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中学生の歴史のおさらい…安倍談話

2015-08-16 18:58:00 | セイジ
 戦後70年の区切りに、安倍さんが首相談話を発表しました。
 首相官邸は「出すぞ」「出すぞ」と前評判をあおっていましたし、マスコミも「出るぞ」「出るぞ」と盛んに言い立てていましたから、安倍さんの主張や意見が濃厚に出るのではないかと、ぼくもいつもより少し構えて待ってました。
 けれど実際は、首相らしい強力な主張や意見は、談話にありませんでした。
 思っていたよりずいぶん希薄(きはく)なものでした。
 せいぜい中学生の歴史のおさらいのようでした。

 戦争で命を落とした人びとへの追悼、戦争を起こしてしまったことへの反省、戦後の復興に努めてきた先人たちへの感謝、アジアの国々を侵略したことへの謝罪、今後の世界平和に貢献するという決意、おおよそそういう文言(もんごん)が記憶に残りましたが、いろんなことがつながれつながれ、平坦(へいたん)に語られたという印象で、なにかきわだって心を打つものがあったかというと、そういうものはほとんどありませんでした。

 およそ首相談話といわれるかぎりは、安倍さん独自の強力な主張がせめて一つくらいはあって当然のことでしょう。
 歴史上の出来事は、その強力な主張をそばから支える傍証として述べられるものでしょう。
 それが安倍さんの談話では、ほとんど傍証ばかりが並んでいるように見えました。

 
 考えれば、アメリカ政府から許されることしか言えない首相ですから、それも無理のないことです。
 秋には国連で核廃絶の提案を行う、とこれがほとんど唯一の具体的な行動計画でしたが、それとてもオバマ大統領がすでにヨーロッパでの演説で基本線を打ち出していることなのです。
 首相が強力な主張を表明するには、アメリカも他の国と同等の一国に扱うという、強い主体性がどうしても必要になるのです。

 結局のところ、安倍さんがめざす安保法制(集団的自衛権)も、アメリカ政府がそれを望んでいるからその成立に必死になっているのですし、次にめざす改憲も、アメリカ政府が今の日本国憲法を変えたがっているから、それに力を注ごうとしているのです。

 こんなことを考ええました。
 もし今の憲法を貫くことに情熱を傾ける首相だったら、どんな談話になるだろうか、と。
 
 おそらくかれは日本国民がこの70年間、この平和憲法を懸命に守り、いっさいの戦争に手を貸さずにきたことに、大きな誇りを語ったことでしょう。
 いま世界中が苦しんでいる恒常的な戦争状態に対して、平和を切り開くための大いなる理性の行使を、すべての国に情熱的に訴えたことでしょう。
 核廃絶ももっと人びとの心に響く声で強調したことだと思います。

 そういう首相談話なら、ぼくはきっとそれを誇りに感じただろうと思います。
 そういう人を首相に選んだこの国の国民のことも誇りに思い、そういう人びとにあらためて感動を感じさえしただろうと思います。

 そういう首相談話なら、世界中の人々も真剣に聴いてくれたのではないかと思うのです。

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