40年後である2000年~2020年まではさらに飛散量が増加すると考えてもおかしくないと思います。


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