心安らぐ場所がある。
東、南、北を山に囲まれた田園と果樹畑。
ここは僕のグランドだ。
坂道ばかりのこの村の中で、ほぼ水平の道が1キロ続く。
横にそれると上り下りの道もある。
ほぼ稲刈りも済んで、ハゼ掛けしているところもある。
中には大型の稲刈り機で脱穀までして乾燥処理に回している田んぼもあるが、やっぱり天日干しがいい。弥生人の魂がそこに籠っている気がする。
僕はここでランニングをする。農耕者以外はほとんど通らないし、人目も気にならない。
太陽が斜めから射し、次第に弱弱しくなっていく。
秋が深まり、やがて深い眠りにつく。
その前の静かな田園のひととき。
かたはらに秋草の花語るらくほろびしものはなつかしきかな 牧水
僕のほろびたものは何なのだろう、若く美しかった憧れなのだろうか。