二葉鍼灸療院 院長のドタバタ活動日記

私が日頃行っている活動や、日々の鍼灸臨床で感じたことなどを綴っていきたいと思います。

TPP って何?!

2011年11月08日 | 社会
ここ1か月ほどよく新聞やテレビなどで報道されるようになったTPP(環太平洋経済連携協定)。よく「日本の農業がダメになる」とか言われていますが、これって本質的な所は何なのかと思ったので、少し私の頭の中の整理のために書いておきたいと思います。

まずTPPって言うのは、簡単に言うと協定を結んだ国々においての関税の撤廃あるいはそれを低くし、物流の輸出入を盛んにするだけでなく、様々な分野の国際間の交流を広くカバーしていこうというものだそうです。様々な分野というのは、金融、投資、政府調達、労働、環境などなどです。品物だけでなく、すべてにおいて例外なく自由化するということです。

TPPに参加する国々は、アメリカ、チリ、ペルー、シンガポール、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、オーストラリア、ニュージーランドの9カ国です。そこに「日本さん~お入んなさい」ということです。これをAPEC(アジア太平洋協力会議)までに答えを持ってきなさいよ。ということでにわかに報道が賑やかになっています。こんなギリギリになるまで国民に情報が流れてこないどうしてでしょうかね。民主党経済連携プロジェクトチームというのがあって、ここでは相当前からTPPに向け議論を重ねていたようですよ。ということは、最初から参加することを前提に議論されていたんでしょうか
その辺りは、このTPPの内容を、知ると恐ろしくなるし、政府は、どこの国のことを考えているのか理解できなくなります。

もし、日本がTPPに参加することになると、交渉参加国の経済規模のシェアが日米で9割を占めるそうです。ですから多国間協議とは名ばかりで、実際は日米FTA(自由貿易協定)と見ることができます。
先般、結ばれた米韓FTAと今回のTPPの内容は同じようなものとなっており、米韓FTAの内容を見ていくと、日本がTPPに参加することがどのようなことかが示唆されるようです。
ちなみに米韓FTAは、韓国にとって極めて不利な結果に終わったということです。

米韓FTAにおいて韓国は米国での関税の撤廃で何を得たのでしょうか


 韓国…協定以前のテレビの関税は5%、自動車は2.5%程度と充分低い関税であった。それら輸出品に対する関税が撤廃された。
     韓国の自動車も電子電気製品もグローバル化が進み、現地生産を進めている。
     故に製造業では、関税の存在は企業競争力とは殆ど関係ない。
     韓国企業の競争力はウォン安のおかげであり、競争力は通貨の価値で決まる。関税撤廃は関係ない。

※ここで本当に腹立たしいのは、自動車の2.5%の関税撤廃に関して、アメリカ自動車の販売や流通に深刻な影響を及ぼすとアメリカ企業が判断した場合は、なんと関税撤廃が無効になるそうです。世界の場での正式条約ではないので、国家間協定なので何でもありなのかもしれませんが、おかしいと思うのは私だけでしょうか。

さて、自動車関税の撤廃の結果、アメリカが韓国に要求したことは、

アメリカ…韓国へ輸入されるアメリカ車の排出量基準にアメリカ方式を導入する。
      排出ガス診断装置の装着義務や安全基準認証証などについて一定の義務を免除する。
      アメリカメーカーが競争力を持つ大型車の税負担をより軽減する。

つまり、韓国に輸入されるアメリカ車の環境や安全を韓国の基準で守れなくなったということです。

米国通商代表部(USTR)は、日本にも、以前から自動車市場の参入障壁を撤廃するように求めています。エコカー減税などアメリカ車が苦手な環境対策のことです。TPPに入ればどうなることか。

農業についてはどうか

韓国は、コメの自由化は逃れたが、それ以外の農産物は実質すべて自由化することになりました。海外生産を進める製造業は関税の撤廃は無意味だけど、農業を護るためには関税は重要なのです。製造業を守りたい国と、農業を守りたい国がお互い関税を撤廃したら、どちらが不利になるでしょうか。このことは日本にも言えることですから、対岸の火事ではないのですね。

唯一、自由化を逃れたコメについて、米国最大のコメ産地であるアーカンソン州選出のクロフォード議員が不満を表明。カーク通商代表は、今後、コメ市場もこじ開ける努力をし、今後の通商交渉に関しては例外品目を設けないと応えたようです。あまりにも身勝手な言い方ですが、日本が交渉参加しそうなTPPはコメの自由化も例外にはならない可能性が確実のようです。その辺りは民主党議員も分かっていることでしょう。

その他にも…
・韓国は法務・会計・税制サービスについて、アメリカ人が韓国で事務所を開設しやすいように制度を変えさせられました。
・知的財産権制度は、アメリカの要求をすべて飲みました。その結果、アメリカ企業が韓国のウエブサイトを閉鎖できるようになりました。
・アメリカの医薬品メーカーが、自社の医薬品の薬価が低く決定された場合、これを不服として韓国政府に見直しを求めることが可能になる制度が設けられました。
・農業協同組合や水産業協同組合、郵便局、信用金庫の提供する保険サービスは、アメリカの要求通り、協定発効後、3年以内に一般の民間保険と同じになることが決まりました。共済として積み立ててあった資金が、アメリカの保険会社に吸収されていくということです。

