二葉鍼灸療院 院長のドタバタ活動日記

私が日頃行っている活動や、日々の鍼灸臨床で感じたことなどを綴っていきたいと思います。

等尺性収縮後リラクセーションテクニック(PIR)

2011年05月17日 | 鍼灸
5月8日(日)、石川県鍼灸マッサージ師会の第1回中央学術研修会が開催されましたので参加しました。

☆ 第1回 中央学術研修会 ☆
  
  日 時:平成23年5月8日  午後1時~3時
  会 場:石川県社会福祉会館 4階 中ホール
  演 題:等尺性収縮後リラクゼーションテクニック(講演&実技)
       ~PIR(Post Isometric Relaxation)~
  講 師:荒木 茂 先生  (公社)石川県理学療法士会 監事
                  石川県リハビリテーションセンター


今回の講師、荒木先生は理学療法士でもあり、鍼灸マッサージ師でもある先生です。石川県立盲学校の出身だそうです。


 講師の荒木先生


 臨戦態勢を整えている司会の中田先生

今回の講習内容である「PIR」は、簡単に言ってしまえば、硬くなっている、過緊張している筋肉を見付け出し、相反抑制を利用して、その緊張を取り除く方法です。

相反抑制というのは、主動筋(その動きの主になる筋肉)を収縮させると、その拮抗筋(その反対の作用をする筋肉)が抑制(弛緩)されるというものです。このような法則を利用して、硬く緊張した筋肉の逆の作用をする筋肉に収縮(等尺性)をかけることによって、目的の筋肉を柔らかく弛緩させるというものです。

これを「Ⅰa抑制」とも言います。

筋肉が収縮すると筋紡錘が刺激を受け求心性のⅠa線維を伝わり、抑制性の介在ニューロンを介して、脊髄前角細胞を抑制することによって、拮抗筋の緊張が低下するというものです。

これとは逆にストレッチなどの作用は、「Ⅰb抑制」と言われます。

筋肉を持続的に伸長すると、筋肉と腱の移行部にあるゴルジ腱器官が刺激を受け、Ⅰb線維を伝わり、脊髄後角に入り、介在ニューロンを介して自己筋(伸長した筋肉)の脊髄前角細胞を抑制することによって、伸長した筋肉や、その動きに共同する筋肉の緊張を低下させます。拮抗筋は逆に促通(興奮が高まる)します。

身体ってうまいことできてますね~


 実技の様子

そうそう、注意しておくことは、ゆっくり静かに筋肉を伸ばすということです。急激に強い力で筋肉をストレッチすると「伸張反射」という働きにより、急激に筋収縮を起こすことになり、筋肉を傷める原因にもなりますからね

どこの筋肉が硬いかを診るには、他動運動に対する抵抗感、End-Feelの量、両側の比較などに気をつけて、硬い筋肉がどのようになっているかをテストにより検出します。

そして、痛みの原因となっている筋肉はどこにあるのかを推測する時に大切なのが、トリーガーポイントという捉え方です。その痛みは、痛んでいる部分が悪いのではなく、関連痛として生じた痛みだということです。

例えば、腰が痛い、肩が痛い、膝が痛い、と訴えて、その局所を治療するとしますが、なかなか効果がみられない、効果があっても直後だけで長続きしない、という時に、「この痛みは何なんだろう」と考える…そこにヒントがあるんですね。



 実技の様子

今回の研修会の目的は、この「痛みの本当の原因はどこにあるのか?」という一つのヒントを掴んでもらうことだったんです。

PIRの手順としては、①対象筋に合わせてポジショニングをとる ②対象筋を病的バリアの感じられる所まで静かに伸張 ③対象筋を軽い力で10秒間、等尺性収縮(息を吸いながら) ④息をはかせながら力を抜き、次のバリアが感じられるまで静かに伸張 ⑤次にその位置で等尺性収縮、そして伸張 ⑥これを3~5回繰り返す です。

ポイントは、伸張する時、筋肉がぴくぴくしたり、力が入らないようにすることです。

最初の30分くらいは説明があり、その後は、頸部周囲の筋肉、股関節周辺の筋肉に関して重要なものをピックアップして、たっぷりと実技して頂きました。
特に、股関節周囲の筋肉などはたいへん参考になりましたね。

この手技を行う場合でも、筋肉の解剖、ことに起始・停止、あるいはどのような形状で筋肉が走行しているか、などが頭に入っていないと、筋肉をイメージしながら施術することができません。筋肉については、酔耀会や三策塾でも勉強しており、なかなかタイムリーな演題でした。

また、ストレッチや手技を行う場合は、「この筋肉」でいいのですが、鍼灸を行う場合は、「この筋線維」「この筋膜」という考え方ですので、さらに繊細な指の感覚と意識が必要になるんですよね。

私は患者さまを診る場合は姿勢を重視します。しかし、「背骨のここが歪んでいるから…」と考えるのではなく、「この歪みはどうして起こるのか…」と考えるようにしています。先天的な側彎症は別として、背骨の変形や歪みには必ず、どこかに原因があると私は考えています。

また、姿勢症候群なるものが痛みに多く関係していることがあり、緊張しやすい筋肉や弱化しやすい筋肉の組み合わせは、ほぼ決まっているとのことでした。

たいへん勉強になりました。一つの臨床のヒントさえ掴むことができれば、その講習会や研修会は有意義な時間となります。


 あっ 実技を見ていたら気になる後頭部が
 奥様の愛情こもった断髪式の結果だそうだ。
 「愛の断髪式」という名の最新ヘアーカットで~す

さ~て、次の講習会が終了したらパーっと飲むぞ

二葉鍼灸療院 田中良和

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