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『モンゴルの銀狼』【高機動型ザクⅡ系譜】

今日は「高機動型ザクⅡ」の系譜について。

某雑誌でカトキ氏がMSD上では、

・「高機動型ザクⅡ」はランドセル(背部バックパック)中心にまったく新規に強化したMS。

・「高機動試作型ザクⅡ」は脚をまったく新規に強化したMS。

・・・という事が解説されました。

高機動型ザクⅡ

高機動試作型ザク

強化した結果、「高機動型ザクⅡ」は背部バックパックが、「高機動試作型ザク」は脚部が主に肥大化しました。

系譜とすれば、「高機動試作型ザク(06RD-4)」は「ドム試作実験機(08B)」へ派生。

「高機動型ザク」はMSVですが「06RP」➡「06R-1」➡「06R-1A」➡「06R-2」➡「06R-2P」➡「06R3」と派生します。

ドム試作実験機

ここでMSDの新解釈として注目したいのが、「高機動試作型ザク(06RD-4)」。

「高機動試作型ザク」所謂「アイナザク」は初出作品「08小隊」では、「ドムを転用した宇宙用トライアル機」だったそうですが、MSDでは前述とおりあくまで「ザク」ベースで脚をまったく新規に強化したMS。

系譜的に、これまでの「ドム」➡「高機動試作型ザク」ではなく、

「ザクⅡ」➡「高機動試作型ザク(06RD-4)」➡「ドム試作実験機(YMS-08B)」➡「プロトタイプドム(YMS-09)」

で、「高機動試作型ザク(06RD-4)」➡「ドム試作実験機(YMS-08B)」は見た目とおり直系。

「ドム試作実験機(YMS-08B)」はツイマット社製なので、「高機動試作型ザク(06RD-4)」はジオニックからザクのライセンスを取得したツイマット社製と言えます。

ここで連日話題にしている「高機動型ザクⅡ(地上用)06GD」ですが、開発コンセプトは「脚をまったく新規に強化したMS」。つまり「高機動試作型ザク(06RD-4)」に共通します。

高機動型ザク 地上用

但し、某雑誌にも「高機動型ザクⅡ(地上用)06GD」は、MSV-Rの「陸戦高機動型ザクⅡ(06G)」ありきと表現されています。

「陸戦高機動型ザクⅡ(06G)」は「陸戦型ザクⅡ(06J)」の最終形とありますので、

「ザクⅡ」➡「陸戦型ザクⅡ(06J)」➡「陸戦高機動型ザクⅡ(06G)」➡「高機動型ザクⅡ(地上用)06GD」

となり、「陸戦型ザクⅡ・陸戦高機動型ザクⅡ(06J・G系)」はジオニック社ですから、「高機動型ザクⅡ(地上用)06GD」もジオニック社製と言えます。

そして、ご存知のように「高機動型ザクⅡ(地上用)」は、「ホバー移動する機体」。

ただ、この「ホバー移動」はドムと違い「スケーティングするような移動」しかできない機能という設定がついています。

具体的には「高機動型ザクⅡ(地上用)」のホバーは「姿勢変更でカーブや旋回はできても、進行方向は前方直進のみ」。対して「ドム系(09)」のホバーは「姿勢変更での旋回もできる上、進行方向も前後左右に行ける」という事なのでしょう。

ここからは想像ですが、「高機動型ザクⅡ(地上用)06GD」とは、「ホバー機能付き主力MSコンペ用」にジオニック社で開発された機体で、ツイマット社の「ドム系(09)」にコンペで破れた機体なのではないでしょうか。

じゃあ、「高機動型ザク(地上用)06GD」のベースとなった「陸戦高機動型ザクⅡ(06G)」は、どういう設計思想だったのか。

【陸戦高機動型ザクⅡ(06G)】

 

「陸戦高機動型ザクⅡ(06G)」は、「独自のランドセル」形状から察するに「地上でのバーニア移動による高機動化」を目指したMSと推測できます。

但し、「飛行」では無く「ジャンプ」であり、「高機動」指向であれば、「垂直ジャンプでは無く水平ジャンプ」。

脚のスラスタも「ジャンプ中は方向転換・変更が困難」な問題を解決する為に、付けられたものと考えれば納得です。

スラスタでジャンプ中(空中)にある機体向きを変え、ランドセル再噴射で別方向へ移動とか、スラスタ噴射で進行方向とは別方向へ移動出来る事を利用し、敵射撃を回避するとか。ジャンプ後の着地を補完するとか。