アメリカは日本にも簡易保険や共済について、韓国と同じ要求をつきつけて来ています。日本の保険市場は米国に次いで大きいからです。

何か韓国の要求を見ていると、アメリカ通商代表部が毎年、日本に突きつけている、年次改革要望書を見ているような気がしてなりません。その要求を「はいはい、お任せあれ~」と行っていたのが小泉政権でした。

米韓FTAには、いくつかの恐ろしい仕掛けが組み込まれています。

①「ラチェット規定」
ラチェットとは、”一方にしか動かない爪歯車”を指し、すなわちラチェット規定は、”現状の自由化よりも後退を許さない”という規定です。締約国が、後で何らかの事情で、市場を開放しすぎたと思っても、規制を強化することが許されない規定です。

ラチェット規定が入っている分野は、銀行、保険、特許、会計、電気、ガス、宅配、電気通信、建設サービス、流通、高等教育、医療機器、航空輸送などなど、その他にもあり、どれもアメリカ企業が有利な分野ばかりのようです。 

加えて…

今後、韓国が他国とFTAを締結した場合、その条件がアメリカに対するよりも有利な場合、アメリカにも同じ条件で適用しなければならないという規定まで入れられました。

長くなりましたので、パート2へ続きます。よろしく~


二葉鍼灸療院 田中良和
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酔耀会(鍼灸手技療法研究会) 平成23年10月

2011年11月08日 | 酔耀会(すいようかい)
10月19日(水)、毎月行われる鍼灸手技療法の研究会である酔耀会に参加しました

自分が研究したい、自分が課題を持って臨床している部分を勉強する場があるということは本当にありがたいことです。そして、発表するとなると勉強もしなくてはいけなくなるし、自分の臨床を見つめなおす機会にもなります。また、質問されると、それに対してさらに勉強する必要が出てきます。

それを繰り返すのが医療を担う私たちの、仕事をやめるまでの使命でもあると思うのです。
すべては自分のためであり、患者さまが適切な医療を受けて、健康になって頂くためでもあるんですね。


 内 容 

・論文抄読  「末梢閉塞性動脈疾患の治療ガイドライン」まとめ

【太田(和)先生】
サーキュレーションジャーナルという医学雑誌に掲載された上記疾患のガイドラインについてまとめてもらいました。数十ページに及ぶ分厚い論文をA4二枚にまとめての発表でした。私の感想としては、論文抄読という形は理解できるのですが、この中のもっと項目を絞って話して欲しかったと思いますね。末梢閉塞性動脈疾患の概念や概要をまとめるのか、その中の各疾患について詳しくまとめるのか、ガイドライン自体をもっと要約して単純にまとめるのか、その辺りがはっきりしていませんでしたので、分かりづらかったのが印象です。自分が興味あってやるのなら、自分でしっかり内容を把握して、皆に分かりやすいようにまとめることが大切ですね。いや~感想を書いていると、何か私の修行時代を思い出します。私もこんなことよく言われましたからね。要は、この論文は何が言いたいのか、自分は何を伝えたいのかが大切であり、抄読のための形だけの抄読になったのでは伝わってくるものがないんですね。先生もこれから臨床や勉強する中で自分の芯となるものが見えてくると思いますので、それまでは、いろんなことを勉強しなきゃね。おれも頑張ろー。


・研究発表  「小胸筋について」

【粟 先生】
本日は実技ではなく、先日来、触診の実技で話題になっていた「小胸筋」の作用と、「なぜここにあるのか」、また、ストレッチ方法などの発表がありました。人の身体は精巧につくられています。筋肉をはじめ、様々な部位を勉強するたびに思います。筋肉なども一つの筋肉で働くわけではありません。、小胸筋は呼吸の補助筋でもあるのですが、呼吸する時は胸郭はじめそこに付着する多くの筋肉が動員されて行われます。本当によく出来てます。私たちが臨床で関節の運動法を行ったり、鍼をする、指圧をする時でも筋肉は常に刺激されています。そんな意味で勉強すると患者さまの身体をイメージしながら治療できるのです。次回は、どこの筋肉を掘り下げて触診、発表してくれるのか楽しみです。


・脉診実技  「六祖脉を体得する」

【安井先生・宮川先生】
今月も、先月に引き続き、2班に分かれ六祖脉について感じて、理解し、また、鍼灸治療をしてどう変化するかということについて実技を行いました。私は脉診が治療の中心にあるような経絡治療的な考えは持っていませんが、先人が伝えてきた身体の様々な変化に対して、身体を診断し治療する知識は、そこに何かあると思っています。私の師匠も常に診察では脉診を行います。古典の重要で確かな所を追究し、実証医学的、科学的見地とともに研究の土台においているのが私の所属する東洋医学研究所グループです。まあ、そんなこともあり、修行時代からの習慣で私もほとんどすべての患者さまに脉診をさせて頂いているのです。基礎はいくら練習しても損はないし、この基礎こそが大事ですからね。まず脉を触ってみることが大切です。



本日もお帰りは午後1時過ぎ

本当に皆、勉強熱心です。それは患者さまのためであり、自分自身の道を極めるためでもあります。
そんな意識を持って取り組んでいるか、そして行動しているか、その差は、必ず出てきます。

