もう40年近く前、山仲間から話を聞いた。静かで良い山だと。
それ以来、ずっと気にかかっていた。
風吹大池と風吹岳。
今は紅葉でどこの山も混雑しているのだろう。
それならば、北アルプスの白馬岳のさらに北にある静寂の山、風吹岳に行こうと決めた。
土曜日が天気が悪ければ日曜日と思ったが、土曜日は快晴。
かみさんと、もうすぐ77歳になる義姉を誘って出かけた。
小谷村の土沢コースを選定。このコースは結構大変な山道が10キロも続く。
駐車場には長野、石川、群馬のナンバーが付いた車が3台。
少し紅葉が始まったブナ林の中を登る。
100年以上は生き続けているブナの木は実に堂々として立派。
ブナの実がたくさん落ちている。
所々に楓の赤い葉やヤマボウシの赤い実が混じる。
広葉樹の森は色々な様相を見せてくれる。
2時間ほどで風吹大池に到着。
この池は北アルプスで最大の白馬大池に次ぐ大きな池だ。
風吹大池、風吹岳。この名前を見ているだけで、いいなあと思う。
北の静かな、爽やかで凛としたイメージが沸々と湧いてくるではないか。
そんなイメージを40年近く抱き続けた。
それが今目の前にある。
風吹岳は大池から100mあまり登ったところにある。標高は1,888m。
大池と較べればおまけみたいなものだが、それでも山頂は山頂だ。
登ってみると数人の先客があずまやで食事を作っていた。
関西なまりなので、遠くから来たのだろう。
知る人ぞ知る隠れた名山(大池とセットで)というところだろうか。
風吹山荘前では群馬から来たという夫婦がいた。
秋になって植物たちは色々な実を付ける。
赤い実はルビー、青い実はサファイヤ。宝石なんかよりずっと美しい。
大池を挟んで、風吹岳の反対側には尾瀬を想わせる草原があった。
草原の一角に腰をおろし、持参したおにぎりをほおばった。
形の良い雪倉岳がむこうに見えていた。
かたはらにあきくさのはなかたるらく ほろびしものはなつかしきかな 牧水
日差しは柔らかく僕らを包み、優しい風が草原を渡って行った。
義姉は6日で喜寿を迎えるという。
田部井さんとほぼ同じ歳だ。
山に登る為に毎日歩いているという。
また誘ってあげよう。
雪が来る前にまた登りに行こう。
うじうじと悩んだり、考える前に歩きだそう。
僕らは森で生まれ、草原に出て、やがてコンクリートの建物に幽閉された。
ふるさとの森に帰ろう。
そんな風に思う。
写真、文章私たちを連れて行ってくれているみたいです。
それにしても義姉様もお元気で素晴らしい、案内の仕方もうまいのでは。
ふるさとへ帰ろう、本当にそう思います。帰りたい。
紅葉が美しいです。
この前拝見した時から気になっていたのですが
最後のお写真の木は何でしょうか?
ルビーやサファイアの様な木の実も綺麗ですね~☆
足は日増しに良くなっていくと思います。4年ほど前、ぼくも右手首を骨折し、3ヶ月半ギプスで固められていました。時が来れば治るように出来ているのですね。それにしても、自分の足で自由に歩きまわれるというのは素晴らしいことですね。