東松島市南東部、宮戸島の復興農地の外周を巡る崖下の農道を行くと、深い草むらの中か
ら、大型の羊歯植物の一群が葉を茂らせています。葉柄は草むらに隠れて見えませんが、
草丈は1mほどもあるでしょうか。生えていたのはやや湿り気のある崖下で、午前中に数
時間は日が当たるような場所です。
繊細なワラビのような草姿ですから、図鑑をめくっていけば種にたどり着けるでしょう。
二枚とも2020.7.2撮影
羊歯植物図鑑をめくっていくと、ヒメワラビとミドリヒメワラビがあって写真の羊歯によ
く似ています。二種とも林縁や道端に生えていて、東北地方中部以南に分布とありますか
ら、これらの何れかと思われます。
羽片の中軸に付く小羽片の角度を見ると、先端側へやや傾いています。これはヒメワラビ
の特徴の1つで、ミドリヒメワラビの場合は傾きが殆どありません。
また、小羽片の基部を見ると無柄ですが、ミドリヒメワラビの場合は短い柄があるようです。
これもヒメワラビの特徴と合致します。
よって、写真の羊歯はヒメワラビでしょう。
二枚とも2020.7.2撮影
ヒメシダ科ヒメシダ属のる夏緑性羊歯植物で、草丈は60~150cm。
東北地方中部以南の本州~九州に分布し、丘陵~低山の林縁や道端などに自生する。
根茎は短い塊状となり、葉を叢生する。葉柄はわら色で長さ30~70cm、基部の鱗片は披針
形で長さ1.5cmほど、茶褐色で膜質。
葉身は三角状卵形で長さ50~100cm、鋭尖頭、基部は広いくさび形、3回羽状深裂~複生。
羽片には柄がある。小羽片はほぼ無柄で、基部は斜めに広いくさび形、小羽軸には裂片の
基部がながれてつながった狭い翼がある。裂片は辺縁が鈍鋸歯縁か羽状に浅裂、側脈は単
条か2叉し、先端は辺縁に達しない。葉面は黄緑色~淡緑色で草質。葉柄から葉面にかけ
てさまざまなところに毛があり、毛は単細胞性か多細胞性。
ソーラス(胞子嚢群)は裂片の中肋と辺縁の中間につき、苞膜は小さい腎円形。
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