NIGHT RAMBLER [MONDAY]

2010年12月29日 | 佐野元春 Radio Days

■NIGHT RAMBLER [MONDAY]
2010年12月27日(月) FM802 25:00-28:00
DJ:野村雅夫
GUEST:佐野元春
http://funky802.com/service/homepage/index/1125

午前2時代に佐野元春がゲスト出演しました。

Playlist
君がいなければ / 佐野元春
折れた翼 / 佐野元春
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■内容の一部を抜粋
野村「どうもはじめまして。たいへん光栄でございます」

元春「どうもありがとう」

野村「すごい存在感、佐野さんがスタジオにいるというだけで空気が濃密になったような感じがしますけれども」

元春「気のせいです」

野村「いや~、この空気感がね、きっと電波に乗って伝わるんじゃないかと思いますけれども。あのこの番組は真夜中の生放送なんです。そういう観点から改めて佐野さんのナンバーに、ざっーと耳をすましてみると、夜にまつわるといいますか、夜というシーンをモチーフにしたものが、けっこう多いんじゃないかなという気がしたんですよ」

元春「言われる通りですね。夜というのはソングライターにとってとても魅力的なテーマですよね。自分が十代、二十代、僕は遊びに行くっていったら夜遊びに行きましたから。書く詩も時間帯は夜ということになります。夜、それから、好きな時間帯としては夜から朝に明けていく一瞬ですよね」

野村「夜明けという言葉もよく出てきますよね」

元春「夜は人々の悲しみとか、人々のネガティブな感情を、そっと覆い隠すような、そんな時間ではないかなと僕は思うんですよね。ですので、その時間帯に人々の感情がいろいろ変化する。その状態が面白いと思って、ソングライティングするときも夜を時間帯にとることが多かったです」

野村「こうやって真夜中にラジオをやってますと、やっぱりリスナーのみなさんによく言われるのは、深夜のラジオって距離がなんか近しい感じがする。お昼とは少し違う空気感といいますか、心情の、なんていいますか、表に出てくるその感じも変わってくるってことなんですかね?」

元春「そうだと思います。昼間はいろいろな人に対面しなければならないけれども、夜になると一人の時間ができますよね。そうすると自分に向きあう時間も長くなる。なので、特にラジオは一対一のコミュニケーションが可能なメディアですから、夜の番組ですと特にそこが強調されるような気がしますね」

野村「う~ん、なんか佐野さんの言葉でそんなこと言っていただけると、深夜やってる冥利に尽きるなという感じがありますけれども(笑)。あの、30周年ということで佐野さんからのファンとしてはプレゼントなのかなと思うんですけれども、待望のニュー・アルバムが来年1月26日にリリースということになりまして。タイトルは『月と専制君主』なんですよね。これは'84年の『Visitors』から'99年の『Stones and Eggs』までのアルバム作品に収められてる曲をチョイスしてきて、そこに新しい息吹、新しい音を吹き込んでゆく、でスローガンとしては『元春クラシックを現代(いま)に鳴らせ』ということなんですけれども。佐野さんのサウンドって常に新しいなと、その時代その時代思うんですよ。その新しさっていうのは時代が求めるものなんでしょうか? それとも佐野さんが貪欲に前へ前へということなんでしょうか?」

元春「どっちかっていうと直感ですね。例えば自分のフェイバリットのバンドのひとつにローリング・ストーンズがいますけれども。ローリング・ストーンズ、典型的なストレートなロックンロールバンドとみんな思ってるけれど、よく'60年代から現在までのレコードを聴いてみると時代時代のビートの流行を取り入れてるんですよね。例えば'70年代であればディスコ・ビートやってるし、'80年代に入ればヒップホップのグルーヴを取り入れたりとか、すごくリズムに対して敏感なバンドだなってことを感じる。なので僕も直感的にその時代に好まれるグルーヴとか好まれるビート、それを採用してきた気がします」

野村「今振り返ってみるとロックが誕生してきてもう半世紀近く経ってるわけですけれども、時代時代の象徴的な音ってありますよね。今もディスコ・ビートとか仰いましたけれども。まぁ10年単位ぐらいでおおよそ分かれてくると思うんですが、ああいうものって、なぜそういう時代によって音の違いっていうのがこんなに鮮明に出てくるんでしょうかね?」

元春「不思議だよね。やっぱりそれは人々の心模様というところと関係してると思うんですよね。あるいは学者によっては景気と関係してるんじゃないかとかね(笑)。いろんなこと言う人がいますけれども。やはり人の心ですから計測不能なところがあって、どうしてこの年代はこのビートが流行ったんだろうとかね、まぁ研究家にとって面白いテーマかもしれないけれども、僕らミュージシャンにとってはとにかく直感的に...」

