里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

クラマゴケ 匍匐性の羊歯

2019-11-26 | 日記
登米市中田町上沼地区北東部、丘陵上の山道を南へ歩いていると、尾根から逸れて西向きの斜面
を緩やかに下るようになります。この辺りの丘陵地は松林になっていて、山道には古い轍が残さ
れていますが、ここ2~3年は車の通行がなかったようで、スギゴケなどが生えています。

山道を下り始めて間もなく「あれ、いま何かを見つけたような ?」
数歩戻って轍の間を見ると、匍匐性のコケ状のものが生えています。しゃがみこんで観察すると、
「ひょっとしてクラマゴケか ?」
クラマゴケは20年ほど前に、新潟県中越地方の山間の農道法面に生えていたのを見つけて以来、
宮城県内でも探し続けていたのですが、見つけられずにいました。
分布域が東北地方南部以南とか、岩手県以南となっているので、期待はしていたのですけど。




                             二枚とも2019.11.21撮影

山道の轍の間に、クラマゴケが7~8mにわたって帯状に生えています。周辺を丁寧に探すと、
山側法面にも何箇所か島状に生えています。ここは標高50mほどの丘陵地で、松林内の西側斜
面ですから、夕方以外は日が当たることはないでしょう。土は湿り気のある赤土です。

クラマゴケの名前は、最初に発見されたのが京都府の鞍馬山だったことに由来します。コケと
付くのは地を匍匐する姿がコケに似ているためでしょう。




                             二枚とも2019.11.21撮影

イワヒバ科イワヒバ属の、匍匐性の常緑性羊歯植物で、岩手県以南の本州~九州に分布する。
丘陵~低山のやや湿った林床などに自生し、しばしば群生する。
主茎は細線状で長く地表を這い、長さ30cmを超えることもあり、まばらに分枝して広がる。
草体は淡緑色で、葉はやや疎らにつき、また白色糸状の細い担根体をまばらに生じる。
葉は緑色、鱗片状で左右の側面および背面にそれぞれ2列、計4列生じ、大きな枝では疎らに、
小枝には密につく。側面の葉(腹葉)は無柄で卵形~長卵状楕円形、長さ3mm、鋭頭で基部は円い。
茎の上面をおおう2列の背面葉(背葉)は斜卵形で長さ1mm、茎に圧着する。
胞子嚢穂は小枝の先に生じ、四角柱形、長さ5~15mm、直径1mm、胞子葉は全て卵形で長さ1mm、
縁に細鋸歯がある。胞子嚢には大胞子嚢と小胞子嚢とがある。


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