西郷隆盛 曰く「学問の道に志を立てている者は宏大な視野を持つべきである。だが、学問にだけ偏っていると自分自身の修養が疎かになる恐れもあるから、いつも己に打克つこと考えつつ修養に励むのである」と言われています。常に学ぶ姿勢を持ち、自分を振り返り反省しながら、自己の人間性も磨きつつ、知識を得ることが志を実現していくことだと言われているのでしょうか。

そうそう、掃除、とくに便所掃除をやっていると、タイルや便器がピッカピカに磨かれると、すごく気持ちいいし、使用する人も気持ち良く、そしてキレイに使用して頂けるんです。ちょっと勉強とは話が違いますが、常に磨きあげる姿勢が大切だということを言いたかったのです。

さーて、来月は私の発表です(本当は今月でしたが、時間が…)。
資料は作成済みなので、もうちょっと勉強して来月に臨みたいと思います


二葉鍼灸療院 田中良和
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石川県スポーツトレーナー連絡協議会(IST) 第3回認定スポーツトレーナー養成講習会

2011年11月07日 | スポーツ障害
10月15日(土)、16日(日)とISTの第3回認定スポーツトレーナー養成講習会が開催されました。

何か差し迫った用事がない限りは、ISTでは総務部長をさせて頂いておりますので、受講者の皆さまがスムーズに受講して頂けるように会務に専念しております… って、そんな仕事も楽しいんですけどね

IST 第3回認定スポーツトレーナー養成講習会 

  日 時:平成23年10月15日(土)・16日(日)
  会 場:いしかわ総合スポーツセンター 第2・3会議室


  講習内容
   
   ◎10月15日(土) 午後2時~3時30分(1単位)

    『ドーピングコントロール』   講 師;西尾 眞友 先生
                           金沢医科大学医学部 薬理学
                           (財)石川県体育協会 スポーツ医・科学委員会 副委員長


 講義を行う西尾先生


    15日  午後3時40分~5時10分(1単位)
    
    『コンディショニング理論』   講 師;田中 哲 先生
                           金沢社会保険病院 理学療法士


  
 田中先生

   
   ◎10月16日(日) 午前9時~正午(2単位)

    『コンディショニング実技』   講 師;間所 正嗣 先生・山川 友和 先生
                               済生会金沢病院 理学療法士


 間所先生



 山川先生


       
 ストレッチ、アイシング実技の様子
                     

    16日  午後1時~4時(2単位)

    『テーピング実技 基礎編』   講 師;佐藤 裕之 先生
                            JATAC-ATC(柔道整復師)
                            石川ブルースパークスコンデイショニングコーチ
                             ※助手として他5名(ブルスパトレーナー)


 佐藤先生


 
 テーピング実技の様子



西尾先生には、ドーピングの定義、なぜ禁止されたのか、国外・国内での基準や実施状況、市販薬・漢方薬・サプリメントなど注意すべき思うわぬ違反、どう対応するかなどの講義をして頂きました。

そこまでして勝ちたいのかという選手や関係者がいるため、このような制度が設けられました。何か資本主義経済の賜物のような気がしますが、スポーツ選手と関連した医療者は知っておくべきことですね。

田中先生には、面白い導入スライドから、プロ選手の実例を出して、トレーニングを考える時の概要、筋肉と脳~その運動時の働き~、アスリートして持つべき筋肉、痛みとは、コンディショニングにおいて大切なこと、などを講義して頂ました。

試合に向け、あるいは日々の練習で、医療者としてどのようにコンディショニングを考え、それを選手や指導者に伝えていくかは大切なことです。また、それには正しい知識、そして、そこから生まれる応用がポイントになると思うのです。スポーツと同じでトレーナーもまずは基礎ですね。

間所先生には、ケガをした時の応急処置であるRICE処置についての説明と、アイシングと圧迫の実技をして頂ました。
山川先生には、ストレッチングの説明と、僧帽筋、広背筋、上腕ニ頭筋、ハムストリングスなどのストレッチング実技をして頂きました。

RICE処置にしてもストレッチングにしても、「何を目的に行うか」ということを理解しておくのが最低限の原則です。どんな施術でも一緒なのですけどね。また、現場で行っている両先生ならではの工夫などの話も聞け、教科書的に勉強するのではなく、実践の場から生まれた知識を加味して学べたのが良かったと思いました。

佐藤先生には、テーピング、特に足関節の基本テーピングを中心に、テーピングの意義と実技を行って頂きました。

佐藤先生のテーピングは巻き方も、完成度も美しく、何より受けた選手が効果を実感できるテーピングです。どこの部位にしろ非常にスピーディーに的確に、適度なテープの量で巻いて行きます。これ選手も、周囲で見ている私たちも感動するんです。佐藤先生は当たり前にやっているのですが、その巻き方までに練り上げてきた試行錯誤、苦労が感じられ、「私もこれだけやりたい」という目標にもなるんです。
テーピングでケガを治すわけではありませんが、競技や練習をしていく上で必ず必要となる技術です。技術ゆえ何度も巻いて、失敗し、成功し、思考錯誤し、スキルアップしていく必要があります。そんな意味でも、いい刺激になった実技講習になったと思いました。

本日の講習会も90名もの参加者があり、当初、もっと少なくなるのではと心配しておりましたが、石川のスポーツ医療に携わる医療者の皆さんは本当に勉強熱心だということが分かりました。あっ、富山や福井からも参加があるんですよ。特例として。
ちなみに、受講費は土日両日で9000円です。


日曜日の講習が終了して一段落…と思いきや、(社)全日本鍼灸学会の会員でつくる石川県鍼灸研究会(もとは石川地方会)の幹事会が午後6時から美川で開かれることになっていました。その幹事の一人でもありますし、先日の中部支部学術集会での会議にオブザーバーとして出席した経緯もありますので、講習会終了後は、そちらに出席するために美川に向かったのでした~

まあまあ、ドタバタな日々が続いておりますよ


二葉鍼灸療院 田中良和
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「今」は二度とやって来ない!

