ジャンベのワークショップに行ってきた。場所は、東京・
浅草のエスニックシティ。
この店は、どちらかと言うと、楽器教室より、楽器販売が
メイン。恐らく、東京都内でも1、2位を争うジャンベの在
庫を持っている。
そして、ここで驚いたのは、店員さんのお客さんへの対応の
親切さ。私が、ワークショップを終えて、店頭に行くと中年夫
婦がロープ式ジャンベのチューニングの仕方を伝授してもらっ
ていた。
これは、「慣れれば、簡単」と言われるものの、初心者にと
っては、なかなか難しい(具体的に言えば、縄を閉めたり、緩
めたりする事でピッチを変える)。「今回が、教えてもらうの
が3回目」という彼らに、懇切丁寧に指導する。
一度、閉めたら、「では、もう一度、緩めて、もう一度」と
いう様子で、相手が飲み込むまで、何度も指導を繰り返す。
もう素晴らしいの一言。
普通のギター屋なら、一度、説明したら、「後は、教本を見
ながらお家で」で終わってしまうことだろう。お客さんに対す
る姿勢が、まるで違う。
そう言えば、この前、店鋪に行った時には、ジャンベをたま
たま試奏させてもらうと、「お客さんの叩き方は、中音が押し
付ける感じになっている」という言葉に始まり、延々、叩き方
を教えてくれた。
青柳の場合、異常な回数、楽器屋さんに行っているので、
池袋のイシバシ、イケベ、お茶の水の黒澤、新宿のイシバシ、
新星堂、黒澤、そして、渋谷の黒澤には、気心の知れたスタ
ッフがいて、同様のサービスをしてくれる。でも、そういう
知り合いのいない楽器屋さんでは、昨日、20万円の楽器を買
おうが、愛想笑いの一つもない。
ちょっと、考えてみて欲しい。そこにあるジャンベは、高く
ても5万円程か。こうした値段の楽器であっても、少しでも興
味を示す人には、懇切丁寧に教える。そういう事もあるのだろ
う。この楽器屋は、浅草という土地にありながら、若い女性や
高学歴っぽい大人の女性客が多い。いわゆる量販と呼ばれる楽
器屋の店員さんは、ぜひ、一度、この店に足を運んで、接客を
学んで欲しい。
東京圏でも、どんなに来店客が多くても、誠意ある接客を
していれば、お客さんは、そのスタッフ、そのお店のファンに
なる。少々、いや、かなり説教くさいが、もう一度、心を入れ
替えて楽器を販売する仕事をして欲しい。
楽器のような趣味の物品を売る仕事は、通常の生活雑貨を
売る仕事より、色々な面白みがあるのだから。
路上音楽情報紙『ダダ』編集発行人・青柳文信
追記・エスニックシティには、楽器を売る人の良心がある。行
くだけで、勉強になるし、行くだけで、最高に楽しい気分にな
れる。青柳の田舎の足利のかつてのコグレ楽器のようだ(など
と言って、何人の人がわかるかな〈笑〉。私は、高校時代、そ
この楽器屋の店員さんにブルースの基本を教えてもらった)。