脚部スラスタがある事で重力下のバーニア移動の問題点が、大分解決されます。

勿論、太股がグフに似た形状である為、歩行スピードの向上も合わせ目指したんでしょう。

そして「陸戦高機動型ザクⅡ(06G)」が目指した「水平ジャンプによる重力下の高速移動」の進化プランとして、「高機動型ザクⅡ(地上用)06GD」の「ホバー移動」の開発があったんでしょうね。

結果、ホバーではツイマット社・ドムに破れますが。

 

一方、ツイマット社のコンペ用機体は「ドム試作実験機(YMS-08B)」か「プロトタイプドム(YMS-09)」でしょうが、コンペに試作実験機を出すのは違和感があるので、試作完成機である「プロトタイプドム(YMS-09)」なのかもしれません。

ただ、「プロトタイプドム」は完成時点でジオン軍最新鋭機として期待され、完成直後に地上テスト、そして広報部に数多く取り上げられたという、プロパガンダ的MSV設定があります。

これら設定を見るに「プロトタイプドム」は完成時点で最新鋭機のプロトタイプとして約束されている側面があるので、その前段階となるコンペは「ドム試作実験機(YMS-08B)」だったのかもしれません。

「ドム試作実験機(YMS-08B)」がコンペに勝利し「ドム系が次期ジオン国最新鋭機」として決定。

満を持して「プロトタイプドム(YMS-09)」ロールアウトとすれば自然な流れになります。

もっとも「高機動型ザクⅡ(地上用)」は劇中でも5機登場しており、コンペに破れ地上主力・最新鋭機の座を奪われたものの、ザクを好むベテランパイロット向けに少数生産がされ続けたのかもしれません。

このあたりは宇宙用の「高機動型ザクⅡ(R-2)」と「リックドム(09R)」のコンペに似てますね。

まあ、「高機動型ザクⅡ(R-2)」は4機しか製造されませんでしたが。

 

まとめると以下のようになります。

 

「高機動型ザクⅡ(06R系)」

宇宙用として、ジオニック社がザクベースでランドセル中心にまったく新規に強化したMS。

 

「高機動試作型ザク(06RD-4)」

宇宙用として、ツイマット社がライセンスを取得したザクベースで脚をまったく新規に強化したMS。

本機を元に「ドム試作実験機(YMS-08B)」が開発される。

 

「陸戦高機動型ザクⅡ(06G)」

地上用として、ジオニック社が「陸戦型ザクⅡ(06J)」の最終形として開発したMS。

バーニアやスラスタを使った水平ジャンプによる重力下の高機動を指向した機体。

ランドセル中心にまったく新規に強化した地上用MSとも言い換えられる。

 

「高機動型ザク(地上用)06GD」

ジオニック社が「陸戦高機動型ザクⅡ(06G)」で目指した「水平ジャンプによる高機動」の発展プランとして、「ホバーによる重力下の高機動」を指向したMS。

陸戦型ザク系の設計思想では「歩行」がベースにあり、高機動も「水平ジャンプ」による「瞬間的なスポット高機動」だったが、本機は陸戦型ザクの設計思想を超えた「歩行に頼らない常態での高機動」を目指した別次元の機体。

「高機動試験型ザク(06RD-4)」が「宇宙用として、ツイマット社が脚をまったく新規に強化したMS」とするなら、本機「高機動型ザク(地上用)」は「地上用として、ジオニック社が脚をまったく新規に強化したMS」と言える。

しかし、「次期主力・地上ホバー機能付MS」コンペで、ツイマット社「ドム試作実験機(YMS-08B)」に破れる。

コンペで破れた後もザク系を好むベテランパイロットの要請で少数生産され続ける。

 

これらを踏まえ、知る人ぞ知る「モンゴルの銀狼」が初期に搭乗した「高機動型ザク」の謎に迫ります。

「モンゴルの銀狼(ガンロン)」とは本名ナランソロンゴ・ボルドバヤル。

高山瑞穂先生・著「機動戦士ガンダム 極東MS戦線記(ガンダム短編集に掲載された短編)」「機動戦士ガンダム MS BOYS―ボクたちのジオン独立戦争―」に登場した凄腕のMSパイロットです。

 

【ガンダム短編集】

機動戦士ガンダム MS BOYS―ボクたちのジオン独立戦争―

 