2011年11月07日 | 言葉のちから 心のちから
FacebookとMixyにブログをリンクすることを初めてみました

人生は「今」しかないようです。当たり前ですか

「今」、明日を思うから、明日は明日であって、
「今」、「あーしとけばよかった」と思うから、過去は過去です。

ということは「今」しかないですね  だから、「今」を一所懸命、楽しく、笑顔で、やっていかないとね


 人の一生は、一回限り 

 人の一生は、なんとしても一回限りのものである。

 絶対に二生はない。

 生まれ変わったということはあるが、それは、ただ観念的に想定したニ生なのだ。

 現実のニ生というものは決してないのが実際である。


 『中村天風 一日一言』  中村天風財団[編]



よっしゃ、さらに、やる気が出てきたぞー

いろんな環境、いろんな状態、いろんな立場はあると思いますが、「今」を一所懸命やるぞって心は持っておきたいですよね 


二葉鍼灸療院 田中良和
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感応の原理

2011年11月05日 | 言葉のちから 心のちから
今年も、はや11月ですね

ブログ更新も停滞中。今度、医学的、鍼灸治療的なブログ(成長期のスポーツ障害、ガン、不妊症)は、いい報告、いい情報もあるので、順次更新していきたいと思います。


今日も小さなことでもいいから感動しよう


 感応の原理 

 ≪我、自ら感じて、しかる後に、人これに感ず≫


  まず、自分が感動して、そののちに人を感動させることができるのである。
  自分が感動しないで、他人を感動させることなどできるはずがない。


  『佐藤一斎 一日一言 ~言志四録を読む~』  渡邉五郎三郎 監修



当たり前なことだけど、当たり前のことって、できていないことが多いんですよね。

自分が「嬉しい」「楽しい」「素晴らしい「美しい」「幸せ
と、感動することで、そこに素敵な、気持ちいいエネルギーが生じます。

そのエネルギーは言葉となって、笑顔となって、態度となって、行動となって、周囲に伝播していきます。


さ~て、今日はどんなことで感動するのか楽しみです

素敵な一日の、はじまり~ はじまり~ 


二葉鍼灸療院 田中良和
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ワタミ株式会社 会長 渡邉美樹さん 講演会 4

2011年11月02日 | 経営って何?!
10月10日(月祝 体育の日)に金沢歌劇座で開催された、ワタミ株式会社 渡邉 美樹 取締役会長の講演会で聴講したことをしたためています。



続きです…


 自分の好きな人生を生きるための五カ条 

第一条「どうしてもこれをやりたい」と思うこと…パート3に書いてあります。


第二条「夢に日付をつける」
・自分の夢に「○○年までに…」というように夢に日付を設定する。そうすると、近々のゴールが設定されるわけだから、そこに行くまでに自分が「今」何をしなければならないかが分かってくる。また、目標と期限が設定されたことで、明確に、強く思うことができる。「今」の現実を変えていく力となる。

渡邉さんは仕事を始める前、北半球一周の一人旅に出た。世界各地をわたり歩き思ったことは、あらゆる国で宗教や民族、歴史において差別が多いことを感じた。旅の最後に、ニューヨークの多国籍の人たちが集うカフェバー(だったと思ったが…)に入ると、いろんな国の人が人種や肌の色、言語、国籍関係なく、差別なく、飲んで、食べて、歌って、楽しんでいるのを見て感動して涙が自然に出てきたそうです。その時に「外食産業をやろう」と思ったということでした。

その旅から帰ってきた時の所持金は80円。友人に電話して迎えに来てもらうために使ったそうです。そして、まず「外食産業を起業するには何が必要か」考えたところ、会計処理に関する勉強を徹底的に行いました。(私もここの部分をもう少し勉強しないと…と再認識させて頂きました)現在では、渡邉さんは決算書をマンガを読むようにすらすらと見ることができ、その決算書を見るだけで、その会社や社長が何に力を入れているか、どこが弱点か、改善点か、今から伸びていくかが分かるそうです。(ここまで徹底してやらないとね…実践することだね)

会計処理の勉強を行った後は、資金づくり。当時、会社を起業するためには300万円必要でした。そのお金を貯めるには…給料のたくさん貰えるところに…そこに月給で40万以上貰える企業がありました。しかし、この企業は当時、猛烈に働かされるので有名な○○○急便という会社で、20時間労働もざら、ということでした。迷いなく入ったのはいいのですが、相当、辛かったようです。ここで、いついつまでに資金をつくって、会社を設立すると夢に日付を設定したそうです。その企業は大卒者の就職者は皆無で、「大卒」と呼ばれていたそうです。
その業務が過酷だったため腰を傷め、腰椎椎間板ヘルニアの手術を40代の時に行ったそうです。


