こちらを購入しました。
とうとう完結です。
連載時にも書きましたが、シェリー(タチアナ)が戦死せずに「水天の涙」を見上げるシーンで締めるラストが秀逸だと思います。
連邦側・主人公のユーグの『仲間を殺させない』という信念から、原作ゲームで戦死しているヒューも生き残り、回想シーン以外では仲間から戦死者を出さない展開にしたんでしょうね。
連邦側・主人公のユーグの『仲間を殺させない』が、タチアナの願い『平和の世に』とリンクして作品全体のテーマとなってしまっているので、インビジブルナイツ側は結果として相反する立ち居地になり可哀想な面もありました。
インビジブルナイツ側は原作ゲームとおり主要キャラで3名の戦死を出し、『水天の涙』作戦遂行で『ジオンの悲願と散っていった仲間の大願成就』する事に執念を燃やしていきます。
いかにも悲壮感漂うジオンらしい展開で良いんですが、作品全体として本来の目的と違う「平和を願う『水天の涙』」を降らせる為だけの話になってしまい、報われないんですよね。
また戦死者3名も、それほど深くキャラクターを掘り下げていないのでストーリーが暗くなり過ぎ無くて良いのですが、連邦側と比較すると軽い扱いに感じてしまいます。
ジオン側の主役・エリクも「PS2版戦記」のケンと比べると扱いが可哀想。かといって「閃光」のマレット程にぶっとんでいないからキャラとしても光きれていないし。
連邦側が「光」ならば「影」は必要なので、仕方ないんでしょうかね。
対する連邦側もヒューの降板以降、主役以外のMS隊メンバーが総入れ替えになる為、今ひとつ感情移入ができないところ。
そんな中シェリーのエピソードは終盤まで引っ張っていくので、話の主軸とも絡まり準主役的にスポットが当たります。
逆に主人公とシェリー(強いて言えばマオ)以外は、連邦・ジオン含めメリハリの意味でも「メリ」になってしまい良くも悪くも添え物っぽいです。
まあ脇が光過ぎてもダメなので、そこは良いバランスなんでしょうね。
いろいろ書いてますが、ゲームである原作を考えると巧くまとめている素晴らしい作品だと思います。
「この素材を見事に調理した」
と驚く程です。
単行本化にあたり、「アバンタイトル」連邦編も大幅加筆修正されて、ファンとして大感激!
嬉しい1冊でした。
夏元先生の次回作も是非ガンダムで(できればU.C.0079~0086内で、「死にゆくもの達への祈り」とか)期待したいです!
ビルダーも是非追加カードで「0081」をお願いします。