栗原市金成普賢堂地区北部、小河川に築堤された溜池の奥に、三方に分岐した湿地があり、
アシやスゲが生い茂っています。湿地の周辺を歩くと、細い水路や畦の形が残されているので、
かつては水田だったものと思われます。そんな湿地の間に舌状の低い尾根が張り出していて、
松の混じった雑木林になっています。
低い尾根上の雑木林を歩き回っていると、落葉の間に緑色の葉がチラチラ見えます。
歩み寄って確認すると、イチヤクソウの根生葉ですね。周辺の林床を見回すと、ここ以外に
もたくさん生えていて、10m四方に50株以上はありそうです。
これだけ群生しているのは、この環境がよほどお気に入りなのでしょう。
二枚とも2019.12.11撮影
森の樹木の多くが地下で外生菌根を形成し、土壌から効率よく養分を吸収しています。
ブナ科やマツ科の樹木はその代表的なグループで、根の外側を菌糸組織が包んでおり、そこ
から土壌中に菌糸を伸ばして、吸収できる土壌の範囲を大きく広げています。菌糸は根毛よ
りはるかに細いため,根が侵入できないような 土壌中の小さな隙間にも入って行けます。
菌は樹木から光合成産物の炭水化物を得ていますから、樹木と菌は共生関係にあるわけです。
さてイチヤクソウですが、ブナ科やマツ科の樹木の根に付く菌がイチヤクソウの根に付くと、
皮層細胞内に侵入して内生菌根を形成します。イチヤクソウは根の中に侵入した菌を、細胞
の中で消化して、炭水化物を得ていると言われています。これは菌根菌を介して、樹木の光
合成産物を受け取っていることになります。このような植物は菌従属栄養植物と呼ばれます。
2019.12.11撮影
イチヤクソウは2019年の1月に観察して、記事をアップしています。
属性や特徴については、下のURLをクリックして参照願います。https://blog.goo.ne.jp/snobo045/e/f8361be2695243c7b0fdeaf6b7cb9aa1
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