第三条「イメージする」
・ただ思っているだけなら誰にでもできる。その思いを強く、継続して持ち、潜在意識にまで刻み込むくらいに思いを深めることが大切。
・寝室の枕元には手帳が置いてあり、自分が「こうやりたい」とか、「こうやったらいいかも」ということが寝ている時にヒラメイタ時、すぐに書いておくそうです。このメモを見て、さらに思い、さらに工夫していくそうです。そして、この手帳はいつもすぐに文字でいっぱいになる。


第四条「あきらめないこと」
・「どうしてもやりたい」と思ったのなら、途中であきらめたりしない。「どうしてもやりたい」のだから、様々な障害があるかもしれないが乗り越えていく。
・方法は無限にあるのだから。
・ハードルを自分で決めて乗り越えていく。ハードルは越えるためにある。限界は自分で決めない。
・あきらめない気持ちが=パワーだ。

経営は格闘だ


第五条「運」
・夢を見る、「どうしてもこれをやりたい」と思う、これは神様からのシグナルであり、叶う可能性があるから夢見るのです。
・「運」はあると思う。「運」を引き寄せるためには、夢に挑戦しているということが条件でしょう。
・奇跡もある。そして奇跡も叶う。
・「運」や「奇跡」を引き寄せるためには、誠実に、謙虚に、努力する姿勢で生きることが必要。
・地道に、夢を持ち、人生を歩んでいれば、きっと神様は見ていてくれる。見ている人は必ず見ている(そこに神がいる)。

今の渡邉さんの夢は…
12年にわたりカンボジアやネパールで学校建設や孤児院の建設などに関らせて頂いている。しかし、まだカンボジアには10万人以上の孤児が存在する。また、最近はバングラディッシュでも活動を開始した。その孤児すべてに、ご飯を食べさせてあげたい。子どもたちに普通の生活をさせてあげたい。いつになるか分からないが、いつか救ってあげたい…そんなことが渡邉さんの「今」の夢だそうです。


≪第二部は、山野 之義 金沢市長・渡邉会長の対談 「夢・挑戦!」≫




 山野 之義 金沢市長


まずは、山野金沢市長から、渡邉さんが企画して行われた「陸前高田市 復興街づくりイベント」へ金沢市として出店した報告があり、その経緯の話がありました。
山野市長が当選したのは48歳。陸前高田市の戸羽市長も今年、市長に46歳で当選。50歳以下の市長で組織される、全国青年市長会というものがあり、そこの協定に「もし、青年市長会のメンバーの地域で自然災害など何かあった場合は、全員が協力して助力する」というものがあるそうです。ですから金沢市としても、出来る限り迅速に対応し、協力しているということでした。

山野市長が、戸羽陸前高田市長との話で、戸羽市長は市民のため日夜休みなく動いていたという話のあとに、戸羽市長は、奥様と子ども二人の4人暮らし。3.11の朝、奥様からの電話で、「今日は用事があるので昼から家にいるね」、市長は「できるだけ早く帰るよ」という会話が奥様との会話の最後になったとのことでした。
津波が押し寄せ、市の職員は市庁舎の屋上へ、そこから市長の自宅が見え、波に飲み込まれていくのを茫然と見ておられました。奥様は帰らぬ人となりました。子どもは学校へ行っていたので助かりました。その後は、対応に追われ自分を省みる時間もなかった。ここに来て、復興はまだまだだが、少し落ち着きを見せてきたところで「市長として、夫として、父親として、これで良かったのか…」そんな思いを持ちながら、今も市民のために頑張っているとのことでした。

山野市長の政策に対する考えの一つが「スピード感」。政策決定が速くなることは、我々市民にとっては、非常にありがたいことであるが、この感覚を任期中、ずっと持ち続けて頂きたく思います。

復興支援に対する金沢市としてのスピードある対応、スピード感ある政策決定に一定の評価をしながらも、渡邉さんは「被災地はそんなレベルの話ではない」「本当に政治や政治家、官僚は対応が遅すぎる」「政治を見張り、政治にもの言う、そんな市民の目がもっと必要だ」と話された。これは、行動し、実践してきた人間としての重みある言葉であった。
そんなことを言う時の渡邉さんは、顔は笑っているが、目と語気は非常に厳しいものがあった。

山野市長、渡邉さんの共通した言葉としては、行政側は要望に対して、”できない理由を探し””それを正当化しようとする”という話があった。山野市長が、その後に、「すべてがそうなのではなく、一所懸命、市民の声を反映しようと仕事をしている職員はたくさんいる」という言葉を付け足された。それも当然でしょう。私たちも日ごろ金沢市役所の健康総務課、市民スポーツ課などなど、たいへんお世話になっていますのでよくわかります。

渡邉さんは、組織が上手くいくか、そうでないかは99%はトップで決まる。

渡邉さんは、「強い会社」について、「社員全員が、その会社の歴史を紐解き、その歴史を重ねていける。そんな社員がいる会社」「また、それを誰にでも話すことができる、そんな会社」が強い会社であると話されました。

スピード感のある政策の実行例として、金沢市と台南市の観光協定、その後の姉妹都市締結について長田アナから話題が提供された。台南市には烏山頭ダムがある。これは第二次大戦中、金沢市出身の八田與一という方が指揮して出来上がったダムです。そのダムのおかげで台湾の多くの人たちの生活が豊かになり、今でも台湾の皆様に愛され感謝祭(墓参など)が行われています。お墓や銅像だけでなく、記念館や記念公園もあるくらいです。
その感謝祭に山野市長は8年前より出席。しかし、そのような下地があり、草の根運動として、30年前より墓参に金沢から訪れていた民間の団体があったからこそ、話がスピーディ―に進んだ。そんな感謝の念の上に成り立っているとのことで、私は少しお手伝をさせて頂いただけであるということであった。