「モンゴルの銀狼」を主に考えた場合の物語の時期は、

 

①「機動戦士ガンダム 極東MS戦線記」

 (劇中でU.C.0079.10.20と表記)

②「機動戦士ガンダム MS BOYS―ボクたちのジオン独立戦争―」

 (劇中で「モンゴルの銀狼」登場時はオデッサ作戦後(U.C.0079.11.9~))

 

です。

具体的に「モンゴルの銀狼」用にロールアウトされたMSを時系列に並べると、

 

①高機動型ザク(出展作「機動戦士ガンダム 極東MS戦線記」)

②グフカスタム(出展作「機動戦士ガンダム MS BOYS―ボクたちのジオン独立戦争―」)

③陸戦高機動型ザク(出展作「機動戦士ガンダム MS BOYS―ボクたちのジオン独立戦争―」)

  *実際に「モンゴルの銀狼」の手には渡らず。

※この後、「モンゴルの銀狼」仕様の「ドム」も劇中に登場しますが、「08小隊版」系ドムを塗替えしたMSにモンゴルの銀狼の装備を施した機体で、「モンゴルの銀狼」本人が発注したのでは無く、MS-BOYSのもの。(あえて言うなら「二代目・モンゴルの銀狼」)

 

ですが、問題なのは、①高機動型ザク(出展作「機動戦士ガンダム 極東MS戦線記」)。

この機体は「高機動型ザク(06R-2)」に酷似したデザイン。

本作は地上戦なのに、宇宙用の「高機動型ザク(06R-2)」が使われている謎がありました。

この時の「高機動型ザク(R-2P)」に酷似したデザインは、「モンゴルの銀狼」のパーソナルカラーが黒の為、幸いシルエット以外のデザインが明瞭には確認できない様子。

であれば、シルエットが酷似した「高機動型ザク(地上用)06GD」が、このMSの正体ではないでしょうか。

勿論、他の「モンゴルの銀狼・専用MS」同様に、素の「高機動型ザク(地上用)06GD」ではなく、専用の「銀狼カスタム」されているのでしょう。

その為、より一層「高機動型ザク(06R-2)」に酷似してしまった・・・とすれば、辻褄が合います。

「高機動型ザク(地上用)06GD」はオデッサ前にサザンクロス隊に配備されており、時期的矛盾もありません。

物語では明確なホバー描写は確認が難しかったので、ホバー機能は試作部で不調だったのかもしれません。

「機動戦士ガンダム 極東MS戦線記」でダメージも受けてましたから、ホバー機能の調整とダメージ補修の為、修理に出し、代替機体のグフカスタムを受領した。・・・こう考えると「機動戦士ガンダム MS BOYS―ボクたちのジオン独立戦争―」1巻でグフカスタムに搭乗していたのも納得できます。

その上で、ホバー機能の調整が安定せず、「陸戦高機動型ザク」として調整され、「機動戦士ガンダム MS BOYS―ボクたちのジオン独立戦争―」2巻で再配備されるところ、銀狼不在の為にクルドが受領した。・・・この流れなら、整合性もとれ、説得力が増します。

 

実際は「高機動型ザク(地上用)06GD」は後付ですが、こうして設定に組み込む妄想をするのも、楽しいですよね。

 

まあでも、「モンゴルの銀狼」の高機動型ザクはいずれも『高機動型ザクⅡR-2(ジョニー・ライデン専用機)』の意匠が色濃く反映されてるので(MS-BOYS版も左肩にその名残があります。)、「地上の黒と銀のジョニー」的なコンセプトなんでしょうね。

だから、「機動戦士ガンダム 極東MS戦線記」は背中のプロペラントタンク以外『高機動型ザクⅡR-2(ジョニー・ライデン専用機)』のカラバリですし、「MS-BOYS」の「陸戦高機動型ザクⅡ」はグフと共有するパーツのある「MSV-R版デザイン」では無く、通常のザクの両脚左右にスラスタ-、背中にプロペラントタンクを付け、左肩が『高機動型ザクⅡR-2(ジョニー・ライデン専用機)』の肩まんまという事なんでしょう。

作者の意向を読み取ると、モンゴルの銀狼の初期ザク=「高機動型ザク(地上用)06GD」というのは、読者の手前勝手な解釈で失礼な話ですが、まあ妄想の戯言という事でご容赦下さい。

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