雪雲が切れて合掌の里はつかの間の陽光を楽しんでいるようです。
展望台には雪を固めたベンチができていました。少し厚めの防寒上着を敷いて合掌村集落をのんびり見下ろしているカップルがいました。
木の間がくれに合掌村の全貌が見えるようになってくると、雪道は間もなく白川郷を一望のもとに見下ろせる、荻町城跡展望台に届きます。
つい先ほどまで降っていた雪の大地は望外の晴れ間にまぶしく、雪を知らない海外の子供でなくても、ふわりと倒れこみたいような衝動に駆られます。
降り積もったばかりの雪の踏み跡をたどるのは結構楽しいものです。平坦なようで固まっていないところは油断するとスポッと深みにはまるように踏み抜いてしまいますが、前に歩いた人の足型を踏むというコツがわかれば難なく歩いてゆけます。
雪が降り止んで陽が射してきました。この日は宿を予約してあり、時間に余裕があったので、いつもならシャトルバスで行くところを展望台まで歩いて登ることにしました。
異国から来た子供たちにとって雪の世界は驚きとともにこの上なく楽しいものに違いありません。喜ぶ姿を見て遠い日本に良い時期に来てよかったねと声をかけてやりたいと思いました。
雪の重みを体で感じることはありませんでしたが、切り倒された大木の上にねばりつくように積もっている雪を見て、雪は確実に重みをもって村を押しつぶそうとしているように感じました。
綿帽子をかぶった物置小屋の壁の案山子のディスプレーは一昨年来た時もありました。この時は溜められた雪の山から見下ろしたのですがことしは雪山に登る道がありませんでした。