夢への挑戦(最後に一言でまとめると)

渡邉さん:夢は叶う、叶わないわけがない。大きな夢へ進んでいくことが楽しい人生。その夢を追いかけるプロセスが大切であり、たくさんの「ありがとう」をどれだけ貰って、人として成長していくかが大切である。


山野市長:できない理由、やれない理由を正当化せずに、やれることはリスクをかぶってでも挑戦する。夢は口に出して言うと(公言する)、プラスのエネルギーが伝播して、周囲にいい影響を与える。そこから新しい挑戦が生まれ、未来をつくっていく。



た~いへん長いブログになりましたが、いい私の誕生日(10月10日)、大収穫の誕生日を過ごさせて頂きました。

最後まで、「長いな~」と思いながら、お付き合い頂き、お読み頂いた皆さま、

ありがとうございます


二葉鍼灸療院 田中良和 
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ワタミ株式会社 会長 渡邉美樹さん 講演会 3

2011年11月01日 | 経営って何?!
10月10日(月祝 体育の日)、金沢歌劇座で開催された、ワタミ株式会社 渡邉美樹 取締役会長の講演会の内容を書いています。


 渡邉 美樹会長


では、続きを書きます。

「今」何も希望や夢を持たなければ、何もできないし、元気も出ない。誰かに任せるのではなく、我々が「今」何ができるか、自分を変えていこうということで、陸前高田市において復興に向けての最大のイベントである『陸前高田市 復興街づくりイベント~街づくり 夢づくり~』が8月27日、28日の両日に開催された。被災にあった、あるいは被害を受けた地元の約70店舗以上、あるいは全国より参じて頂いた店舗を合わせ100店舗以上が集まり、お店を開いた。
もう一度、「今から」「ここから」、商売をする喜びを感じて頂き、商売を再開するきっかけづくりになってもらいたい。また、そんな嬉しい顔を見たいという渡邉さんの思いもあった。両日、合わせて7000人の街に17500人が集まり賑わいを見せた。

皆、この場所(イベント会場)に来て「元気にやってたんだね」「本当に無事でよかった」と喜び合った。またチラシに店舗の情報を載せたところ、そこで、被災に合ってどうしているだろうと思っていたお店が名前を載せていることに、安否が分かったという思いがけない効果もあったそうです。

このイベントで再開した皆さんは、ただ手を握りあっていたということだった。渡邉さんは、私たちの想像を絶するような体験をされた人に、安易に言葉なんてかけることができない。この状況を頑張って耐え抜いている皆さまに、出てくる言葉もない。ただ手を握って、傍にいてあげることしかできないと話された。そして…時を待つこと。

ちょっとした差で生死を分け生き残った皆さまが思っていることは、”この命を大切に生き抜き、次に繋げていくこと。”

このイベントの運営は電通にお願いしたのですが、その担当者の方が「私もこのようなイベントを300以上も手掛けてきました。でも、こんなに温かく、笑顔があふれ、みんなが優しいイベントは初めてです」と言われたそうです。

カンボジアには、孤児院や学校建設のために12年ほど関っている渡邉さん。ここでは、いつもやってあげるという意識はなく、常に勉強させてもらう学びの場であると話された。

例えば、カンボジアの渡邉さんの建設した学校に通う少女に「他に何か必要なものはありますか」と聞いたところ、「食べることができ、寝る場所があり、勉強ができます。他に何が必要でしょうか 本当にやって頂いていることに感謝しています」と言われたそうです。そして続けて、「もしできることなら日本語を勉強したい。そして、今後、このような活動の架け橋となれるようにカンボジアと日本を繋げる仕事をしたい」と言われたそうです。
そこで、あるものに感謝するということは、こういうことなのだと学んだ。普通の時に、あるものに感謝できる生活を心がけようと。

カンボジアでは、その給食の食材確保や地域の皆が食べていけるように農業も開発し、そこに雇用を生み出している。

東北の被災者が「今」何が一番欲しいか。それは雇用であり、仕事をすることができる場所である。渡邉さんが今、すぐにできる仕事としてコールセンターを立ち上げたそうです。また、陸前高田市、気仙沼市、大船渡市、これらいずれも壊滅的被害を受けた地域の、もう一度商売がしたい皆さんを1000人集めて、講習会を何度も繰り返し、経営計画書を書かせて、その中から、本気で商売をやりたい50名を選出して、資金面などの交渉を行い、商売ができるようにする取り組みも行ったそうです。そこを起点に大都市からの集客、そして世界へ打って出ようという考えがあるとか。

陸前高田市の戸羽市長は、復興の暁には、現在2万人の人口を10万人に増加させるため意欲満々で、復興事業に取り組んでおられる。

風車(風力発電)を30~40建てるとグループの30分の1の電力が賄える。そんな構想もある。なぜ、そんなことが思いつくかというと、「これをやりたい」と強く思うことで、イメージが湧き、挑戦する。そうしてやってきたから、グループ全体の年商1500億円、従業員5000人、パートのおばちゃんまで合わせると3万人のグループが出来上がった。