野村「直感なんですね、そこは」

元春「うん。ライヴで演奏して、みんながごきげんに歌ったり踊ったりしてくれればOKなわけですから」

野村「そこはやはりライヴは大きいですか、それを感じとる、その直感には」

元春「とても大きいですね」

野村「あの、これ佐野さんのお言葉だったと思うんですけれども、好き勝手にやってきた、それはやっぱりデビュー当初から変わらずといった感じですか?」

元春「そうだね。やはり表現というのはある個性から生まれてくると思うんですよね。例えば会社の決め事であれば、それは会社に勤めてる人たちの合議によって民主的になにか物事が決められていってよい成果が得られるということだと思うんだけれども。アーティストの作業っていうのはどこまでいっても孤独ですから、自分で何もかも決めなければいけない。ですので自分流のやり方を貫くしか方法がないんですよね。他の人がこうしたらどうとか、ああしたらどうとか、まぁアドバイスは受けるけれども最終的にジャッジメントするのは自分しかいない。だからそうした意味でも自分が好き勝手にやっていくしか道はないんです」

野村「そうですよね。おそらくクリエイティブな作業というのはとても楽しいし刺激に満ちているけれども、今の言葉でいうと孤独な部分もある。あぁ、先程お伺いした夜っていう部分と、ちょっと繋がってくるのかなって、パーソナルな部分ですね、そんな気もしますけれども。今の日本の音楽シーン、特に若い人たちが作ってる音っていうのはお聴きになったりされますか?」

元春「あの、耳に入ってきますね。で、自分はこうした創作、制作の世界にいて感じるのは、クリエイティブな世界に年齢は関係ないということですよね。若いとか若くないとか、そういうことは全く関係ない。むしろ、どれだけごきげんな表現をやってるか、ごきげんな表現をやってるやつが偉い、クールでっていう話だと思うんですよ。だから、そういう耳で、このバンドすごくいい感じだねとか、このソングライター素晴らしいねとか、そういう自分なりの耳は持ってます」

野村「そういう意味で先輩後輩だとかいうよりも、まず音で聴いて、今の言葉でいうと、ごきげんかどうか、そこがやっぱり唯一のものさしになると」

元春「そうです。若い世代でも聴くに堪えない音楽はあるし、僕より年上の人でも素晴らしく瑞々しい若い感性を持った音楽を作る人もいる。そういうことです」

野村「そうですよね。じゃあ、その『元春クラシックを現代(いま)に鳴らせ』という、いま佐野さんが直感で選ばれたいまのサウンドで聴いてみたいんですけれども。ニュー・アルバム『月と専制君主』の中から一曲お届けしようと思うんですけれども。曲紹介を佐野さんからお願いできますか?」

元春「そうだね。この番組はミッドナイトだし、スロー・ソングがいいんじゃないかと思ってこの曲を聴いてください。アルバム『月と専制君主』ら[君がいなければ]」

・君がいなければ

野村「お届けしましたのは佐野元春さんの1月26日リリースになります『月と専制君主』に収録されています[君がいなければ]でした。今年はやっぱりアニバーサリー・イヤー、30周年ということで精力的にライヴ活動を行われました。本当にお忙しかったと思うんですけれども、けっこうタフじゃなかったですか、体力的にも?」

元春「30周年アニバーサリー・ツアーということでパート1、パート2、パート3に分けて、今年の夏ぐらいから、ずっと連続して、ライヴ・ツアーをやってますけれども。30年間ずっとライヴ・ツアー、こうしてやってきてますので(笑)、一旦、ロードに出ると、それ用の身体になるんですね。ですので、ずっーとツアーを続けてたほうが逆に楽という、そういう感じです」

野村「すごいですね~。こう、張りつめたものが、やはり一旦途切れてしまうと、よりはずっと張りつめてたままで、そのモードに入ってしまうほうがいいという...」

元春「のほうが楽ですね」

野村「あ~、なるほど~。30周年アニバーサリー・ツアー、そのファイナルがいよいよ大阪と東京で開催されるということになりまして、ここ大阪では、年が明けまして2011年3月6日、日曜日、会場は大阪城ホール」

元春「30年ずっと僕の音楽を支援してきたファンの人たち、あるいは僕の楽曲をどっかで知って好きになってくれた人たち、そういう人たちのためのアニバーサリーであってほしいなという気持ちもあるので、大阪城ホールでのライヴは、まずみんなが、ファンの人たちが愛してくれた、よく知られた曲をヒットパレード的に演奏していくという、そういうオールタイムヒット的なものになるし、またこのツアーのラストとしては、大阪、東京とふたつ大きいイベントをセットしてるんですけれども、その東京のイベントともまた違うセットリストで行きたいと思ってる。ですので、大阪城ホールExclusiveな内容になると思います」

野村「ひじょうに贅沢な一夜になりそうですね。チケットは1月29日発売ということですので、もういまから手帳にメモしていただいて、忘れないようにということですね、1月29日発売です。そしてこの一連の30周年の流れの中で面白い新たな試みがありますよね。それがこちらなんです」

