池袋の東武鉄道改札付近で会った吉浦さん。
彼との付き合いの始まりは、1990年代後半
の第2次路上ミュージシャンブームの頃。
その後、雑誌、『プレイヤー』の路上ミュー
ジシャンの特集や、自分で書いた『路上音楽』
にも、仕事を持ちながらも道端で演奏する人の
代表として出てもらった(都心部の路上に目立
つ「自己宣伝型」の輩より、純粋に音楽をして
いる姿にうたれて参加を依頼した)。
失礼ながら、当時の演奏はガタガタ。内に秘
めた情熱は、凄まじい爆発を見せ、声は上ずり、
リズムは石ころに躓いた人間のような不安定さ
であった。しかし、彼は、どんな演奏をしよう
と、どんな時も楽しそうであった。しかも、自
分の演奏を自分なりに分析し続けた。それは、
今の今まで変わる事がない。
最近は、活動の場を広げ、渋谷にある老舗ライ
ブハウス、『アピア』のステージにも立つように
なった。演奏に触れると、相変わらずの感情突出
型ではあるが、演奏に安定感が出てきた。
彼が、この境地に達するまでに、何人もの歌い
手が東京での生活に疲弊して、田舎へと帰って
いった。しかし、吉浦に前進を止める気配はない。
5年後、アピアで揉まれて、どんな成長をとげるの
か。超のつく個性派として、あの舞台で演奏して
いる事を祈る。
路上音楽情報紙『ダダ』編集発行人・青柳文信
追記・お盆の休みなのに、えらい忙しい。書きたい
事がたくさんあるのだが、とてもキー・ボードに向
かっている暇がない。トホホ。
追記2・今、書店に足を運ぶと斉藤和義のデビュー
15周年を記念する『別冊カドカワ』が売られている。
あの人も、デビュー前は『アピア』で歌っていたら
しい。