渡邉さんの姿勢は、まず自分が実行して、実践して、国にもの申すことである。

  自分の好きな人生を生きるための五カ条 

第一条「どうしてもこれをやりたい」と思うこと
・ワタミグループは、社員5000人すべての人が、この思いで夢を実現してきた会社だと思っている。
・お客様が全員やすらぎの場所だと思って頂けるように皆が仕事に取り組んでいる。その中には苦情や問題、お褒めの言葉など様々なことが起きてくる。しかし、「どうしてもこれをやりたい」と思っているからこそ、その部分から今後の課題や対策が生まれ、そこに工夫が出てくる。

※渡邉さんは「利他の精神」という言葉は嫌いで使っていないということであった。自分の仕事や行為などは、確かに結果的には人に喜ばれることなのだが、最終的には「自分のため」なのです。だから自分のためにやるのに、利他、利他とそれを前面に出すのは変だと感じるということでした。言葉の捉え方でしょうが、商売を拡大しながら、「ありがとう」を頂くため実践してきた渡邉さんだから言える言葉でしょう。「自他利の精神」とでも言いましょうか。

※ある密着取材をした雑誌の記者に「ワタミグループは、渡邉さんが、そうしたいから、そうしている、そんなグループなんですね」と言われた。私は、これは深い言葉だと思った。「そうしたいから、そうする」そこには天に従うというか、誠の道というか、精神的バックボーンに支えられた「そうする」がないと、これだけ社会に貢献しながら、事業を拡大していくということはできないと思った。

自分の欲望のコップを大きくしない。事業が大きくなればなるほど、大きな家に住みたい、高級車に乗りたいなど、自分を満たす欲望が増えてくる。それはそれで悪いことではないが、自分だけが満たされる欲望は小さい方がいい。コップが小さければ、利益という水が増えてくれば、溢れ出てくる。溢れ出たら、どんどん溢れ出させて、それを地域や国、あるいは世界にどんどん溢れさせていけばいい。そうすれば、そこに流れが出来て、さらに大きく事業や会社が育っていくのではないか。
この話は本当に腑に落ちました。


講演会、本当に感動したもので、どんどん書いていますが、私のメモとしても残しておきたいので、ブログは続きま~す。続きはパート4で書きますね。

「ほんと、長いブログやな~」と思われた方、すいません。お付き合いして頂ける方はパート4も読んでくださいね


二葉鍼灸療院 田中良和
コメント (2)
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ワタミ株式会社 会長 渡邉美樹さん 講演会 2

2011年11月01日 | 経営って何?!
10月10日(月祝 体育の日)に行われた、東日本大震災チャリティー講演会、ワタミ株式会社 取締役会長の講演会の内容について書いていきたいと思います。


 司会は、МRO(北陸放送)の長田哲也アナウンサーでした



渡邉さんがステージに登り、演題に立たれた時の私の印象は、「いい笑顔」「温かさに包まれている」「しかし、芯があって強い」「行動によって結果を出している人の自信というか余裕がある」そんなことを講演に入る前に感じましたね。

さて、講演内容は箇条書きで書いていきますね。

まず、東日本大震災が起きた時から、その後の支援、そして復興へとお手伝いさせて頂いた経験の中でのお話がありました。そして、演題にもあるように「夢を持ち続けて生きる!」ために、私が実践してきたことで大切だと思うことのお話がありました。

では…

まずVTRで、テレビで放送された震災直後の陸前高田市、大船渡市の状況とともに、東日本大震災が起きてから、すぐに物資を調達して現地へ向かい、その後の被災地での支援活動、あるいは現場の状況を見ての渡邉さんの心境などが紹介された。また、学校経営などの様々な分野で、どんな気持ちで仕事を行っているのかが紹介された。

3.11は、東京都知事選挙に出馬していた渡邉さんは、その真っ只中だった。そして、大きく選挙の流れが変わった日でもあった。出馬しないと言われていた、石原さんが出馬を発表した日だった。それまで出先機関の調べでは渡邉さんが、人気ではトップであった。石原さんが出馬するとなると様相が違ってくるので、その日、記者会見を夕方から行う予定だった。その準備が整った所で起きたのが大震災であった。記者はビルの壁が剥がれ落ちる映像を撮影して帰っていったので、記者会見にはならなかった。という話を講演の導入部で話された。

①大震災当日、関東もほとんど交通網がマヒしていた。ライフラインも滞っていた。渡邉さんも東京から自宅(神奈川だったと思ったが…)まで歩くことにした。歩く道中、ほとんどの店が閉まっていて、電気も消えていた。社員のみんなどうしているかなと思いながら歩いていると、『和民』(何店かは忘れました)の電気がついていて、歩いている皆さんが入っていくそうです。「何やってるんだ」と渡邉さんが店に入ると、”食事や飲み物は出せませんが、トイレや休憩に使ってください”ということだった。そこの店長が判断して行ったそうです。
②また、『和民』の仙台にある店は、震災後、4・5日で商売を始めたそうです。ライフラインが確保できないのに…ガスコンロを使用してできる「キムチ鍋」一品で始めたそうです。
この①②ともに、渡邉さんから常々「ありがとうを貰うためなら、集めるためなら、何をやってもいい」と言われていることが全店に行き渡っている証拠でもあります。『和民』に限らず、グループ企業の5000人の社員が、そのことを意識し、考え、行動できているから、いいモノづくりができるんですよと話されていた。
お客さまからのクレームに対する社員の行動に関しても、徹底していることもエピソードなどを交え話されていた。それもやはりクレームをも「ありがとう」に変えるために、どんな心で応対したらいいかということも勉強になった。

