里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

サクラソウ 藪中の花園

2017-03-27 | 日記
同好の先輩から「気仙沼市本吉町のサクラソウの自生地、今が花の盛期です」と
Eメールが入った。そこは比較的花の時期が遅い場所で、例年なら5月20日でも
花を楽しめる場所なんですよ。
そこが今見頃なら、大崎市南東部にある自生地では既に終盤かも・・・
Eメールのあった翌日、慌てて自生地を訪れました。




                             二枚とも2015.5.4撮影

ここは丘陵地を流れる、小さな川沿いに拓かれた耕作地の近くですが、自生地の
周囲には篠竹が密生していて、熊も嫌うような酷い藪になっています。
五六年前は傍の田んぼが耕されていて、排水がチョロチョロ流れていたんですね。
その細流に沿って下っていき、自生地を見つけたわけですが、篠竹の藪に
囲まれた、サクラソウだけが咲いている小さな花園です。
この自生地も今が盛期で、最高のタイミングで訪れたようです。

いま田んぼは牧草地に変り、細流が無くなってしまいましたから、この自生地が
消滅してしまうのも近いかも知れません。
サクラソウは多くの都道府県で絶滅危惧種に指定されています。
宮城県でも絶滅危惧Ⅰ類に指定されていますから、かなり危機的な状況なのでしょう。
Ⅰ類を判りやすく言えば「保護しなければ滅びる」、そんな位置づけと思われます。
米価下落でサクラソウが滅びる、「風が吹けば桶屋が儲かる」みたいなものだが、
笑ってはいられませんよ。


                                 2015.5.4撮影

サクラソウ科サクラソウ属の多年草で、北海道・本州・九州に分布する。
低地~山地の河川敷や湿地に自生する多年草で、全体に白く縮れた毛が生える。
地中に短い根茎があり、春に発芽して5~6枚の葉を根生し、葉身は長楕円形で
長さ4~10cm、幅3~6cm、葉脈に沿って皺があり、縁には鈍い重鋸歯がある。
花期は4~5月で、高さが15~40cmの花茎を直立させ、車輪状に5~10個の
花をつける。花柄は0.5~1.5cm、花は淡紅色~紅紫色の5弁花で直径が2~3cm、
花弁の先端に切れ込みがあり基部は筒状となる。
花後、球形の蒴果を結ぶ。
新しい根茎は地際にでき、梅雨明けの頃、葉が枯れて休眠する。

茅葺屋根が無くなって、河川敷のヨシが刈られなくなり、化学肥料の普及で緑肥が
不用となって草刈も行われなくなり、サクラソウの好む環境が失われてしまいました。
国の天然記念物に指定されている、埼玉県さいたま市の田島ヶ原のような大群生地は、
宮城県内には見当たりません。
私が今回訪ねたような、小群落が何箇所かあるので、人知れず見守りたいと思います。
一番恐いのは盗掘ですからね・・・


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