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うたのイラスト(港町ブルース)

森進一である。演歌である。
私は、歌謡曲と演歌とは別のものだと思っているのだが、
この曲は堂々たる演歌だ。
私の勝手な定義によれば、
「人間が抱くマイナーな感情(後ろ向きな感情)を思い切り吐き出させて、
結果的に浄化してくれる」のが演歌とよばれるジャンルだと思う。
だから道に外れた恋だの、貧しい風景だの、
酒だの涙だの、という
およそ絵としてはあまり格好良いとは言えないものを歌う。
昔は本当に日本も「貧乏ったれ」だったから、
もうストレートにこのジャンルに飛びついて
涙を流して心を静めた人たちが多かったが、
今は生活も(不況ではあるが)昔より豊かだから、
「かっこ悪い」ことになってしまった。
しかし人間のマイナーな感情がなくなってしまったわけではないだろう。
今の若い人たちはそういう感情をどう処理するのだろう。
森進一のこの歌も、女心などというものを表面上歌っているが、
レコードの歌を(Youtubeで聞けます)耳にすると、
その、静かな怒りのこもったような歌声に、
何か、この世に生きて行くことの辛さとうらめしさを、
抑えた憤りと共に吐き出しているような気がしてくる。
そうでなければ、
森進一の歌う一節一節に
はらわたを鷲摑(わしづか)みにされたような気分を味わうことなど考えられない。
ああ、イラストになど出来るものか。
精一杯、描きました。

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