栗原市南西部の、一迫町長崎地区の道路脇で見かけた、カキツバタの群落です。
この辺りは平野から山間地に変る境目のようなところで、田んぼは区画整理されて
いますが、山や川などの地形的な制約があるので、取り残される部分が生じるようです。
道路脇にある小さな湿地も、そんな取り残された田んぼの欠片なのでしょう。
そこに咲いていたのがカキツバタです。
花びらの基部に白斑が入っているので、ハナショウブやアヤメとは区別できます。
二枚とも2015.5.23撮影
栗原市一迫町には有名な「あやめ園」がありますから、住民の方々もそれを意識して
いるのでしょうね。小さな欠片のような田んぼ跡でも、放置して雑草を蔓延らすより、
何かアヤメの仲間でも植えましょうか、と植栽されたカキツバタと思われます。
同じアヤメ科アヤメ属の花卉でも、自生環境は大きく違います。
アヤメは乾いた草原を好みますから、田んぼ跡には向きません。
ハナショウブは適度な湿気を好みますが、水田のような水の中は苦手です。
その点、カキツバタは水田のような浅く水の張った湿地を好みますから、田んぼ跡に
植栽する花卉としては最適な選択ですね。
2015.5.23撮影
アヤメ科アヤメ属の多年草で、北海道~九州に分布する。
平地~山地の湿原や浅い沼に自生するとされるが、湿地の消滅や環境悪化で、
絶滅危惧種に指定する都道府県が多い。
また、湿地にあるものでも、自生種なのか園芸種の逸出なのか、見分けが難しい。
地下茎は横に這って群生する。
葉は長さ30~70㎝、幅2~3cmで、主脈がはっきりしない。
花期は5~6月、花は青紫色で直径約12cm、1日花で翌日には萎れる。
外花被片は広卵形、基部の中央部に白班がある。
内花被片は長さ6cmほど、花柱は3分岐し、その先端が更に2分岐する。
蒴果は長さ4~5cmの長楕円体。
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