里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

シャガ 古代の帰化植物

2017-03-19 | 日記
登米市津山町の横山地区に、不動尊を祀った古刹があります。
山裾にあって、小川や池もある広い境内ですから、ゆっくりと散策してみました。
本堂の西側を歩いていると、山裾にシャガが群生していました。

シャガは古代に中国から持ち込まれた史前帰化植物ですが、偶然のいたずらなのか
意図したものか、三倍体植物だったため種子ができないのだそうです。
ヒガンバナやスイセンも同じですね。
種子ができないわけですから、人の手を介さないと移動できないわけで、これらの
シャガも誰かが移植したものが増殖したのでしょうね。




                             二枚とも2016.1.3撮影

三倍体植物とは何なんでしょう ?
通常の植物は2倍体で遺伝に必要な染色体を2組ずつ持っており、これが生殖に
際しては♂の1組と♀の1組が交配され、遺伝情報の伝達が行なわれる仕組みに
なっています。これに対して3倍体ではこの情報のやり取りがうまく行かず、
種子ができません。3倍体は何かの変異で4倍体の植物が発生し、これと2倍体の
通常の遺伝子を持ったものが交配されたときに発生します。

自然界ではシャガの他にもヒガンバナやスイセン、ヤブカンゾウなどがあり、これらは
何れも種子ができませんし、史前帰化植物でもあります。
種子が出来ないかわりに、栄養繁殖力が特別に強勢となり、地下茎を伸ばし
或いは球根の分球で増殖し、大群落を形成します。
もう1つ重要な要素があって、何れも救荒植物であるということ。
ヒガンバナやスイセンは有名な毒草ですが、昔は水に晒すとかデンプンだけを取り出す
とかして、凶作の際は食べたというのです。
たぶん・・作物の1つとして、繫殖力旺盛な三倍体植物を移入したのでしょう。


                                 2016.1.3撮影

アヤメ科アヤメ属の常緑多年草で、本州~九州に分布するが、中国原産の帰化植物。
集落周辺~里山の湿った林下などに群生し、特に寺社の境内に多い。
根茎を伸ばして子株を生じ、しばしば群生する。
葉は剣形状で長さ30~60cm、幅2~3cm、光沢のある深緑色でやや肉質。
花期は4~5月で、花茎は高さ30~70cm、上方で分枝し、多数の花を総状に付ける。
苞葉は葉と同質で、上方に向かってしだいに細くなる。
花は5cmほどでほぼ白色、朝開いて夕方にしぼむ。外花被片のふちは細かく切れこみ、
中央部に橙黄色の斑点ととさか状の突起があり、そのまわりに淡紫色の斑点がある。
内花被片はやや細く、先は浅く2裂する。
花柱の裂片の先は2裂し、さらに細かく裂け、花弁のように見える。
3倍体植物なので結実しない。原産地中国には正常な二倍体の個体があって、結実する。
こちらは花色、花の大きさなどに多様な変異があるという。


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