銭湯に限らず家(うち)風呂でもそうなのですが、みんなが理想とする温度は何度だろうと考えることがあります。
お風呂というのは基本的に多くの人と共有するものなので、そうした基準が明確な方が好ましいのではないかと思うからです。
しかし、現実にはみんながそれぞれ違った好みを持っており、その日の体調によって求める温度も違ったりします。
一つの結論として申し上げるのは困難ではないかというのが個人的な見解なのですが、それを承知の上であえて断言するならば42℃が一つの目安となるのではないかと思っています。
その理由としてあげられるのが人の体温です。
日本人の平均は36.8℃ぐらいらしいのですが、世界的に見ても、だいたいそれぐらいの温度です。
それでは、なぜ人の平熱は37℃に維持されるのかというと実はハッキリした理由は分からないのですが、体内の酵素を活性化させる上で37℃はもっとも好ましい温度だと言われています。
人に限らずですが、生命を維持するためには代謝し続けなければなりません。その代謝する際に使われる酵素は温度が高いほど活発に動いてくれます。
ただ、高ければ高いほどいいのかというとそうではなく、42℃を境に鈍化し始めます。
脳も42℃を越えるとダメージを受け始めるのでこれも好ましくありません。
体温は上昇する過程は好ましいのですが、一定の温度を越えるとむしろ害になります。
人がエネルギーを生み出す75%ほどが体温維持のために使われているので、それだけ体温を保持するというのは生きるためのウエイトを占めてることを意味しています。
そうした熱を自ら作り出すのではなく、体外から熱を取り込むことで代謝を活性化させリラックスする。
それが本能的にお風呂を欲する理由ではないかと思うのです。
お風呂の歴史は日本に限っていえば平安時代から始まり、蒸し風呂から湯船に浸かるものへと進化し、現在はサウナや岩盤浴といった多様な形式が生まれましたが、何百年を振り返っても、その体を温めるという本質に変わりはありません。
やはり体を温めることがあらゆる時代を通して人々に多幸感をもたらしてくれたようです。
また銭湯を通して清潔になり、社交場として人々と交流する。
今はサブカルチャーの取り込みが潮流として見られますが、そのような発展は今後もみられるのではないかと思います。
理想とする温度。すでに結論として出していますが、42℃は科学的な知見から考えても、経験的にもこれぐらいが苦なく入れる温度かなと思います。
ただ、やはりもっと高い温度を求める気持ちも当然あります。
人間というのは限界以上を求める生き物で、もっと刺激がほしいと感じると、さらなる高みを目指します。
自分の限界は45℃なのですが、玄人の域に達すると47、8℃でも気持ちよさそうな表情で入ってる人もいます。
いつか自分もその領域に達することができたならと思いつつ、ぬる湯に浸かる日々を過ごしています。