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こどもをめぐる季節たち(画文集・2 花見)



遠くからこっちまで、人がいっぱい。
この公園でお花見するの、私は初めて。
お父さんや近所のおじさんたちが、いい場所をとってくれたんだって、朝早くから。
そこにお酒や料理を持ち込んで、地面に敷いたござの上で、
大人も子供も、みんな食べて飲んで歌って、踊る人までいる。
うわあ、にぎやかだなあ。
はるかむこうの彼方から、桜色の霞が空にかかって、
小さな花びらがつぎつぎ舞い降りて。
私は花見団子を食べながら、ずっと眺めていた。
明るい光に、散りつづけるたくさんの花びら。
ふとなぜか、今が昔で、昔が今で、
今この時がたまらなく大切な時のような気がして、
なにか悲しいような気持ちがしていた。
笑い声の中で。歌声の中で。
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