ここ1か月ほどよく新聞やテレビなどで報道されるようになったTPP(環太平洋経済連携協定)。よく「日本の農業がダメになる」とか言われていますが、これって本質的な所は何なのか
と思ったので、少し私の頭の中の整理のために書いておきたいと思います。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_en3.gif)
まずTPPって言うのは、簡単に言うと協定を結んだ国々においての関税の撤廃あるいはそれを低くし、物流の輸出入を盛んにするだけでなく、様々な分野の国際間の交流を広くカバーしていこうというものだそうです。様々な分野というのは、金融、投資、政府調達、労働、環境などなどです。品物だけでなく、すべてにおいて例外なく自由化するということです。
TPPに参加する国々は、アメリカ、チリ、ペルー、シンガポール、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、オーストラリア、ニュージーランドの9カ国です。そこに「日本さん~お入んなさい」ということです。これをAPEC(アジア太平洋協力会議)までに答えを持ってきなさいよ。ということでにわかに報道が賑やかになっています。こんなギリギリになるまで国民に情報が流れてこない
どうしてでしょうかね。民主党経済連携プロジェクトチームというのがあって、ここでは相当前からTPPに向け議論を重ねていたようですよ。ということは、最初から参加することを前提に議論されていたんでしょうか![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/eq_1.gif)
その辺りは、このTPPの内容を、知ると恐ろしくなるし、政府は、どこの国のことを考えているのか理解できなくなります。
もし、日本がTPPに参加することになると、交渉参加国の経済規模のシェアが日米で9割を占めるそうです。ですから多国間協議とは名ばかりで、実際は日米FTA(自由貿易協定)と見ることができます。
先般、結ばれた米韓FTAと今回のTPPの内容は同じようなものとなっており、米韓FTAの内容を見ていくと、日本がTPPに参加することがどのようなことかが示唆されるようです。
ちなみに米韓FTAは、韓国にとって極めて不利な結果に終わったということです。
米韓FTAにおいて韓国は米国での関税の撤廃で何を得たのでしょうか![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/eq_1.gif)
韓国…協定以前のテレビの関税は5%、自動車は2.5%程度と充分低い関税であった。それら輸出品に対する関税が撤廃された。
韓国の自動車も電子電気製品もグローバル化が進み、現地生産を進めている。
故に製造業では、関税の存在は企業競争力とは殆ど関係ない。
韓国企業の競争力はウォン安のおかげであり、競争力は通貨の価値で決まる。関税撤廃は関係ない。
※ここで本当に腹立たしいのは、自動車の2.5%の関税撤廃に関して、アメリカ自動車の販売や流通に深刻な影響を及ぼすとアメリカ企業が判断した場合は、なんと関税撤廃が無効になるそうです。世界の場での正式条約ではないので、国家間協定なので何でもありなのかもしれませんが、おかしいと思うのは私だけでしょうか。
さて、自動車関税の撤廃の結果、アメリカが韓国に要求したことは、
アメリカ…韓国へ輸入されるアメリカ車の排出量基準にアメリカ方式を導入する。
排出ガス診断装置の装着義務や安全基準認証証などについて一定の義務を免除する。
アメリカメーカーが競争力を持つ大型車の税負担をより軽減する。
つまり、韓国に輸入されるアメリカ車の環境や安全を韓国の基準で守れなくなったということです。
米国通商代表部(USTR)は、日本にも、以前から自動車市場の参入障壁を撤廃するように求めています。エコカー減税などアメリカ車が苦手な環境対策のことです。TPPに入ればどうなることか。
農業についてはどうか![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/eq_1.gif)
韓国は、コメの自由化は逃れたが、それ以外の農産物は実質すべて自由化することになりました。海外生産を進める製造業は関税の撤廃は無意味だけど、農業を護るためには関税は重要なのです。製造業を守りたい国と、農業を守りたい国がお互い関税を撤廃したら、どちらが不利になるでしょうか。このことは日本にも言えることですから、対岸の火事ではないのですね。
唯一、自由化を逃れたコメについて、米国最大のコメ産地であるアーカンソン州選出のクロフォード議員が不満を表明。カーク通商代表は、今後、コメ市場もこじ開ける努力をし、今後の通商交渉に関しては例外品目を設けないと応えたようです。あまりにも身勝手な言い方ですが、日本が交渉参加しそうなTPPはコメの自由化も例外にはならない可能性が確実のようです。その辺りは民主党議員も分かっていることでしょう。
その他にも…
・韓国は法務・会計・税制サービスについて、アメリカ人が韓国で事務所を開設しやすいように制度を変えさせられました。
・知的財産権制度は、アメリカの要求をすべて飲みました。その結果、アメリカ企業が韓国のウエブサイトを閉鎖できるようになりました。
・アメリカの医薬品メーカーが、自社の医薬品の薬価が低く決定された場合、これを不服として韓国政府に見直しを求めることが可能になる制度が設けられました。
・農業協同組合や水産業協同組合、郵便局、信用金庫の提供する保険サービスは、アメリカの要求通り、協定発効後、3年以内に一般の民間保険と同じになることが決まりました。共済として積み立ててあった資金が、アメリカの保険会社に吸収されていくということです。
アメリカは日本にも簡易保険や共済について、韓国と同じ要求をつきつけて来ています。日本の保険市場は米国に次いで大きいからです。
何か韓国の要求を見ていると、アメリカ通商代表部が毎年、日本に突きつけている、年次改革要望書を見ているような気がしてなりません。その要求を「はいはい、お任せあれ~」と行っていたのが小泉政権でした。
米韓FTAには、いくつかの恐ろしい仕掛けが組み込まれています。
①「ラチェット規定」
ラチェットとは、”一方にしか動かない爪歯車”を指し、すなわちラチェット規定は、”現状の自由化よりも後退を許さない”という規定です。締約国が、後で何らかの事情で、市場を開放しすぎたと思っても、規制を強化することが許されない規定です。
