タレントの玉袋筋太郎さんが日本の文化を紹介するGetNavi Web「玉袋筋太郎の万事往来」の中で稲荷湯が紹介されていた。
西巣鴨にある稲荷湯(滝野川稲荷湯)といえば映画テルマエロマエのロケ地として有名であるが、数多くのCMにも使われるなどクリエーター達から一目置かれる老舗銭湯である。
玉袋さんもここではないがたまにご近所の銭湯には行かれるようで、話の引き出しの多さに驚いた。
銭湯にまつわる知らなかった話も沢山あり、色々と勉強になる対談だった。
稲荷湯は、大正3年(1914年)に創業。建物自体は昭和5年(1930年)に建てられたという。あともう少しで100年は経つという古い歴史を持つ。
創業者は石川県出身で、玉袋さんは銭湯経営者に新潟出身が多いと聞くらしいが、横浜歴史博物館によると富山や石川出身者が多数を占めるとあった。だいたい日本海側の雪国育ちが多いと考えれば間違いなさそうだ。
出典:東京銭湯ホームページ引用
稲荷湯は以前だと熱いお湯(43℃)か、ものすごい熱いお湯(46.5℃)しかなかったが、最近はぬるいお湯(38℃)も用意するようになった。それによって子ども連れが増えたそうである。
こうした時代にあわせた試みは銭湯文化を次世代に引き渡すうえで大切なことだろう。子どもの時に楽しかった記憶というのは大人になったときにかけがえのない宝物になるし、ふとしたキッカケで思い出す瞬間がある。
銭湯を語るうえで忘れていけないのが入れ墨問題。店主の土本さんは電話などで入れ墨があっても大丈夫かたびたび聞かれるようだ。そういう問い合わせる人はたいてい小さな入れ墨(タトゥー)なのだとか。
入れ墨があろうがなかろうが、マナーを守ってくれれば問題ないはずだ。
稲荷湯は昨今だとめずらしく木製の桶を使っている。木製だと1年でたいがいはダメになり、毎年1月2日になると変えるという。
玉袋さんは、風呂桶のカラーンというサウンドがいいんだよなと言われていて、同感だ。あの独特な響きはいかにも銭湯らしいし、不思議な郷愁をさそう。
出典:東京銭湯ホームページ引用
以前だと薪だったが、最近はガスに変えたようである。薪は手間暇が掛かって大変なのと、やはり煙突から出てくる煤が周辺の住民に嫌われる。火力は薪の方が強いが、ガスでも冬場なら1時間半ほどで沸くから問題ない。
意外だったのが、最近は銭湯巡りのブームが起きているらしくて、若い人の来客も増えたそうだ。銭湯のブログを3~4年前からやってるが、そんなブームがあるとは知らなかった。
出典:東京銭湯ホームページ引用
お湯は井戸水を使っているが、最近はマンション建設が原因で井戸水の水質が落ちてきたらしい。水が黒く濁って困るという。地下水というと綺麗な水を勝手に想像していたが、現実は濾過しなければ使えないもののようで、この話で地下水のイメージが悪くなってしまった。
玉袋さんは銭湯に入るときに、太陽の光が射す時間帯に入る時が幸せだと言っていたが、これもウンウンと頷く。
自分も午後2時ぐらいの湯気に囲まれながら明るい日差しの中で過ごす銭湯が好きだ。UNIQLO創業者の柳井正さんも似たようなことを言われていて、みんな感じることは同じなんだなぁと思った。
出典:東京銭湯ホームページ引用
玉袋さんの話で驚いたのは、昔は洗髪代という別料金があったというくだり。
今だと髪を洗うのが当たり前であるが、古い頃だと髪を洗うのが当たり前じゃなかった時(たぶん1960年代あたりまでは今ほど髪を洗わなかったはず)は追加料金が必要だったとか(女湯のみ)。
現在から考えるとありえない話だが、時代によって商習慣が違ったのは当然だろう。粉のシャンプーもあったという。
時代が変われば色々と変わるものである。