渡邉さんは、東京都知事選真っ最中であったが、「まず被災地の支援だ」ということで、数日後に様々な物資を調達して現地へ向かった。(私はこれが、力を持っている人の、真の、誠の行動だと感動した)現地へ到着してみると、報道されているよりも遥かに悲惨な状況であった。まさに戦争状態という言葉がふさわしい状況だった。
渡邉さんたちが現地に入ろうとした時「ここより先は入らないでください」と自衛隊の人に言われた。「海の上には無数のお亡くなりになられた方々が漂っているんです」ということであった。津波の凄まじさを感じるとともに、絶句してしまったということでした。

支援の形も、はじめは「水が欲しい」から始まり「レトルトのお米が欲しい」、「レトルトのおかずが欲しい」「有機野菜が欲しい」と徐々に支援物資にも変化があり、徐々にではあるが復興に向かっていることを実感しているということであった。

またVTRにて、被災地に取り残された老人施設の高齢者の映像があった。若い職員は被災にあったり、逃げるので精一杯だったりで、施設の人も家族が引き取っていったりしたが19名が取り残されていた。調べてみると、もう食料もほとんど底が尽きていた。自治体の方から渡邉さんへ支援の要請があり、すべての人を無償で渡邉さんの老人施設へ迎え入れることにした。
その時のエピソードで、取り残された高齢者の皆さまは、出発のバスに乗る際は無表情で固い表情をしていたが、バスを降り施設に到着し、バスから降りて地に足を付けた瞬間、皆さん「ありがとう」と”号泣”されたそうです。これまでの不安や恐怖、私たちには分からないいろんなものが込み上げてきたのでしょう。というお話でした。(私も今までの話や映像とともに、思わず涙が出てしまいました…今もブログを打ちながら目頭が熱くなってます)

渡邉さんは、現地によく足を運んで、被災者の人たちと対話したり、また、そこで頑張る役所の人たちと話をする機会が多くあるそうです。多くの被災者の皆さまの心境は「私たちの幸せは、今ある”命”であり、今ここにいることで、今あるものに感謝をしている」ということでした。そして、「悲しみを乗り越えて、今ある感謝や温かい気持ちを、後世に繋げていかなければならない」という気持ちでいるということでした。

陸前高田市は街全体が壊滅状態です。そこへ陸前高田市の戸羽市長から復興参与として力を貸して頂けないかという要請があり快諾したそうです。東京都知事選挙に出馬したのも、この27年間に培ってきた経営のノウハウを何か国民のために活かせないかという思いで出馬したので、このような形で要請を受けたことは願ってもないことであった、と話されていた。

復興参与として役所の皆さまと復興に向けて話し合いをする中で実感したことは、「資金がない」ことだった。がれきを撤去し、土地を整備し、など復興に向けてすぐやらなければならないことがたくさんあるが、なんせ「資金がない」ということに尽きた。まず何をやるにしても、これだけの予算を付けて、資金をそこに投入してはじめて行動に移せるというもの。市長の話によると、今現在であっても、現地の補償や必要予算など、国、政府には、何も伝わっていない状況だということでした(もし聞いていたとしても、意思表示、行動で示せないのだから)。
この大地震は、過去に例がないほど甚大な被害を出している。そんな時は、すぐに様々な対応ができるよう法律を改正し、すぐに予算付けをして、それぞれの自治体とともに復興へ向けて進まなければならない。なのに…政府の現在の状況を見ていると分かりますが、対応が遅く、後手後手にまわり、まだ何も決まっていない状況である。そんな政府、そんな国では、夢や希望が見出せず、元気がなくなる。

※(これは私の意見)現在も復興財源の確保に、様々な増税、復興債の在り方などを論議しているが本当にノロいと思う。まったく前例がないので、被災にあった都市や市民は決まるまで待ってなさいという態度に見えて仕方がありません。確かに約90兆円もの国家予算に税収が約40兆円、その他は国債で賄っていること自体、なにか国家予算そのものに無理があるとは思いますが、だから増税なんてことは、あまりにも短絡というか、国民を欺いている感じがしますね。

また、現在、円高で為替介入が日銀により行われていますが、お金を刷り、アメリカ国債を購入するわけです。その資金は、外国為替資金特別会計から拠出されます。そこにプールされているお金が外貨準備高です。日本の外貨準備高は1.1兆ドルあり、その多くはアメリカ国債となっています。為替介入とは、このお金でアメリカ国債を買うということです。
2007年から2011年までの4年間に、外貨準備での為替評価損失は45兆円もあるそうです。短絡的ではありますが、この損失がなければ復興にはいくらか当てることができたのではないでしょうか。また、特別会計からの見えないお金は埋蔵金としてプールされるのですが、そのお金を各省庁が少しづつでもいいから出せば、まず、初動のための資金となったのではないでしょうか。



すんませ~ん熱くなりまして。長くなってますので、パート3へ移ります。

お付き合い頂ける方は、パート3も読んでくださいね。


二葉鍼灸療院 田中良和
コメント
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