ラチェット規定が入っている分野は、銀行、保険、特許、会計、電気、ガス、宅配、電気通信、建設サービス、流通、高等教育、医療機器、航空輸送などなど、その他にもあり、どれもアメリカ企業が有利な分野ばかりのようです。
加えて…
今後、韓国が他国とFTAを締結した場合、その条件がアメリカに対するよりも有利な場合、アメリカにも同じ条件で適用しなければならないという規定まで入れられました。
長くなりましたので、パート2へ続きます。よろしく~![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_en4.gif)
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二葉鍼灸療院 田中良和
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その辺りは、このTPPの内容を、知ると恐ろしくなるし、政府は、どこの国のことを考えているのか理解できなくなります。
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先般、結ばれた米韓FTAと今回のTPPの内容は同じようなものとなっており、米韓FTAの内容を見ていくと、日本がTPPに参加することがどのようなことかが示唆されるようです。
ちなみに米韓FTAは、韓国にとって極めて不利な結果に終わったということです。
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韓国…協定以前のテレビの関税は5%、自動車は2.5%程度と充分低い関税であった。それら輸出品に対する関税が撤廃された。
韓国の自動車も電子電気製品もグローバル化が進み、現地生産を進めている。
故に製造業では、関税の存在は企業競争力とは殆ど関係ない。
韓国企業の競争力はウォン安のおかげであり、競争力は通貨の価値で決まる。関税撤廃は関係ない。
※ここで本当に腹立たしいのは、自動車の2.5%の関税撤廃に関して、アメリカ自動車の販売や流通に深刻な影響を及ぼすとアメリカ企業が判断した場合は、なんと関税撤廃が無効になるそうです。世界の場での正式条約ではないので、国家間協定なので何でもありなのかもしれませんが、おかしいと思うのは私だけでしょうか。
さて、自動車関税の撤廃の結果、アメリカが韓国に要求したことは、
アメリカ…韓国へ輸入されるアメリカ車の排出量基準にアメリカ方式を導入する。
排出ガス診断装置の装着義務や安全基準認証証などについて一定の義務を免除する。
アメリカメーカーが競争力を持つ大型車の税負担をより軽減する。
つまり、韓国に輸入されるアメリカ車の環境や安全を韓国の基準で守れなくなったということです。
米国通商代表部(USTR)は、日本にも、以前から自動車市場の参入障壁を撤廃するように求めています。エコカー減税などアメリカ車が苦手な環境対策のことです。TPPに入ればどうなることか。
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韓国は、コメの自由化は逃れたが、それ以外の農産物は実質すべて自由化することになりました。海外生産を進める製造業は関税の撤廃は無意味だけど、農業を護るためには関税は重要なのです。製造業を守りたい国と、農業を守りたい国がお互い関税を撤廃したら、どちらが不利になるでしょうか。このことは日本にも言えることですから、対岸の火事ではないのですね。
唯一、自由化を逃れたコメについて、米国最大のコメ産地であるアーカンソン州選出のクロフォード議員が不満を表明。カーク通商代表は、今後、コメ市場もこじ開ける努力をし、今後の通商交渉に関しては例外品目を設けないと応えたようです。あまりにも身勝手な言い方ですが、日本が交渉参加しそうなTPPはコメの自由化も例外にはならない可能性が確実のようです。その辺りは民主党議員も分かっていることでしょう。
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・韓国は法務・会計・税制サービスについて、アメリカ人が韓国で事務所を開設しやすいように制度を変えさせられました。
・知的財産権制度は、アメリカの要求をすべて飲みました。その結果、アメリカ企業が韓国のウエブサイトを閉鎖できるようになりました。
・アメリカの医薬品メーカーが、自社の医薬品の薬価が低く決定された場合、これを不服として韓国政府に見直しを求めることが可能になる制度が設けられました。
・農業協同組合や水産業協同組合、郵便局、信用金庫の提供する保険サービスは、アメリカの要求通り、協定発効後、3年以内に一般の民間保険と同じになることが決まりました。共済として積み立ててあった資金が、アメリカの保険会社に吸収されていくということです。
アメリカは日本にも簡易保険や共済について、韓国と同じ要求をつきつけて来ています。日本の保険市場は米国に次いで大きいからです。
何か韓国の要求を見ていると、アメリカ通商代表部が毎年、日本に突きつけている、年次改革要望書を見ているような気がしてなりません。その要求を「はいはい、お任せあれ~」と行っていたのが小泉政権でした。
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①「ラチェット規定」
ラチェットとは、”一方にしか動かない爪歯車”を指し、すなわちラチェット規定は、”現状の自由化よりも後退を許さない”という規定です。締約国が、後で何らかの事情で、市場を開放しすぎたと思っても、規制を強化することが許されない規定です。
ラチェット規定が入っている分野は、銀行、保険、特許、会計、電気、ガス、宅配、電気通信、建設サービス、流通、高等教育、医療機器、航空輸送などなど、その他にもあり、どれもアメリカ企業が有利な分野ばかりのようです。
加えて…
今後、韓国が他国とFTAを締結した場合、その条件がアメリカに対するよりも有利な場合、アメリカにも同じ条件で適用しなければならないという規定まで入れられました。
長くなりましたので、パート2へ続きます。よろしく~
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二葉鍼灸療院 田中良和