「コヨーテ、海へ」がBGMでながれる。

野村「そうです。佐野元春 × 堤幸彦 WOWOWスペシャルドラマ『コヨーテ、海へ』。こちらは全編に佐野元春さんの楽曲が使用されたロードムービーということで、海外のロケを中心にニューヨーク、そしてブラジルということで、その監督、脚本は『TRICK』シリーズでお馴染みの堤幸彦監督なんです。まずこの二人がタッグを組むという(笑)、ひじょうにこれもそれぞれのファンにとって興奮する試みなんですよね。で、その堤監督がもともと佐野さんの音楽、佐野さんも大いなる影響を受けられたビート・ジェネレーション、ビートニク、かなり造詣が深いということでオリジナルの脚本をしたためられて、で映像化にあたっては実際に佐野さんが音楽を監修されると、そういうかたちで参加されると。こういうことってあまりないですよね?」

元春「初めてですね、自分のキャリアの中では。自分はミュージシャン、まぁソングライターですね。で堤監督は映像の表現者。互いに違う分野で表現を続けているわけですけれども。こうして映像と音楽をコラボレーションしようというときは二人とも一+一が二の結果を求めるんじゃなく、一+一が三にも四にも五にもなる、そういう結果を求めてコラボレーションに向かうわけですね。だから堤監督がこの映画を作るにあたって、自分のこの曲を使っていただいてね、彼が一+一が三にも四にも五にもなったなと思ってくれたらうれしいですね」

野村「いや~なってるんじゃないかなと思いますけれどもね~。僕も一足先に拝見しましたけれども、僕たちの世代も、そして佐野さんの世代も、またこう、ビートニクに触れる、そしてまた理解を深めるいいきっかけになるんだろうなと僕は思いましたね」

元春「僕もそう思いますね。堤監督もそれなりにビートに対して意見を持ってますし、またそれがたぶん今回のこの映画に現れてると思います。特に登場した若い二人がね、'50年代ビートの精神に触れてゆくくだり、いくつかありましたね。いちばん印象に残ってるのがニューヨーク、マンハッタンのダウンタウンの教会、たぶんセントマークスチャーチだと思うんですけれども、そこでたどたどしく日本語で詩のリーディングをし、最初は理解されないんだけれども、最後に外国のオーディエンスたちに理解してもらって拍手をもらうという。あのシーンが感動的だった」

野村「あそこは本当によかったですね。カメラの動きもよかったですね」

元春「はい。カメラの動きもよかった。あの正に、あの映画で描かれたのは1984年の冬のことだったと思うんですけれども。正に僕は1984年の冬、あのセントマークスチャーチで詩のリーディングをしました。ですので登場人物の彼を見て、その頃の自分をちょっと思い出しました」

野村「重ねられた部分もありますよね。ああいうポエトリー・リーディングというのは、ニューヨークでは、当時佐野さんが行かれた当時、かなり活発に...」

元春「はい。ひとつの公認されたアートフォームとしてありました」

野村「日本でももっと活発になるといいのになってよく思うんですよ...」

元春「僕もそう思います。ただヒップホップのリリックを書いてる連中たちはそれに近いことをやってますよね。言葉の音楽化というね、言葉をいかにかっこよく音楽的に響かせるかというのは、日本ではヒップホップのアーティストたちが一所懸命やってる。それから進化してもっとフリーフォームのポエトリー・リーディングももっと発展していいのかなって思います」

野村「もう一度そういう言葉の力といいますか、音とその意味、そのぶつかり合っていく部分というのがね、もっとこう注目されてもいいのかなぁというふうに、言葉がね、軽く扱われる時代でもありますから、そんなふうにも思いますけれどもね。このドラマを見ると示唆してくれる部分というのがたくさんあって、それぞれご覧になる方みなさん違った刺激を受けられると思います。このスペシャルドラマ『コヨーテ、海へ』は来年1月3日月曜日、夜8時にWOWOWで放送されます。是非ご覧ください」

元春「そうですね」

野村「さっ、それではこの『コヨーテ、海へ』の中でもとっても印象的に使われている一曲をお届けして佐野さんとお別れしたいと思います。この曲も歌詞がね、いい感じで映像とシンクロしてくるところがたまりませんでした。是非ドラマご覧いただきたいと思います。今夜のゲストは佐野元春さんでした。ありがとうございました」

元春「どうもありがとう」

・折れた翼

野村「年が明けて1月3日月曜日、夜8時から放送されるWOWOWのスペシャルドラマ『コヨーテ、海へ』。全編に佐野元春さんの楽曲を使用したロードムービーになってます。是非ご覧ください」ね。その中でも使用されてる曲。佐野元春[折れた翼]をお届けしました」

●佐野元春 新作『月と専制君主』Web CM

http://www.moto.co.jp/sidewalktalk/

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