TAKESHIS'

2005年11月21日 | 映画

北野武監督作品12作目。梅田ピカデリー3で観た。オフィシャル・サイトはこちら

タレントのビートたけしはテレビ局の楽屋で売れない役者の北野武と出会う。二人は全くの他人であるが容姿は瓜二つだ。北野はフリーターをしながら映画のオーディションを受ける毎日。たけしに憧れ髪を金髪に染めている。たけしは北野にサインを頼まれ快く応じるが、そのサインにはたけし一流の毒が書き込まれていた...

映画はビートたけしが見る夢を映像化している。売れない役者北野武→仕事はコンビニの店員→北野に対してしつこくいじわるをする女→「頑固なラーメン屋のオヤジ」役のオーディション→ヤクザの抗争で瀕死の怪我を負った男をかばう北野→拳銃と機関銃を手に入れ暴力の渦に巻き込まれてしまう北野→たけしの映画『灼熱』の主人公と同化してゆく北野...

映画『灼熱』は劇中劇みたいなものだと思っていたが、実際は故深作欣二監督、ビートたけし主演で企画されていた映画の仮タイトルだそうだ。深作監督が降板したため、たけしが監督することになり完成したのが監督作第一作の『その男、凶暴につき』。

北野が(銀行を襲い)カネを手に入れた後、真っ赤なポルシェの中古車を買うのだが、その行為も実際にたけしの実体験が元になっている。このように映画のあらゆる場面にはたけしの過去が象徴として盛り込まれている。

映画のラストで描かれるのは象徴としての「たけしの死」。結局はこの映画、実験的なアプローチであったものの、ファンや取り巻きの期待を背負いながら、それを裏切り、自らが区切りとしてピリオドを打った「たけし映画」の完結篇だった。決して難解な作品ではない。僕は楽しめた。
コメント
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